捨てない生きかた (五木 寛之)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
このところ新たな刺激を受けることが減ってしまった五木寛之さんの著作の最新刊ですが、やはり一通りは目を通しておこうと思って手に取ってみました。
ちょっと前の “断捨離” ブームは収まってきたと思ったら、今回の新型コロナ禍で在宅機会が増えたこともあって “断捨離” がまた流行り始めたようです。本書のタイトルは、その “逆張り” ですね。
とはいえ、そこで語られる五木さんのメッセージには、時を経ても大切にすべき “心の持ち様” が記されています。
と、まず五木さんはモノと記憶の関係について言及したあと、続いて「記憶」の意義についてこう語っています。
過去の記憶は未来への推進力になるというのですね。
この過去の記録という点から、もう一か所。
五木さん所縁の「金沢の歴史」について紹介しているところです。
「立て札」とともに「時代の記録」そのものも捨てられていくのですね。
やはり、これは寂しいことだと思います。
こういった世の中の動きに違和感を感じる五木さんのコメントは、大いに首肯できるものです。
奥行きのある空間や時間が作り出す “豊かさ” は、それに触れる人々に “心のゆとり” をもたらしてくれます。
さて、本書を読んで最も印象に残ったくだりを最後に書き留めておきます。
忘れること、消し去られることに抗う「依代」の大切さはここにもあります。
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