元書店員 ┊︎ 本と建築と植物と食べること ┊︎ 夫とふたり暮らし🌿

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愛すべき喫茶店という場所

珈琲のいい香りが漂うその場所らはわたしの昔からの憧れだった。大体キーコーヒーの立方体の看板がくるくると廻っていた。 喘息持ちの母の影響か、煙草が今より浸透してい…

苳
1年前
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花曇りの淡い空へと静穏な移ろい

西日本に来てはじめての冬は雪を見ず終わりを迎えた。 ゆるゆるとした三寒四温が落ち着いた或る日、玄関を開けると柔らかな風と共にふわりと土と花の香り。近所のお庭には…

苳
1か月前
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深秋は午睡と風味絶佳に満たされる

未だ猛暑が残る頃に高松でうどんをたんまりと食べた。お店によって異なるうどんの食感とお出汁と天麩羅の余りの豊富さに店内で感涙してしまいそうになる。 その時に造形が…

苳
7か月前
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爽やかな風が頬を撫でる秋の日和が心地よいですね🧺

食べることが好きなのですが、空が高くなる秋から冬にかけての旬の食材や煮込みが一等好み。
昨夕には近所のスーパーで大きく粒がつやつや輝く鮭のはらこを見付け、醤油漬けにして頂きました。

お花屋さんに行くことが近頃の楽しみです🌿

苳
7か月前
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鮭颪は恋し温和な海波の近くで

雪国からとても遠くへ引越しをした。少しずつ違うところがあるからか、パラレルワールドにでも来たみたいで、不思議な感覚に日々囚われながら過ごしている。 灼熱のビビッ…

苳
8か月前
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薫風緑樹のわたる微睡みに浸る日々

新じゃがいもに新玉ねぎも買い、道の駅で出逢った山菜で天麩羅パーティを、余ったフキノトウでばっけ味噌を作り、今年は春の食材をたーんと楽しんだ。 今年はじめての新玉…

苳
1年前
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鮮やかに変化する陽春とオールドレンズ

季節が移り変わると旬のものがとても強く恋しくなる。 雪が残る少し前のこと、産直に並ぶ初物の苺に心を奪われた。週末だったからか量り売りなどもしていて、甘く馨しい香…

苳
1年前
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氷や雪の結晶の静謐な小さな世界

わたしが住む雪国には膨大な量の雪が降り積もった。 先日夫となった彼は日々雪掻きに奮闘してくれている。 今日も珈琲を淹れて待っていて、と残してひとり雪と向き合って…

苳
1年前
44

わたしにとって紅茶とは

中学生の頃、友人宅へ遊びに行った際に出してくれたフレーバーティーがわたしの紅茶への偏愛の始まり。 わたしにとって紅茶というものは、絡まる糸を解いてくれるような、…

苳
1年前
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プロポーズと蘊蓄は歳晩の夜に

雪がたくさん振り積もった師走のある日。 一緒に住んでいる彼にプロポーズをして頂きました。 十代の頃、お付き合いをする前に食事や散歩に出掛けたことが今でも鮮明に思…

苳
1年前
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日暮れの早い季節には本のガチャを

近頃寒さからか眠くて眠くてたまりません。 仕事から帰宅したあとも休日もうとうととしてしまい、ニトリの柔らかな着る毛布にくるまり寝てしまうので、中々読書にも身が入…

苳
1年前
24

温かな煮込み料理が恋しい霜秋

茶葉の減りが早いと感じるこの頃、もう冬は間近。 わたしにとってお茶は気分が落ち着かない時に助けてくれるとても優しい存在です。 疲れが残る朝。仕事に持っていく水筒…

苳
1年前
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菓名は「錦秋」「山茶花」
華やかな秋色のお菓子は目移りしますね🍁

温かい飲みものがだいすきなわたしたち。
晴れた日にお外で珈琲の焙煎に挑戦しました☕️

天気にも恵まれ香ばしい香りでいっぱいになり
心も身体もぽかぽかした素敵な休日となりました🎞

苳
1年前
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葉が色付き始めた秋の上越名家

昨年の秋の公開の際に訪れた上越名家。 来月秋の公開が控えているのでご紹介🍂🐏‪ 🦢白田邸 様々な木材を使用し、建てられた白田邸。 洋風の意匠が素敵な玄関に初めに迎…

苳
1年前
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だいすきな百花園さんの上生菓子をみっつほど
菓名は「栗拾い」「甘柿」「紅葉路」と秋模様🍂

涼しくなってきてお散歩日和が続きますね。
デイキャンやピクニックも未だ未だしたいです。

ケーキを焼いて持っていくのも楽しいかもしれません。
燻製チーズケーキなんて如何でしょうか?🪵

苳
1年前
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待ちに待った寒露を五感で満喫

ゆったりと外の風を楽しめるようになった。 そんな風にして窓を開けたら風が少し寒いと感じた。 隣の家の木々は鮮やかに色付きはじめ、どこからか金木犀の甘い香りのやわ…

苳
1年前
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愛すべき喫茶店という場所

愛すべき喫茶店という場所

珈琲のいい香りが漂うその場所らはわたしの昔からの憧れだった。大体キーコーヒーの立方体の看板がくるくると廻っていた。

喘息持ちの母の影響か、煙草が今より浸透していた喫茶店という場所には馴染みが無かった。でも人一倍たべものに興味があったわたしは喫茶店という場所が気になって気になってならなかった。

平成生まれのわたしに昭和を感じさせてくれる喫茶店。
少し薄暗く、今では売っていないクラシカルな調度品や

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花曇りの淡い空へと静穏な移ろい

花曇りの淡い空へと静穏な移ろい

西日本に来てはじめての冬は雪を見ず終わりを迎えた。
ゆるゆるとした三寒四温が落ち着いた或る日、玄関を開けると柔らかな風と共にふわりと土と花の香り。近所のお庭には梅をはじめとした様々な花が綻んでいた。
生粋の出不精は何処へやら、心地の良い陽気と春めく景色の中のお散歩が楽しくて、近頃は気晴らしのつもりが大冒険になることもしばしば。

ミモザは北国とされる寒冷地では殆ど目にする機会は無い。そんな憧れの樹

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深秋は午睡と風味絶佳に満たされる

深秋は午睡と風味絶佳に満たされる

未だ猛暑が残る頃に高松でうどんをたんまりと食べた。お店によって異なるうどんの食感とお出汁と天麩羅の余りの豊富さに店内で感涙してしまいそうになる。
その時に造形が美しい和三盆を幾つか購入した。季節を感じる菊の形のものや檸檬ピールが含まれたものと様々だ。その繊細な美しさにずっと見ていられるなあとたくさんある和三盆をじっくりと鑑賞した。しみじみと優しい甘さと幸福感に恍惚とする。

𖡼.𖤣𖥧𖡼.�

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爽やかな風が頬を撫でる秋の日和が心地よいですね🧺

食べることが好きなのですが、空が高くなる秋から冬にかけての旬の食材や煮込みが一等好み。
昨夕には近所のスーパーで大きく粒がつやつや輝く鮭のはらこを見付け、醤油漬けにして頂きました。

お花屋さんに行くことが近頃の楽しみです🌿

鮭颪は恋し温和な海波の近くで

鮭颪は恋し温和な海波の近くで

雪国からとても遠くへ引越しをした。少しずつ違うところがあるからか、パラレルワールドにでも来たみたいで、不思議な感覚に日々囚われながら過ごしている。
灼熱のビビットカラーな景色を横目に、涼しい部屋での読書は非常に捗った。お供の珈琲は後味が軽やかだったり爽やかなものを。珈琲氷を作ってみたりとアイスコーヒーが絶品すぎる夏だった。

随分前のことだけれど、毎日図書室に通う学生だった。学校の書庫は常に静謐で

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薫風緑樹のわたる微睡みに浸る日々

薫風緑樹のわたる微睡みに浸る日々

新じゃがいもに新玉ねぎも買い、道の駅で出逢った山菜で天麩羅パーティを、余ったフキノトウでばっけ味噌を作り、今年は春の食材をたーんと楽しんだ。

今年はじめての新玉ねぎは、好きな料理家さんの今井真実さんのレシピで堪能させて頂く。食材そのものが持つ甘さにバターのまろやかさ、優しさを体現したスープに、毎年春が来たらたくさん作ろうと心に決めた。

ことことと食べものを火にかけている時間が好きだ。鍋の傍らで

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鮮やかに変化する陽春とオールドレンズ

鮮やかに変化する陽春とオールドレンズ

季節が移り変わると旬のものがとても強く恋しくなる。

雪が残る少し前のこと、産直に並ぶ初物の苺に心を奪われた。週末だったからか量り売りなどもしていて、甘く馨しい香りのする苺…、気が付けばじっと誰よりも時間をかけて選んでいた。家に帰って水に晒して啄んでみれば、甘酸っぱい春の訪れでいっぱいになった。

浅利の押し寿司を観た夫は食べたいな…とぽつり。
食への熱量や関心の度合いが似ていて、夫婦揃って食べる

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氷や雪の結晶の静謐な小さな世界

氷や雪の結晶の静謐な小さな世界

わたしが住む雪国には膨大な量の雪が降り積もった。
先日夫となった彼は日々雪掻きに奮闘してくれている。

今日も珈琲を淹れて待っていて、と残してひとり雪と向き合っていてくれている。
無力ながらも珈琲が美味しくなるようにといつも以上に丁寧に淹れるように心掛けた。

𖡼.𖤣𖥧𖡼.𖤣𖥧

◎せいいっぱいの悪口 - 堀静香

数多あるSNSの記事で紹介されていた本書。
タイトルに強く惹かれ、次の

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わたしにとって紅茶とは

わたしにとって紅茶とは

中学生の頃、友人宅へ遊びに行った際に出してくれたフレーバーティーがわたしの紅茶への偏愛の始まり。

わたしにとって紅茶というものは、絡まる糸を解いてくれるような、固くなった気持ちに柔らかさを取り戻してくれるような、傍らで寄り添ってくれる犬のような、そんな優しい存在です。

𓂃𖤥𖥧𖥣⋆*

スコーンの美味しいお気に入りのお店があります。
少し狭い店内は可愛いが溢れています。ステンドグラスのよ

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プロポーズと蘊蓄は歳晩の夜に

プロポーズと蘊蓄は歳晩の夜に

雪がたくさん振り積もった師走のある日。
一緒に住んでいる彼にプロポーズをして頂きました。

十代の頃、お付き合いをする前に食事や散歩に出掛けたことが今でも鮮明に思い出せます。長く一緒に居て、もう家族の様だった気がしますが、普段は寡黙な彼の言葉を改めて聞いて、胸がいっぱいになりました。

様々なものをたくさん見て共有して、何より彼と美味しいものを一緒に食べて生きていきたいです🍲‪𓂂𓏸

𖡼

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日暮れの早い季節には本のガチャを

日暮れの早い季節には本のガチャを

近頃寒さからか眠くて眠くてたまりません。
仕事から帰宅したあとも休日もうとうととしてしまい、ニトリの柔らかな着る毛布にくるまり寝てしまうので、中々読書にも身が入らない近頃。
でも変わらずに読書は大好きなので本を探していた時、とても面白い企画をしている頁に出会いました。

最近中身が分からないガチャ形式で販売しているもの、多いと感じます。そんな中見かけた本のガチャ。

この本のガチャはhontoさん

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温かな煮込み料理が恋しい霜秋

温かな煮込み料理が恋しい霜秋

茶葉の減りが早いと感じるこの頃、もう冬は間近。
わたしにとってお茶は気分が落ち着かない時に助けてくれるとても優しい存在です。

疲れが残る朝。仕事に持っていく水筒にはいつもより華やかな香りのするお紅茶を。そうすると、ふと水分補給した際に、こころがほっと軽やかになる気がするのです。

‎ܾ ܾ 𖥧𓇣𖦥𖥧𖥣

◎フィンランドで気づいた小さな幸せ365日 - 島塚絵里

ファッショナブルで自然

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菓名は「錦秋」「山茶花」
華やかな秋色のお菓子は目移りしますね🍁

温かい飲みものがだいすきなわたしたち。
晴れた日にお外で珈琲の焙煎に挑戦しました☕️

天気にも恵まれ香ばしい香りでいっぱいになり
心も身体もぽかぽかした素敵な休日となりました🎞

葉が色付き始めた秋の上越名家

葉が色付き始めた秋の上越名家

昨年の秋の公開の際に訪れた上越名家。
来月秋の公開が控えているのでご紹介🍂🐏‪

🦢白田邸

様々な木材を使用し、建てられた白田邸。
洋風の意匠が素敵な玄関に初めに迎えられます。梁がしっかりとしたこの建物には杉や松の他に楡や栗といった木材も使用されており、発見が多く興奮が止まりませんでした。
北土院から見るお庭は美しく、うっとりして時間を忘れてしまいました。また、建具の細やかな説明もあり嬉し

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だいすきな百花園さんの上生菓子をみっつほど
菓名は「栗拾い」「甘柿」「紅葉路」と秋模様🍂

涼しくなってきてお散歩日和が続きますね。
デイキャンやピクニックも未だ未だしたいです。

ケーキを焼いて持っていくのも楽しいかもしれません。
燻製チーズケーキなんて如何でしょうか?🪵

待ちに待った寒露を五感で満喫

待ちに待った寒露を五感で満喫

ゆったりと外の風を楽しめるようになった。
そんな風にして窓を開けたら風が少し寒いと感じた。

隣の家の木々は鮮やかに色付きはじめ、どこからか金木犀の甘い香りのやわらかな風が家の中まで入ってくるので窓を開けることが日課です。身に付けるものもだいすきな秋色の服に囲まれています🍂🐏‪

𖡼.𖤣𖥧𖡼.𖤣𖥧⚘

◎おいしいごはんが食べられますように - 高瀬隼子

ストレートな帯の謳い文句に

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