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鮮やかに変化する陽春とオールドレンズ



季節が移り変わると旬のものがとても強く恋しくなる。

雪が残る少し前のこと、産直に並ぶ初物の苺に心を奪われた。週末だったからか量り売りなどもしていて、甘く馨しい香りのする苺…、気が付けばじっと誰よりも時間をかけて選んでいた。家に帰って水に晒して啄んでみれば、甘酸っぱい春の訪れでいっぱいになった。

浅利の押し寿司を観た夫は食べたいな…とぽつり。
食への熱量や関心の度合いが似ていて、夫婦揃って食べることや作ることも非常に好きだ。そしてサプライズも。天気のいい休日、わたしは浅利を買いに自転車を走らせた。


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◎おあげさん - 平松洋子

平松洋子さんの綴る食べもののエッセイが一等好きだ。
書影を見たとき、まさにおあげさんを連想させる愛らしいイラストに胸を持っていかれたのを覚えている。
出逢った油揚げたちの紹介やレシピだけでは飽き足らず、対談や内田百閒までもが登場する。平松さんの深い愛を感じる一冊となっている。

斯くいうわたしもあぶらあげを愛してやまない。
煮ても焼いても何にでもぴったりと合うので、夫に呆れられる程様々なメニューに登場する。刻んであるたっぷり入ったあぶらあげと家から少し離れた大型のスーパーで出会ってしまったので、本日も宜しくあぶらあげ。


◎私的読食録 - 堀江敏幸 角田光代

本の中に出てくる食べものはなんと印象深いことだろうか。二人の作家さんが往復書簡の様に「食」をベースにして数多の本の紹介をしてくれます。読むという食体験、まさに読食。食べ物に纏わる一風変わった散文集です。

高村光太郎は、「死んだ智恵子が造つておいた瓶の梅酒は/十年の重みにどんより澱んで光を葆み、/いま琥珀の杯に凝つて玉のやうだ」と詩った。

数えてみると、我が家の梅酒は、十五年ものになっている。あれこれ思い出しそうなのが怖くて、私はいまだそれを口にすることができない。

記憶の珠を結ぶ  より

わたしにとって印象的な読食は、ビアトリクス・ポターの「パイがふたつあったおはなし」です。わたしは幼い頃からさくさくぱりぱりとした塩気のあるパイやキッシュが好きで大人になった今は自作するほど。
ふたつのパイを巡り、美しい絵と共に少しの皮肉が含まれたユーモア溢れるこの本は、わたしに図書館は様々な本がいっぱいある素敵な場所だと教えてくれました。久しぶりに図書館の児童書のブースに行ってみようかな。




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ある晴れた日の夕暮れに、カメラと温かな珈琲を持って近くの公園まで出掛けた。フィルムカメラに付けていたオールドレンズをデジタルに付けて外に持っていくのははじめてでしたが、試行錯誤してたくさん写真を撮ることが出来て満喫させて貰った。

レンズはSuper Takumar 55mm f1.8のもの。夕日を柔らかく捉え、桜の繊細さを一層魅力的に写してくれた。

今年はすぐに散ってしまった

桜は儚い花だなと春が来る度に思う。日本海側は天気が不安定だから一層感じる。次は何の花を見に出掛けよう。ピクニックも登山もキャンプも天体観測も、今年もたくさん楽しむことが出来ますように⛰




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