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花曇りの淡い空へと静穏な移ろい


西日本に来てはじめての冬は雪を見ず終わりを迎えた。
ゆるゆるとした三寒四温が落ち着いた或る日、玄関を開けると柔らかな風と共にふわりと土と花の香り。近所のお庭には梅をはじめとした様々な花が綻んでいた。
生粋の出不精は何処へやら、心地の良い陽気と春めく景色の中のお散歩が楽しくて、近頃は気晴らしのつもりが大冒険になることもしばしば。

ミモザは北国とされる寒冷地では殆ど目にする機会は無い。そんな憧れの樹木は暖かい地域には様々な箇所に植えられている。毛糸で作られたポンポンのような黄色の花の愛らしさは優柔に琴線へと触れてくる。

小学生の頃に綿花をはじめて見たときのときめきを再び


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◎一汁一菜でよいという提案 - 土井善晴

物語の中から現れた様な素敵なお方、土井善晴さん。
わたしは暮らしをすることが好きなのだと再発見させてくれる、たくさんの気付きを与えてくれる一冊でした。飾らないけれどしみじみと美味しいと伝わり生唾を飲む、そんな写真の数々。お坊さんのお話を聞いている様な感覚で、こころが清らかになっていく感覚に包まれます。新年度となりてんてこ舞いなことも多いけれど、このバイブルが傍にあればきっとわたしは大丈夫。


◎パリのキッチンで四角いバゲットを焼きながら
    - 中島たい子

パリの郊外に居を構える叔母のロズリーヌ。彼女は美しいだけではない不思議な心地よさを持っている。
お手製の四角いバゲットにはじまり、贈りものにファブリック…。日本に住まう自身の感覚とは異なる部分も多く、少なからず戸惑いもあるけれど、豊かに生活するということの気付きが多くある。自然体を素直に楽しもうよと柔らかく背中を押して貰った。
少し遠い存在だったフランスのイメージを覆してくれる。


◎ビブリア古書堂の事件手帖IV~扉子たちと継がれる道~
    ‐ 三上延

古書に纏わる様々な謎たちを紐解くミステリー小説。可愛らしい女性の表紙だなと侮ること勿れ、散りばめられた謎に深く惹かれていく。繊細に書かれた世界観が好みな方には三上延さんの他の小説も是非おすすめしたい。
こちらの一作目に登場する小山清の「落穂拾ひ・聖アンデルセン」。読書好きの先輩からこの作品に出てくる新潮文庫をプレゼントして貰ったことがある。随分と気に掛けて貰ったのだが、わたしからは殆どお返しが出来ずに疎遠となってしまったことが今でも心残りである。先輩が健康で穏やかに暮らしていることを祈っている。


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春の植物の朗らかさと力強さに日々圧倒されている。

菜の花が店頭に並び始めた頃、酒徒さんの菜の花と貝柱の鍋を作り春を先取りした。水で戻した貝柱はふっくらとしており何だか可愛らしく、お出汁の繊細な滋味が身体をじんわりと癒してくれた。木々も葉桜となり菜の花は食べるものから可愛らしい小花を眺めるものへと変化した。名残惜しいが来年もまた楽しみたいなと思う。


淡い空の或る日には今井真実さんの春菊ポテトを。
バターで炒めた春菊はハーブの様に馨しい。主にすき焼きや天麩羅で頂く春菊。こちらのレシピを作ってみたら、夫は毎日でも食べたいくらい…と一層春菊が好きになった模様。香り豊かな春菊とねっとりとした新じゃがいもに陶酔する。お酒にも合うのできゅっと辛口の白ワインと共に。


また、テレビ東京系列の「ヤギと大悟」がレギュラー放送から特番に切り替わるのだそう。ゆるく穏やかな雰囲気を週末の楽しみにしていたのでとても淋しい。

晴れ模様の多い地域にお引越しをしたのもあり、雨の日が特別なものになった。網戸を少し開けて傍らでお湿りを感じる。しんみりと春の移り変わりを感じている。


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