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ドラマ・シネマローグ

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日本のドラマ・映画を中心に感想と思ったこと考えたこと。
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#テレビドラマ感想文

ドラマ「季節のない街」〜どこへも行けない、どこにも行かない

ドラマ「季節のない街」〜どこへも行けない、どこにも行かない

ずっと観たいと思っていた、宮藤官九郎 脚本・監督「季節のない街」が、やっとテレ東でも始まり、毎週楽しみに観ている。

このドラマはクドカンが長年温めていた企画であり、原作は彼が演劇を始めるきっかけになったと言う山本周五郎の同名小説。
すでに黒澤明監督が「どですかでん」で映画化しているが、今作では、12年前に起きた”ナニ”の災害によって被災し、仮設住宅に暮らす人々に設定が置き換えられている。

主人

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ドラマ「最高の離婚」~それぞれの夫婦のかたち

ドラマ「最高の離婚」~それぞれの夫婦のかたち

春の連ドラ開始の狭間に、先日10年ぶりくらいにドラマ『最高の離婚』を観た。
当時も、坂元裕二さん脚本の醍醐味であるセリフの秀逸さや、夫婦の悲喜こもごもをユーモラスに描いていて、その面白さに惹きこまれたけれど、結婚してまだ数年で子育てに追われていたこともあり、夫婦とは…なんてそんなに深く考えてはいなかった。
しかし今改めて観ると、夫婦ってなんだろうな…としみじみと思うところがあった。

真面目だけど

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ドラマ「お別れホスピタル」〜死ぬってなんだろう

ドラマ「お別れホスピタル」〜死ぬってなんだろう

苦しくなるほど胸を締め付けられたドラマ「透明なゆりかご」につづき、原作:沖田×華さん、脚本:安達奈緒子さんが再びタッグを組んだドラマ「お別れホスピタル」
前作は命の誕生と死を見つめる小さな産院が舞台だったが、今回は末期がんなど死と向き合う患者とその家族を見つめる療養病棟が舞台だ。

主人公の辺見歩(岸井ゆきのさん)は、療養病棟で働く看護師。
病院では吸えないので、毎朝出勤前に海辺で車を止め電子タバ

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ドラマ「すべて忘れてしまうから」〜夢見る頃を過ぎても

ドラマ「すべて忘れてしまうから」〜夢見る頃を過ぎても

ミステリー作家のM(阿部寛さん)は、日頃から、行きつけのバーや喫茶店(見栄晴さんがマスター)を書斎代わりとして執筆している。
ある夜バーに、失踪した恋人F(尾野真千子さん)の姉だと名乗る、右目に眼帯をした謎の女(酒井美紀さん)が現れ、自分も受け取れるはずだった祖母(草笛光子さん)の遺産を独り占めした妹の代わりに、内縁関係と言っていいあなたが払って!と、金を要求される。
正体不明の女からのそんなムチ

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ドラマ「いちばんすきな花」〜二人組だっていいんだよ

ドラマ「いちばんすきな花」〜二人組だっていいんだよ

ドラマ「いちばんすきな花」が最終回を迎えた。
今期ドラマの中では「Silent」の生方美久さんが脚本を担当するということで、期待値は一番高い作品だった。

二人組を作るのが苦手だった四人がひょんなことから出会い、四人組になってちょっと生きやすくなってゆく、という物語だったと思う。

男と女では友達になれないのか?とか、いろいろな思い込みや決めつけを、取っ払ってゆく部分は分からないでもなかったが、回

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ドラマ「コタツがない家」〜曲者ぞろいのホームコメディ

ドラマ「コタツがない家」〜曲者ぞろいのホームコメディ

しばらくドラマの感想が書けてなかったけれど、今期ドラマも毎週楽しみにいろいろ観ている。
「きのう何食べた?シーズン2」も安定の良さだけど、今一番気に入っているのが「コタツがない家」だ。

オープニング映像で、深堀家の男たちを背中に乗せ力強く飛ぶ、万里江は逞しくカッコいい。
深堀家の男たちは私が養う!という気概と、頼りになり懐が深そうな主人公・万里江役は、小池栄子さんにピッタリ。
小池さんて観音菩薩

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ドラマ 「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」 シーズン1〜それぞれの生き様と死に様

ドラマ 「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」 シーズン1〜それぞれの生き様と死に様

前々からその評判をnoteでも読んでいて観たいと思っていた、アマプラ・オリジナルドラマ「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」。
脚本は「コンフィデンスマンJP」シリーズや大河ドラマ「どうする家康」でも活躍中の古沢良太さん、「ドクターX ~外科医・大門未知子~」シリーズ、「緊急取調室」シリーズなどを手がけた香坂隆史さん。

国際霊柩送還士とは、海外で亡くなった方のご遺体を国境を越えて遺族に送り届ける

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ドラマ「かしましめし」〜仲間と囲むご飯は、あったかくて美味しくて沁みる

ドラマ「かしましめし」〜仲間と囲むご飯は、あったかくて美味しくて沁みる

最初にドラマ「かしましめし」の設定を見た時は、また深夜枠で、またご飯食べる話で、また美大仲間の話かぁ…と正直思った。

それでも試しに第1話を観てみると、冒頭から美大の同級生のお葬式で、千春、ナカムラ、英治の3人が再会するシーンから始まったので、ちょっと面食らう。
しかも亡くなったのは、主人公・千春(前田敦子さん)の元カレで、さらに英治(塩野瑛久さん)の元カレでもあったことが、英治のゲイであるとい

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ドラマ「やっぱり猫が好き」に慰められた〜50代、山あり谷あり

ドラマ「やっぱり猫が好き」に慰められた〜50代、山あり谷あり

実は、ここ2、3ヶ月くらいずっと体調が優れなかった。
発端は、ある日とつぜん体のあちこちが痒くなり、蕁麻疹が出ては消えるというのを繰り返すようになった事だった。
先ず疑ったのは、服薬している甲状腺の薬だった。ほぼ甲状腺ホルモンの値も通常に戻りつつあったものの横ばい状態だったため、同時期に少し薬の量を増やしたら多すぎたようで、亢進症の反対の低下症状態になってしまった。しかし一年近くも飲んで何ともなか

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ドラマ「今夜すきやきだよ」~美味しいご飯と、女同士の共生

ドラマ「今夜すきやきだよ」~美味しいご飯と、女同士の共生

ドラマ「今夜すきやきだよ」は、週末の癒しだった。

バリバリ働く内装デザイナーの太田あいこ(蓮佛美沙子さん)は、家事が苦手で恋愛体質。売れない絵本作家の浅野ともこ(トリンドル玲奈さん)は、家事が得意でアロマンティック(他者に恋愛感情を感じない人)。
気質もライフスタイルも正反対な二人は、お互いの得意なことでお互いの足りないところを補い合うような関係で、あいこが例えていたイソクマ(イソギンチャクとク

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ドラマ「時効警察」&「帰ってきた時効警察」

ドラマ「時効警察」&「帰ってきた時効警察」

冬季ドラマも次々と最終回を迎え、次のシーズンが始まるまでの、ぽっかりと空いてしまった時間を埋めてくれるのが、過去に放送された名作ドラマたちだ。
今Tverでは「時効警察」(2006年)が「帰ってきた時効警察」(2007年)との二本立てで全話一挙配信されている。
「時効警察」1〜5話 4/11、6〜最終話 4/18迄、「帰ってきた時効警察」4/4迄。(Tverの回し者ではありません)

「時効警察」

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ドラマ「大奥」〜それぞれの愛の道

ドラマ「大奥」〜それぞれの愛の道

「大奥」5話~7話、五代将軍・徳川綱吉と右衛門佐の物語も、とても心を揺さぶられた。

前回4話までの感想はこちら

色狂いなどと揶揄される反面、学問好きで本当は女だとか男だとかの区別なく生きたかった綱吉もまた、将軍という運命に翻弄された人生だった。

一人娘である松姫を幼くして失い、将軍と言えども女と生まれたからには早く次の世継ぎを産むのだ!それがお前の存在意義なのだ!と言わんばかりの父・桂昌院(

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ドラマ「ヒヤマケンタロウの妊娠」と私のマタニティライフ

ドラマ「ヒヤマケンタロウの妊娠」と私のマタニティライフ

Netflix、テレ東でも配信されているドラマ「ヒヤマケンタロウの妊娠」を観ている。
この作品は、子供を産むということ、家族の形についても、いろいろ考えさせられる。

男性妊娠、子供を産むということ

やり手のエリート広告マンでプレイボーイの桧山健太郎(斎藤工さん)は、ある日、自分が妊娠したことを知る。
子供の母親はフリーライターの亜希(上野樹里さん)で、お互い特定のパートナーとして付き合っていた

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ドラマ「大奥」〜男の園と、修羅の道

ドラマ「大奥」〜男の園と、修羅の道

ドラマ「大奥」は、今期スタートのドラマ中で、今のところ個人的に一番見応えがあると感じている。

舞台は、若い男だけが感染するという"赤面疱瘡"という奇病が蔓延し、男子は女子の4分の1にまで激減した、もう一つの江戸時代。
社会構造は激変し労働も女が一手に担うこととなり、商家の主人も武家の当主も、そして将軍様も女。
貴重な若くて綺麗な男子は囲いこまれ種馬として大切にされ、高値で女たちのために種付を行う

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