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クロネコ谷の日々

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庭の仕事と猫、時々ものつくりの備忘録。丘陵地にある古い家にて。 2020年6月はじまりから2023年2月
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2020年7月の記事一覧

(54)ターニングポイント

(54)ターニングポイント

そろそろ長い梅雨も終わりそう。蝉も鳴き始めた。木槿は高い枝の先っぽにポツンと咲いていた。

朝涼しいので、張り切って梅の剪定を始め、勢いづいてテラスの柵に絡みついて繁ったカロライナジャスミンと、さらにモッコウバラは思いきってかなり切り詰めた。梅は花梅と実梅で剪定がちがう、という事を植物染料を調べていて知って、探してみれば実梅の切り方が見つかったのでそれに習って切った。やっと梅らしい形になってきたか

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(53)やる気ゼロ

(53)やる気ゼロ

今朝の収穫はキュウリ1本、黄色いミニトマト6個、ミョウガふたつ、レモンバームとオーデコロンミント、ナスタチュームの葉と虫食いだらけの青紫蘇。シソとスペアミント、オレンジミントがバッタ被害が凄く、カマキリは1匹いたけど、もっとみなさんで対応してくれないものかと思う。それこそ網で捕まりそうだけど、あまりやりたくはない。
房が下がっているのはアガパンサスの実、縦縞の葉はオリヅルランのこども。オリヅルラン

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(52)眠りのために。

(52)眠りのために。

とても眠くて眠くて、ようやっと眠れるとなったら寝つけない事がこのところよくあって、猫労いの時間を、寝る前にかならず作るようになった。眠りにつく前のほんの数分に、猫たちをほめて、ありがとうねと伝える時間。猫たちは聴き入って、ゴロゴロとのどを鳴らして満足そうになり、私も緊張が解けていく。

ゆっくりと、伝わるように、猫たちに話しかけていると声のトーンが穏やかになるから、自分も眠くなるのだろう。ある夜、

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(51)長い梅雨

(51)長い梅雨

土用入りしての梅雨はすべての生き物がしんどそうだ。唯一元気なのはカビくらい。キッチンの流しの水漏れは、翌朝水道屋さんが来てくれて、すぐに直してくれてほっとした。でも床が水を含んでしまい、なかなか乾ききらないので、腐ったらどうしようと昨夜はずっと扇風機を当てていた。恐ろしいくらい湿気があるので、エアコンを弱く付けて、そこら中のドアを開け、2台ある扇風機を向きを変えながら回している。今年は土用干しなん

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(50)オオバベニカシワ染め 2

(50)オオバベニカシワ染め 2

先日オオバベニカシワで染めた糸などは数日経ってようやく乾いた。酢酸鉄媒染で染めたグレーと、重曹のアルカリ媒染の金茶色、の予定が、金茶色になったのはジュート紐だけだった。木綿糸とリネン糸は薄い灰緑~ベージュになった。

酢酸鉄媒染液に浸した時の、青系の澄んだグレーがそれは美しくて、疲れてボンヤリしていたのに覚醒して、一気に目が覚めた。洗うと青味がどんどん抜けていって、ピンクを感じるグレーになるので、

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(49)いったん休み。

(49)いったん休み。

雨は降ったり止んだりだが、7月下旬ともなると気温は高くなくてもかなり蒸し暑い。冷房の嫌いな猫も湿気には参ると見えて、ゆるくエアコンをつけておく。

2回目に染めたものは、日が暮れてようやく乾いてきた。オオバベニカシワで染めたグレーは、洗って乾かすとずいぶん趣きが濡れていたのとは変わって、ピンクのニュアンスグレーになった。春先の葉の色を思わせる赤の色で、植物染めはその植物の持っている色素で染まるのだ

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(48)スポーツの日に想う

(48)スポーツの日に想う

朝窓から覗くと大きなキュウリが垂れ下がっていたので、染め作業を中断して慌てて取りに行ったついでに、紫式部の紫にならないまだ緑色の実がついている枝と、花の咲いたレモンバームも摘んできた。あんな蒸し暑い庭で元気なのに、活けてみたらとても涼しげに見えて、緑って不思議だなと思う。

夕方仕事が片付かないままバイトへ行ったので、帰宅して猫のごはんをやるとすぐに、染液に浸けて冷ましておいた糸を洗って、作りかけ

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(47)カメラ嫌い

(47)カメラ嫌い

また朝からザアザア雨の音がしていて、ずいぶん酷い気候だけど大丈夫だろうかと心配になった。湿気の鬱陶しさよりも、こんな長梅雨だと夏野菜や秋の収穫など作物への影響が気になってくる。

猫は傘が好きで、傘を広げて置いているとモモがいそいそとやってきて、すまして座っている。じっと私を見るのでカメラを向けると、途端にムッとした表情になり、あっちを向いたりこっちを向いたりと目をそらしている。

昨日染めた糸は

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(46)オオバベニカシワ

(46)オオバベニカシワ

大葉紅槲。いつにしようかと狙っていたが、とうとう染める日が来た。にょきにょきと次々に生えてくる謎の植物が染料らしい。枝を刈り取り、大きな葉も採取がとても簡単で作業が楽。黒を染めるのに使われたというが、この採取が楽で丈夫で馬鹿みたいに増える点もきっと重宝したのだろう。

とりあえず染液を煮出して、月イチのヨガクラスと図書館へ向かった。久しぶりにウォリアーのポーズをしたらフラフラしてしまい、大腿部はサ

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(45)グレイカラー

(45)グレイカラー

いつまでたっても空の色はグレイのままの長い梅雨。猫たちも怠そうにしている。テーブルの上に作業中の道具類が置いてあるのだけども、どうせすぐしないんでしょうとばかりに、枕にして寝そべっていた。

昨夜帰宅すると茗荷の花が元気に開いていて、朝になるとくったりしていたので、どうも茗荷は夜型らしい。萎んだ花は摘んでそのまま弁当箱に詰めた。春のだいこんの花やハーブの花、ささやかでも花を添えておくと蓋を取った時

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(44)茗荷ちがい

(44)茗荷ちがい

朝心待ちにしていた初茗荷が5個もとれた。咲き終わった花がついているから昨日咲いていたはずなのに、いつも初咲きが見つけられない。今朝も蕾だから昼近くに咲いてるのかもしれないと思う。

縞模様のヤブランの葉とヤブミョウガの白い花。ヤブミョウガは茗荷とよく似た葉で、越してきた頃はこれを茗荷と勘違いして大切にしていたが、やがて葉先に白い蕾をつけて咲きだしたから茗荷じゃないとがっかりした。ヤブでも食べられる

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(43)土用入り

(43)土用入り

早いもので土用入り。紫陽花は鮮やかな色が褪せていく。面白いのは、青や紫やピンクの花は文字通り褪せていくのに対して、白い紫陽花は白くなくなっていく。初めは薄青くなっていたのが、いつの間にか紅をさしたようなところと藤色になっていた。薄緑色になったこともあるので、条件によって変わってしまうようだ。

雨ばかりだったので、ミニトマトは色付かず、コリアンダーは実を収穫、キュウリは一本ずつ2種類とれた。お昼に

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(42)もうひとつの世界

(42)もうひとつの世界

朝障子ごしの光の中、小鳥のさえずる声が聞こえていた。しばらく聞いていたが、猫も庭を気にしてるし、雨なのに珍しいとそっと障子を開けて覗くと、シジュウカラが何羽も行き来していた。花蘇芳の木の中で、枝から枝へと飛んで何かをついばむ。小鳥の姿が見えると、ほっとする。

鳥の姿を追っていたら、ミニトマトの支柱に避難しているカタツムリが写っていた。下を向いて、自分の殻を傘がわりにしていたので、知恵があるなと感

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(41)街へ行く 2

(41)街へ行く 2

朝からザバザバと音を立てて雨が降って随分な天気だと思うけれど、そのほうが人出は少ないだろうと予定通りにいく。半年振りにヘアサロンへ行き、午後から東京都現代美術館へ向かった。

3月から開催予定だったオラファー・エリアソンの展示が会期をずらして6月29日からスタートした。その時は実はオラファー・エリアソンについて全く知識がなく観る予定もなかった。ところが、遅れて始まった展覧会への反響を見聞きしていて

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