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(54)ターニングポイント

そろそろ長い梅雨も終わりそう。蝉も鳴き始めた。木槿は高い枝の先っぽにポツンと咲いていた。

朝涼しいので、張り切って梅の剪定を始め、勢いづいてテラスの柵に絡みついて繁ったカロライナジャスミンと、さらにモッコウバラは思いきってかなり切り詰めた。梅は花梅と実梅で剪定がちがう、という事を植物染料を調べていて知って、探してみれば実梅の切り方が見つかったのでそれに習って切った。やっと梅らしい形になってきたから、冬剪定も上手くいけば来年実るかもしれない。

ターニングポイントというのは、目に見えて動くタイミングを指す事が多いが、実際のところはそのずっと前から準備期間があって、動くその時が訪れるのだと思う。さらに準備期間を過ごす前に、ささやかな始まりの瞬間があって、それは気づかないこともあるだろう。数日前にささやかな始まりと言えるような、ある考えがふっと浮かんだ。私にとってそれはとても衝撃的なもので、信じられないアイデアだったし、実現可能かもわからない。でもその瞬間の前と後では、何かが変わってしまった。行うすべてのことが、その瞬間を通過した私がすることになっていた。

ちょうど今虎ノ門で坂口恭平さんのパステル展が行われている。絶対観たかったのに、チケットの購入手続きをしている間にソールドアウトしてしまった。熊本の風景を描いたという絵は、ふつうの日本の田舎の景色なのに、此処ではない世界へ突き抜けてしまってとんでもない透明感のある景色が絵の中に広がっている。秋に画集が出るそうだからそれも楽しみだけども、この目で原画を観ておきたかったのだった。

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