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(42)もうひとつの世界

朝障子ごしの光の中、小鳥のさえずる声が聞こえていた。しばらく聞いていたが、猫も庭を気にしてるし、雨なのに珍しいとそっと障子を開けて覗くと、シジュウカラが何羽も行き来していた。花蘇芳の木の中で、枝から枝へと飛んで何かをついばむ。小鳥の姿が見えると、ほっとする。

鳥の姿を追っていたら、ミニトマトの支柱に避難しているカタツムリが写っていた。下を向いて、自分の殻を傘がわりにしていたので、知恵があるなと感心した。カタツムリは冬越しできるそうで、このサイズだと一冬超えているかもしれない。

昼バイトをして帰宅すると、10センチ程のヤモリが壁にはりついていた。あら久しぶりですね、と声をかける。ピクリとも動かないので、聞いているかもわからない。ヤモリは場所で色が変化するらしくて、この壁で見かける子は白からベージュが多く、このヤモリは色が濃いから来たばかりかもと思う。

フルコースのランチは、郊外の店とはいっても贅沢だから、自粛で疎遠になっていた人達との大切な時間だろう。でも、私は一人では動けても、働くのもできるけれど、人と会うことに臆病になっているのもあるし、なんだか別世界だなと思いながらサービスしていたら疲れてしまった。


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