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(41)街へ行く 2

朝からザバザバと音を立てて雨が降って随分な天気だと思うけれど、そのほうが人出は少ないだろうと予定通りにいく。半年振りにヘアサロンへ行き、午後から東京都現代美術館へ向かった。

3月から開催予定だったオラファー・エリアソンの展示が会期をずらして6月29日からスタートした。その時は実はオラファー・エリアソンについて全く知識がなく観る予定もなかった。ところが、遅れて始まった展覧会への反響を見聞きしていていると、ただならない気がして、これは行かねばならないと思った。

初めて観るオラファー・エリアソンの作品は、何といえば良いのだろう? ピリピリするようなエッヂではない、大きな柔らかさでもって、疑問を投げかけてきているような感じがする。問われている、と感じる。それと同時に美しくて、さらに、同時に楽しい気持ちにさせる。

パンフレットを読むと、光や水、霧などの自然現象を新しい知覚体験として再現する作品で高く評価されているらしい。エリアソンのアートを介したサステナブルな世界の実現に向けた実践に触れる機会、とある。

地球の環境は、問題提起する人々の活動と取組みよりも、残念ながら人間の欲望がまさって、いよいよ悪化している。ほんの少しの買い物をしただけで、プラスチックのゴミがもれなく付いてくる。私達が購入しやすく、便利なように、一口ずつオヤツを食べられるように、それだけのためにプラスチックが使用されている。

環境について考え、選ぶこと。
アートをすること。

展示作品の多くは、航空機ではなく、より二酸化炭素の排出量の少ない鉄道と船でベルリンから日本まで運ばれたのだという。スタジオのキッチンで出た野菜屑から、水彩画の顔料を作ることもしている。

環境について考える事と、アートが、私の中で今までバラバラの場所にあったのが、このオラファー・エリアソンの展示「ときに川は橋となる」を観て経験したことで、繋がるすべを見つけたようだ。

ライトを持って壁に向かって描く体験。二人一組なので、初対面の人と挨拶を交わして、身体全体使って線を描く。コミュニケーションを取らないでいると、線が硬くなるみたいだった。話しかけてくれる方で、良かった。

現代美術館の前庭の草花。黄色の女郎花、オレンジの鬼百合、薄紫の桔梗に後はわからないけれど、たぶん日本の野草だろうと思う。観終わって外へ出ると、雨の中、泰山木の下のベンチで三味線の練習をしてる人がいて、さすがは深川、江戸情緒。時折ずれる音も愛嬌としばし楽しんで帰宅の途へ。

しかし行きはヨイヨイ帰りはなんとやら。西側から東側の往復にまだ慣れなくて、都区内に住んでた頃が懐かしかった。

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