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[香りを巡る旅] プロジェクトと記事紹介
こんにちは。「香りを巡る旅」を運営しているaoiです。
2023年5月にスタートした本プロジェクトですが、9月のフランス取材を経て、読んでくださる方が増え始め、とてもうれしく思っています。
記事も少しずつたまってきたので、ここで改めてプロジェクトや私自身、これまでの記事についてご紹介したいと思います。
「香りを巡る旅」とは「香りを巡る旅」は香りの文化にまつわる場所や人をたずね、記事やエッセイ
香りを巡る旅〜2024年5月 南仏グラースへ
みなさんこんにちは。
「香りを巡る旅」を運営しているaoiです。
2023年にスタートした「香りを巡る旅」は、香りの持つポエジー(詩)を求め、香り文化にまつわる場所や人をたずねて記事やエッセイで紹介するプロジェクトです。
「香水」や「お香」でなく「香り」としているのは、製品だけでなくそれが出来上がる背景、花や植物の香り、自然、産地、そこに関わる人々に焦点をあてているからです。
昨年9月にフラ
【現地レポート③】 香りの都 グラース: Aromatic FABLAB
グラースの自然に囲まれて丘の中腹にあるグラースの旧市街から、バスでぐるぐると山道を下り、麓にある村の一つMouans-Sartoux(ムーラン・サルトー)に Aromatic FABLAB (アロマティック・ファブラボ、以下ラボ)がある。
朝8時半、ラボの前で待っていると早くも干し草のハーブのような香りが漂ってくる。間もなく以前からメールでやりとりしていたラボの事務方を担当するレティシアが現れた
【現地レポート②】 香りの都 グラース: 花栽培再興への道
(前回の記事:グラース 香水と花栽培の歴史)
ルネサンス期の香りつき手袋から始まり、地理的条件をいかした花の栽培、天然原料から香料への加工、そして調香技術で香水の街として発展してきた南仏の街グラース。今日においてもグラース産のローズやジャスミンといえば、高級香水にも使用される付加価値の高い花として知られているが、第二次大戦以降、花の栽培数は激減し、2000年初頭には数軒の農家が残るのみとなっていた
【インタビュー】 調香師 Didier Gaglewski : 軽さと楽しさで遊ぶ 〈後編〉
調香の学校を卒業すると、グラースにある原料工場に就職し、あるベテラン調香師のもとで学んだ。ひと昔まえの調香は父から子へと一家相伝で伝えられる類の技術であった。現在では数は多くないが学校で学ぶことができる。しかしそこを出たからといって一人でなれる職業ではないそうだ。
職場で二千とも三千とも言われる香料に触れながら個々々の香りを記憶しつつ、経験豊かな調香師から香りの組み立て方について細かい指導を受け
【インタビュー】 調香師 Didier Gaglewski : 軽さと楽しさで遊ぶ 〈前編〉
客がいない時は表へ出て、斜向かいにアトリエとギャラリーを持つ陶芸家のサンドリーナと立ち話をしている。私が出たり入ったりするのを見かけると、手を振るか、声をかけてくれる。2023年9月、初めてのグラース滞在でディディエのところで部屋を借りられたのはラッキーだった。一週間に渡る香りの調査にやってきて、こうして自然な形で知り合えたのだから。
調香師のディディエは、私がグラースにやってくるきっかけとなっ
ジャン=クロード・エレナとイチジクの葉
以前から漠然とあった香りへの興味に対し、もう少し踏み込んでみようか、と思ったきっかけの一つにジャン=クロード・エレナの著書「香水」がある。エレナはエルメスの専属調香師をつとめた世界トップクラスの調香師で、当時は知らなかったが、以前愛用していたエルメスの香水「ナイルの庭」と「Voyage d’hermes」もエレナによるものだ。
本の中ではエルメスの香水「庭」シリーズの第一弾と二弾である「地中海の