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エッセイ

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香り、記憶と官能に関するエッセイや取材日誌など
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記事一覧

雨(上がり)の香り

地中からたちのぼる香り ここ何日か雨が続いて、あっという間に涼しくなったが、思い返せば少…

墨の香り

墨の香りを心地よく感じるようになったのはいつからだろうか。 思い起こせば墨をすった記憶は…

捉えられない ; 「香り」という言語

「季節の香り」というエッセイの中で、それまで意識していなかった身の回りの香りを感じ取れる…

ないのが好み, あるのが好み?

こないだ友人の一人からラインがあって、その内容がとても素敵だった。 道を歩いていると、前…

季節の香り

ここ1、2年、風の中に、あるいは空気の中に漂っている植物の香りを敏感に感じるようになった。…

グラースのジャスミン農園再訪

2023年の現地レポート⑤で紹介した、アンとモーリンの農園を2024年5月に再訪した。 農園再訪…

好きと憧れが持つ潜在力 : note1周年

note1周年 この一年の歩み 昨日はnoteで「香りを巡る旅」の記事掲載を始めて1周年の日でした。 プロジェクトを立ち上げる前に、香りや調香に関する興味から色々調べている期間があったこともあり、もう10年以上取り組んでいるような気でいましたが、実際に動きはじめてまだ1年しか経っていないんだ…それくらい濃い1年でした。 天然香料など植物の香りが持つパワー、化学と感性を行き来する調香の不思議、そして香水の都グラースがある大好きな南仏等、純粋に好きなものへの憧れ、興味からはじま

【調香師の横顔】 Suzy Le Helley

2024年4月17日に、Acne Studiosより同ブランド初となる香水が仏の高級香水メゾン、フレデリッ…

森の香りはどんな香り?

一つ前の記事で、洗剤や石鹸などへの香りづけに使用される「機能性フレグランス」に書いたが、…

石けんの香り

ある時、日本でも売り場を増やしている北欧の高級香水店で「こちらはムスク調の香りです」と説…

ジャン=クロード・エレナとイチジクの葉

以前から漠然とあった香りへの興味に対し、もう少し踏み込んでみようか、と思ったきっかけの一…

花の香りは獣の香り?

フランスで何人かの調香師に会うにあたって、日本の線香を持参した。 香りものは人によって好…

調香師の仕事

調香師と聞いて、どんな仕事を思い浮かべるだろうか。多くの人が香水の調合をイメージするかも…

Introduction : 香りと私

香りと自分の関係について、簡潔に言い表すのは難しい。 おそらく多くの人がそうであったように、子供の頃、香水、ハーブ、お香など、芳香と呼ばれるものが苦手だった。 ぜんそく気味だった弟のために父親が買ってきたユーカリの精油、それに付随する形で増えていったラベンダーなどのアロマオイル、田舎の家に立ち込めた線香の束が発する沈香や白檀の強烈な匂い、家の外でかぐ誰かの香水の香りなど、どれも昔の自分にはきつすぎて、顔をしかめた。 そういうものをいいなと思い始めるのは二十代のはじめから半