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エッセイ

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香り、記憶と官能に関するエッセイや取材日誌など
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記事一覧

【調香師の横顔】 Suzy Le Helley

2024年4月17日に、Acne Studiosより同ブランド初となる香水が仏の高級香水メゾン、フレデリッ…

森の香りはどんな香り?

一つ前の記事で、洗剤や石鹸などへの香りづけに使用される「機能性フレグランス」に書いたが、…

石けんの香り

ある時、日本でも売り場を増やしている北欧の高級香水店で「こちらはムスク調の香りです」と説…

ジャン=クロード・エレナとイチジクの葉

以前から漠然とあった香りへの興味に対し、もう少し踏み込んでみようか、と思ったきっかけの一…

花の香りは獣の香り?

フランスで何人かの調香師に会うにあたって、日本の線香を持参した。 香りものは人によって好…

調香師の仕事

調香師と聞いて、どんな仕事を思い浮かべるだろうか。多くの人が香水の調合をイメージするかも…

Introduction : 香りと私

香りと自分の関係について、簡潔に言い表すのは難しい。 おそらく多くの人がそうであったように、子供の頃、香水、ハーブ、お香など、芳香と呼ばれるものが苦手だった。 ぜんそく気味だった弟のために父親が買ってきたユーカリの精油、それに付随する形で増えていったラベンダーなどのアロマオイル、田舎の家に立ち込めた線香の束が発する沈香や白檀の強烈な匂い、家の外でかぐ誰かの香水の香りなど、どれも昔の自分にはきつすぎて、顔をしかめた。 そういうものをいいなと思い始めるのは二十代のはじめから半