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愛用の洗濯乾燥機の延命 その8 〜再度小康を得ての完了 個体モリブデンとフッ素樹脂の合せ技 修理編 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

 ネタバレですが、”昔取った杵柄“。

実験物理の世界で超高真空を扱っていたときお世話になった個体潤滑剤…二硫化モリブデンが有効でした…

というお話です。

 熟考した上で1度買ったからには大切に…
これが私の大切にしている習慣。

 こ20年位前に買ったドラム式洗濯乾燥機。異音からの不動に見舞われてのお話です。

経緯
 小手先では改善しない…

 買い替えもピンと来ない…

 ボールベアリングの寿命か、モーターそのもののシャフトが寿命か… という見立てで、分解して修理するかぁ~と決断。しかし開けてビックリ…

 軽いノリでの分解、モーターと台座との固着からモーターへの配線を一本毀損するも、3時間を2クール使って分解完了。ついでに洗面所も綺麗に…

 修理。ドラムの軸のボールベアリングは錆びて固着し交換不能だけどベアリングは注油で使える状態に。ブラシレスモーターも至る所錆びて固着していたものの浸透性潤滑剤で処理、有機モリブデン系とフッ素系の油脂で仕上げ小康を得たのでした。

 前回の作業でコネクターからモーター駆動用の配線を切ってしまった後始末を辛くもし、全てを組み上げ直して修理完了。

 その後不具合の再発。しかも機械構造系と電気系と…

 難易度高く、一晩寝て落ち着いて…

 今回は、ウトウトしながら思考実験を繰り返して建てた方針の実施。

果報は寝て待て

じゃないですが、新しい切り口でのアイデアが湧きました。一寸研究者や開発者時代を思い出します。(笑)

電気系
ギボシ端子以外の端子の活用

機械構造系
固体潤滑剤たる二硫化モリブデンを使い耐久性担保

という感じ。

 先ずは試運転出来るように電気系から

 ガレージに行き、子どもが車や二輪車をイジっていた頃の電気系パーツの箱を引っ張り出してきてカプラーの穴に入りそうなめぼしい接続端子を2セット見つけ出しました。

カプラーの穴に入りそうなめぼしい接続端子2セット
しかも1つは酸化し難い感じの良さげな鍍金(めっき)処理品

 しかも1つは(写真左側)酸化し難い感じの良さげな鍍金(めっき)までしてある端子でした。従前の筋が悪いギボシ端子

 

ギボシ端子

に比べると、中に楔(くさび)の様に差し込んで端子と駆体のプラスチックの間の薄い隙間に上手く固定できそうな感じです。

 写真の中央右上の端子を選択

中央右上の端子を選択

 厚みが丁度カプラーの中の金属端子と駆体のプラスチックの隙間よりも若干厚めなので、端子に上手く固定できそうな感じでした。また先端の角が落として有ってカプラーの奥まで差し込みやす感じでもあります。しかも運が良いことに横幅が駆体のプラスチックより公差分のレベルで広く厚み方向だけではなく巾方向でもグリップしそうです。ということで施工。
 ドンピシャでした。完璧に固定され、且つ完全導通。

ドンピシャ…
完璧に固定され、且つ完全導通。

 これは

小康ではなく完璧な恒久的補修

となりました。

 もしも初めからこの端子を選んでいれば…

「歴史にもしもはない」んだっけか?

まぁ…良いか。


 次は機械構造系。

 学生時代から研究所、半導体の研究開発でお守りをして使い倒した超高真空装置では、ガスが発生する有機系潤滑剤は使えません。普通の真空ポンプだけではなく最後は仕上げにクライオポンプと言って、液体窒素や液体ヘリウムを使って極低温にして浮遊する分子を吸着するところまでしますから…(笑)

そこで工業的にも量産され安価で性能も安定している二硫化モリブデンを機構部分の潤滑剤として利用します。

 銀黒色の鈍い光沢のある感じの物質。これが自動車のエンジンオイルに混ぜて使う潤滑剤に利用されていて、

二硫化モリブデン入り
自動車用エンジンオイル添加剤

私もテフロン系の処理をするまでは

テフロン系エンジン表面処理

呪文のように、オイル交換時には入れていました。

 手元にテフロン処理して使わなくなった在庫が有ったのでそれを流用することにしました。 

 先ずは相性が良さそうな同系統の有機モリブデン系の潤滑剤

有機モリブデン系潤滑剤

に混ぜることで、耐久性と潤滑剤の粘度低下を狙いました。
 ところが、ドラムは重く動きにくい感じでした。電源を投入しての試運転でも不調。回転が上がりません。

 そこで、無機系の二硫化モリブデンとは異系統ながら、耐久性は無かったものの1度小康を得た実績のあるフッ素樹脂系の潤滑剤

フッ素樹脂系の潤滑剤

に混ぜてみることにしました。
 これが正解でした。手でドラムを回しても相対的に軽く回ります。電源を投入して試運転してもそこそこ回る感じでした。

 まぁ、これで様子をみるか…

何度かこの組み合わせでメンテナンスを繰り返せばモーターの錆も摩擦で落ちて、ブラシレスモーターの面目躍如となる筈…(笑)

 ということで、全て始末をつけて組み上げました。今のところはまだ前回の耐久性は無いものの快調に回転したところまでは行っていません。一方で流石は固体潤滑剤。そりゃ有機系に比べれば相対的に安定してるし、エンジンにも使われる程耐久性はあるので当たり前か。
 当分は、見立通り騙(だま)し騙し遣って錆が取れて安定するのを待っことにします。

取り敢えず完了ということで(笑)

“熟考した上で1度買ったからには大切に…これが私の大切にしている習慣”


やり切った満足感に浸ってます。


蛇足
 引っ張ってしまいましたが、知識を総動員して吾妹の20年ものの愛機を愛でつつ…楽しみながら知恵を絞っての応用物理的な遊びをしてみました。

あ~楽しかった。


超蛇足

あんた… 

やっぱマゾでしょうって…


超々蛇足

運と勘としつこさの人生

面目躍如って感じですよね〜
(やっぱ、しつこい(笑))

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