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案山子の独り言
2022年2月28日 09:36
野に花たち咲き乱れうららかな陽気が里包む日は霞よ 夜朧春風吹いて吹く先見れば春田 春雲 山笑う春風軒先通っては門を叩いてゆくけれど私の心は土の中暗く冷たい土の中お空をのぞいて見るけれどどこかで雲雀が鳴くばかり暗く冷たいこの土をいつになったら出れるでしょう
2022年2月27日 11:34
おたまじゃくしをすくってはやったやったと持ち帰るそのあと田んぼの水の中わが子探してあっちこち親の蛙は泣きながら一生懸命探してる何も知らないすくった子お家の池に"ほい"ポチャリ月夜の田んぼに響く声悲しく虚しいその声にあの子は気付いてくれるかな
2022年2月24日 12:07
あなたが手にしたその花は丑三つ時に咲くお花あなたが知りたいその事は丑三つ時にわかる事夜顔静かに咲いたなら振り向いてはなりません死出の田長が死出山より飛んできては誘いましょう耳を澄まして夜顔見れば闇夜に響くよホーホケキョ
2022年2月22日 05:51
切られて割られて燃やされてそして 人様温める薪はえらいな 立派だな薪はすごいな 立派だな文句ひとつ言わないで切られて割られて燃やされる文句ばかりの私たち灰でも煎じて飲みましょか
2022年2月21日 08:27
叱られ落ち込む帰り道道端に咲く蓮華草車にひかれてペッチャンコ私と同じでかわいそう翌日その道通ったら少し体を起こしてはしんどそうに揺れている翌日その道通ったらしっかり体を起こしては蜂さんたちと遊んでる叱られ落ち込む帰り道蓮華の花のそのように生きていこうと決めました
2022年2月18日 12:36
雪だるまを作ったよ明日またねとさよならしたら昼になったらどこへやらどこかに行ってしまったよ誰か盗ったと泣いてたらお日さま迎えに来たんだと母さん笑って言いました一言いってくれてたらお見送りでもしたろうに
2022年2月18日 12:29
蟻さん踏んでしまったの気づかなかったそんな言い訳通るのかしらきっと私地獄に落ちることでしょう大袈裟と あなたは笑って言うけれど私が逆なら許さない
2022年2月16日 12:07
山ほど時間あったのに何でやらなかったのか花は散ってもまた咲くが人は死んだら墓の中あーこー言ってるその内にいつのまにか日は暮れて夜の帳がおりましょう人は死んだら墓の中そこで悔やんで泣いたとてお外の賑わい響くだけ大空トンビの舞うようにピーヒョロロ ピーヒョロロ好きなように飛んで行け
2022年2月13日 15:42
杖つきて 辿る旅の道すがら路傍の石に腰掛けて 一人思う人生路数え切れぬ程多くのものを失って得たものといえば この杖のみ金も地位も名誉とやらもなければ明日の我が身さえ知れない「何のための人生なのか」桜の花にしばし酔い蜩の声に涙する色づく紅葉に思いを寄せ白い雪に埋もれてゆく巡る季節と静かな歩み痛みゆく杖にお守り付けて鳴る鈴音はいつも晩鐘みるみるみかん色に包まれてゆく
2022年2月10日 20:49
石ころつまずき転んだら 足に傷が出来ました仕返し石ころ蹴ったらば 石ころ田んぼに落ちました家に帰って伝えたら母さん手当てしてくれた蹴られた石ころどうしたろ誰の手当も受けられず一人田んぼにいるのだろ月さん ごめんと伝えておくれ石ころ 許してくれるかな
2022年2月8日 03:55
ここの施設に入所して早2年、この2年で私は大分体が弱った。口からの食事も出来なくなり、胃にチューブで直接食事を流し込む形の胃ろうとなった。そして、話すことも、笑うことも、自力で指を動かすことも出来なくなった。あなたがベッド脇に座っている。忙しいのに、何かとちょこちょこ来ては他愛のない話をしてくれる。「昨日食べたとんかつが美味しかったんだけど、食べた後胃がもたれてな。もう年なんだな」そんなどう
2022年2月3日 16:36
誰に見られることもなく誰に意識されることもない誰に守られることもなく踏まれても気付かれもしない雨も風も 強い日差しも冷たい雪も誰も労ってくれはしない是非もなしそれが路傍の運命というならば気にせず 求めず 期待せず私は私何のために咲くわけでなし私は私の花を咲かせよう
2022年2月1日 06:36
春の風が吹いたから風を追いかけ走ったの風が花を散らすからやめてほしいと伝えたのひらひら ひらひらひどい風だと伝えたら一緒に踊っているという悪いことのようで良いこと良いことのようで悪いことそんなこともあるんだよそんなことでもあるんだよ風さんごめんね花さんありがとう