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社会人教育

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#生涯教育

生涯学習どころか大学の学び全体を底上げする?佛教大学が取り組む、公開講座の学習履歴可視化の意義を考える

生涯学習どころか大学の学び全体を底上げする?佛教大学が取り組む、公開講座の学習履歴可視化の意義を考える

ここ最近の学び直し関連では、リスキリングが注目されているものの、生きがいとしての学びも、平均寿命が伸びている日本社会にとっては非常に重要です。今回、見つけた佛教大学の取り組みは、この生きがいとしての学びを活性化させる有効な一手になりそうなうえ、大学教育とは何かを考える良いきっかにもなりそうだと感じました。

公開講座のジレンマを学習履歴の可視化が救う?

プレスリリースの内容は、佛教大学オープンラ

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自由だけど縛りもある。早稲田が新たに取り組むシニア向け教育は、生涯教育の”雛形”を作り出せるか。

自由だけど縛りもある。早稲田が新たに取り組むシニア向け教育は、生涯教育の”雛形”を作り出せるか。

「人生100年時代」の学びはどうあるべきかは、今後さらに加熱していくテーマです。今回、目に止まったのは、早稲田大学の社会に向けた教育拠点「WASEDA NEO」の新たなシニア向け教育プログラム。この教育プログラムを見ていると、やはりというか、18歳に向けた教育と根っこのところから違うものなのだと、あらためて実感しました。

取り上げるのは、50歳以上のプレシニア・シニア世代向け講座「早稲田Life

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ターゲットは受験生だけではない?大東文化大学の通信書道講座から思う、これからの学科の生き残りの道。

ターゲットは受験生だけではない?大東文化大学の通信書道講座から思う、これからの学科の生き残りの道。

18歳人口が減っていくなか、社会人に向けた生涯教育やリカレント教育をどう開拓していくかは、大学にとって大きな課題です。今回、見つけたのも、そんな生涯教育に関わる一手。とてもシンプルかつアナログですが、実はこういうアプローチも大事なように思います。

取り上げたのは、大東文化大学の通信書道講座。この講座は、同大学が作成したDVDで学習した後に課題を送付することで添削を受けられるというものです。

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興味のない人との出会いをどう作り出すか?大学の社会向け広報の大きな課題に立ち向かう、中央大学の教養番組。

興味のない人との出会いをどう作り出すか?大学の社会向け広報の大きな課題に立ち向かう、中央大学の教養番組。

新型コロナウイルスによって、大学の授業だけでなく、公開講座のオンライン化であったり、オンデマンド化も一気に進みました。でも、このような変化が起きるずっと前から、映像による公開講座の提供に力を入れている大学があったのをご存知でしょうか。その大学は中央大学。今回は、この大学が取り組む教養番組『知の回廊』について取り上げていきたいと思います。

この取り組みは、年6本、ケーブルテレビ局であるジェイコム東

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生涯教育の位置付けが変わる?福井大学の学び直し講座から考える、学び続けなければいけない時代の生涯教育。

生涯教育の位置付けが変わる?福井大学の学び直し講座から考える、学び続けなければいけない時代の生涯教育。

新型コロナウイルスが流行ったことで外出する機会が減ったためか、いよいよ「人生100年時代」という認識が世に広まってきたためか、以前より生涯教育に関わる取り組みを目にすることが増えてきたように思います。私自身こういう取り組みがすごく好きでよく調べるんですが、なんとなく押し出し方が変わりつつあるのかな、と感じるところがあります。今回、見つけた福井大学の講座もそんな変化を感じさせる講座の一つです。

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値段や便利さだけでは変わらない。真にリカレント教育を推進する、大人の可能性のフタをこじ開ける取り組み。

値段や便利さだけでは変わらない。真にリカレント教育を推進する、大人の可能性のフタをこじ開ける取り組み。

学生たちにとってはなじみ深いインターンシップ。このインターンシップを、大人向けに開催する事業を、京都大学の学際融合教育研究推進センターと、京都府や京都市等で構成される「京都文化力プロジェクト実行委員会」が一緒になって進めているようです。この取り組み、ユニークで楽しそうなだけでなく、リカレント教育を推進していくうえで、とても大事な示唆を含んでいるような気がします。

ではまず、『大人のためのインター

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狙い目は「リカレント教育」と「生涯教育」の真ん中あたり?これから求められる、スキルではなく、楽しみながら知的体力を身につける社会人講座。

狙い目は「リカレント教育」と「生涯教育」の真ん中あたり?これから求められる、スキルではなく、楽しみながら知的体力を身につける社会人講座。

先月、APU学長の出口治明先生のリカレント教育についての動画が、文部科学省の公式Youtubeチャンネルに掲載されました。見よう見ようと思いながら、ずっと見られていなくて(12分程度の動画なのに!!)、やっと拝見させてもらいました。

動画内容は、出口先生らしく、エビデンスに基づいた内容で、とても説得力がありました。なかでも、日本とドイツやフランスとでは、年間労働日数を200日で考えると1日あたり

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世界でダントツ社会人が学ばない国、日本で、リカレント教育を流行らすのに必要なこと。

世界でダントツ社会人が学ばない国、日本で、リカレント教育を流行らすのに必要なこと。

リカレント教育の推進は、個人的にすごく興味があって、以前よりこのテーマに関わるお仕事をさせてもらっているし、学び直しをテーマにした書籍の執筆(コレとかコレ)なんかにも精力的に取り組んでいます。で、あれこれ頑張ってはいるものの、このたびパーソル総合研究所から衝撃的な調査結果が公表され、いろいろと打ちのめされてしまったので、今回はそれについて書こうと思います。

この調査、なかなか衝撃的な内容が書かれ

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大学の在り方を根本から変える! 大学4年間を“学び続けるための最初の4年間”だと捉え直す。

大学の在り方を根本から変える! 大学4年間を“学び続けるための最初の4年間”だと捉え直す。

大学関連の仕事をしているとリカレント教育の重要性が年々高まっているのを感じます。18歳人口が減る大学にとって、社会人学生は新たな財源になるし、国はできるだけ多くの人に効率よく働いてもらいたい。人材が流動化し、実力主義になってきている世の風潮とも合致している。すべての思惑が合っているんだから、そりゃあ重要だと、みんなが言うのも頷けます。

でも、これだけ求められているのに、リカレント教育が盛り上がっ

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教育だけでは不十分? シニア学生を増やすために絶対に必要な一つのこと。

教育だけでは不十分? シニア学生を増やすために絶対に必要な一つのこと。

社会人やシニアの学習意欲にどう応えるか、また学習意欲そのものをどう創出していくかは、これからの大学にとって真剣に向き合わなくてはいけない課題です。私は仕事のなかで、たくさんの社会人学生やシニア学生の取材やヒアリングをするのですが、シニア学生からはよく同じ悩みを聞きます。それは「せっかく学んでいるのに、学んだ成果を社会に還元するときがない」というもの。これに対して、明確な解決方法はないのですが、今回

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社会人教育に今日的な軽さを。

社会人教育に今日的な軽さを。

近年、映画や雑誌、音楽、はては食物やファッションまで、ありとあらゆるものがサブスクリプションで利用できるようになりました。この流れは、どうも大学にも及びつつあるようで、なんとサブスク的に利用できる社会人向け講座なんていうものもあるようです。

取り上げたのは、湘南工科大学の「アカデミックパス」という制度。これは定額で、同大学が開講する科目のうち、年間およそ300科目を自由に受講できるというものです

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