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おすすめの本一覧

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「誰かにおすすめしたい!」と思った本をまとめています。ジャンル不問。
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2022年10月の記事一覧

著…中野京子『中野京子と読み解く名画の謎 ギリシャ神話篇』

著…中野京子『中野京子と読み解く名画の謎 ギリシャ神話篇』

 ゼウス、ヴィーナス、アポロン、そして他の神々の物語をモチーフにした絵画について紹介する本。

 1985年にレンブラントの『ダナエ』が恐ろしい目に遭ったことを、わたしはこの本を読んで初めて知りました。

 大事に大事に扱っていても絵画はどうしても経年劣化してしまうものなのに。

 なんと、『ダナエ』の腹部をナイフで二度に渡って切り裂き、硫酸を浴びせかけた輩がいるなんて!!

 無残に切り裂かれ、

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著…平井杏子『ゴーストを訪ねるロンドンの旅』

著…平井杏子『ゴーストを訪ねるロンドンの旅』

 テムズ川への投身自殺を繰り返す切り裂きジャック。

 古代戦車チャリオットを駆って疾走する古代ケルトの女王ブーディカ。

 病室を見舞うナイチンゲール。

 切り落とされた首を抱えて歩くアン・ブリン…。

 湿度の違いのせいなのでしょうか?

 湿り気を感じさせる日本の幽霊とは全く趣が異なるイギリスのゴーストたちをめぐる本です。

 興味本位で心霊現象を冷やかすのではなく、ゴーストを通じてイギリ

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著…ヨン・ラーセン 監修…野口高明、米田成一 訳…武井摩利『微隕石探索図鑑 あなたの身近の美しい宇宙のかけら』

著…ヨン・ラーセン 監修…野口高明、米田成一 訳…武井摩利『微隕石探索図鑑 あなたの身近の美しい宇宙のかけら』

 この石は宇宙を旅して地球にやって来たのか…!と感動する図鑑。

 もしかしたら地球上に存在するどんな物よりも昔に生まれ、想像を絶するほど遥か遠くから来たのかもしれません。

 「微隕石」と名付けられた石たちの写真や、電子顕微鏡による断面画像を見ていると、石なのだけれど命を感じます。

 あらゆる色と形状。

 その姿は、細胞、或いは異星人の卵のようにすら見えます。

 もしかしたら、石のように見

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著…澤田誠『なぜ名前だけがでてこないのか 脳科学者が教える本当に正しい記憶力の鍛え方』

著…澤田誠『なぜ名前だけがでてこないのか 脳科学者が教える本当に正しい記憶力の鍛え方』

 たとえば、学生時代の同級生にばったり会った時、相手は自分の名前を呼んでいるのに、自分は相手の名前を思い出せなくて困った経験はありませんか?

 わたしはあります。

 相手がどんな人で、自分と相手との間にどんなエピソードがあったかは思い出せるのに、名前だけが出てこない!

 こちらから「苗字変わった?」と聞いみて、「今は〇〇 〇〇って名前になったよ」とフルネームを名乗ってくれる人ばかりではありま

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著…山田奈緒子『超天才マジシャン山田奈緒子の全部まるっとお見通しだ!』

著…山田奈緒子『超天才マジシャン山田奈緒子の全部まるっとお見通しだ!』

 山田本人が『TRICK』シーズン1と2のドラマのエピソードを振り返る、という本。

 何故か巻末には山田と仲間由紀恵さんの対談が載っているというおふざけっぷりが、『TRICK』ファンのわたしには堪りません。

 山田目線の文を読んでいると、仲間由紀恵さんの声で脳内再生されます。

 「エヘヘヘヘ!」と無邪気に笑う、あの美しい顔まで浮かんできます。

 山田は超有名マジシャンではなく超売れないマジ

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Gakken『大奥のすべて 衣装・御殿・全職制』

Gakken『大奥のすべて 衣装・御殿・全職制』

 目の保養を求めている方におすすめの本です。

 大奥の女性たちが実際に着用したとされるお着物の写真にうっとり…。

 布地も織りも染めも刺繍も贅の限りが尽くされて、まるで日本画の傑作を身に纏っていたかのよう。

 髪型も、その女性の階級等に応じて、「おすべらかし」「片はづし」「燈籠鬢しの字髷」など多種多様。

 髪飾りも化粧道具も調度品も豪華。

 大奥でこのように美が競われる一方、きっと庶民は

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監修…小和田哲男 著…高橋伸幸『戦国の合戦と武将の絵事典』

監修…小和田哲男 著…高橋伸幸『戦国の合戦と武将の絵事典』

 攻防に優れた城を築き、城下町の形成、職人の保護、家臣団の組織編成、税制の整備、治水、鉱山開発、貨幣製造、宗教政策、同盟の締結、そして合戦…。

 戦国武将が行った数々のことを紹介している本です。

 頭脳、体力、人徳、家柄、軍事力、地の利、運にも恵まれていなければ生き残れない、戦国時代がまさに弱肉強食の時代であったことが窺い知れます。

 午前4時に起床して、行水、髪結いを済ませて神仏を礼拝し

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著…ttkk(Kaori)『今日も嫌がらせ弁当 反抗期ムスメに向けたキャラ弁ママの逆襲』

著…ttkk(Kaori)『今日も嫌がらせ弁当 反抗期ムスメに向けたキャラ弁ママの逆襲』

 口数が少ない高校生の娘さんとコミュニケーションをするため「嫌がらせ」付のキャラ弁を3年間作り続けたお母さんの本。

 「歩け!!」「弁当箱だせヨ!!」「アラームうるさい」「自分でオキロ!!」などのメッセージが描かれたお弁当は、ぱっと見ではギョッとしてしまいます。

 しかし、「フライパンアリガトウ」などのお礼や、「録画ヨロシク」などのお願いが添えられているお弁当は微笑ましい感じがします。

 

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著…しがり朗『大人の箸袋おりがみ』

著…しがり朗『大人の箸袋おりがみ』

 箸袋を色んな形に折ってバーやスナックでママの気を引こう! または宴会で盛り上がろう!という本。

 イカ、カニ、エビ、ウサギ、ゾウ、カエルといった生き物の他に、キューピッドの矢、カップル、ベッド、ブラジャー、指輪といった、なかなか色っぽいものも折れるそう。

 豊富なアイディアに脱帽です。

 キューピッドの矢をスナックのママにあげて、うまくあしらわれるおじさんの姿が頭に浮かびます。

 ちなみ

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著…キャリー・ブラックマン 訳…桜井真砂美『ウィメンズウェア100年史』

著…キャリー・ブラックマン 訳…桜井真砂美『ウィメンズウェア100年史』

 女性のファッションの変化を通して、1901年〜2000年の間に女性の社会的立場が大きく変化した歴史を学べる本。

 コルセットで上半身をギュッと絞ったドレススタイルは、ゴージャスで憧れるけれど、なんだか息が詰まりそう。

 女性が外で働くのが珍しいことではなくなり、参政権を行使できるようになると、だんだんコルセットから解放されて動きやすい服装になっていきます。

 ロングスカートのみの時代から、

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作…トーベ・ヤンソン 訳…渡部翠『ムーミン谷へのふしぎな旅』

作…トーベ・ヤンソン 訳…渡部翠『ムーミン谷へのふしぎな旅』

 「ムーミン谷へ遊びに行きたい!」という方におすすめの絵本。

 ご機嫌ななめの女の子スサンナになって、不思議な世界に迷い込む…。

 この絵本を読むと、そんな気分を味わえます。

 スサンナはそこで、同じく未知の世界に巻き込まれてビックリしているヘムレンさんたちと出会います。

 スサンナの世界をA、ムーミン谷の世界をBとしたら、両者はお互いの世界とは全く異なる世界Cで出会ったことになります。

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著…渋谷獏『楽園のアダムとエヴァ』

著…渋谷獏『楽園のアダムとエヴァ』

 古今東西の画家たちが『旧約聖書』にインスピレーションを受けて描いた名画をまとめた本。

 天地創造、アダムとエヴァの創造、エデンの園、禁断の果実、失楽園といったモチーフは有名過ぎるほど有名。

 しかし、同じ場面を描いても画家によってアプローチが大きく異なるのが興味深いです。

 たとえば、禁断の果実を手にしたエヴァの表情ひとつ取っても作品ごとに違います。

 何も深く考えず蛇の誘いに素直に乗っ

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作・絵…マルカム・バード 訳…岡部史『魔女図鑑 魔女になるための11のレッスン』

 子どもの頃からわたしを虜にし続けている、茶目っ気たっぷりの本です。

 本来は熟練した魔女向けの本らしいのですが。

 人間の心をも鷲掴み!

 これも魔法の力なのかもしれませんね。

 この本に登場する魔女たちは、いかにも「悪い魔女」ばかり。

 眉間に皺を寄せたり、口元を邪悪そうに歪めたりしています。

 でも、ちっとも怖くありません。

 鼻や顎や頬が妙にぷくぷくツヤツヤしているし、怒って

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写真・文…武藤慧『猫の哲学ノート ニャフォリズムの落書き』

写真・文…武藤慧『猫の哲学ノート ニャフォリズムの落書き』

 猫って奥深い生き物ですよね。

 一言では語れない多面的な魅力があります。

 なにものにも縛られぬ孤高の存在にも見えるし。

 世の中の移ろいを繊細に感じ取るナイーブな生き物にも見えるし。

 人間の愚かしさも小賢しさも静かに観察している哲学者にも見えるし。

 もふもふで可愛くそして美しい容姿とは裏腹に、鋭い爪と牙を持つ獣でもあるし。

 何か深いことを考えているようで実はぼーっとしているだ

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