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著…平井杏子『ゴーストを訪ねるロンドンの旅』

 テムズ川への投身自殺を繰り返す切り裂きジャック。

 古代戦車チャリオットを駆って疾走する古代ケルトの女王ブーディカ。

 病室を見舞うナイチンゲール。

 切り落とされた首を抱えて歩くアン・ブリン…。

 湿度の違いのせいなのでしょうか?

 湿り気を感じさせる日本の幽霊とは全く趣が異なるイギリスのゴーストたちをめぐる本です。

 興味本位で心霊現象を冷やかすのではなく、ゴーストを通じてイギリスの歴史と文化に触れられます。

 古い街路に、大英博物館に、ロンドン塔に、ハンプトン・コートに、或いはウィンザー城に…、あちこちでゴーストが彷徨っていそう。

 日本もそうだけれど、イギリスもまた、処刑したり処刑されたりと、ゴーストたちもさぞ恨みが深いでしょうね…。

 そんな中、P37〜39に載っているゴーストの目撃談には思わず微笑んでしまいました。
 フォートナム&メイソンの常連だった老婦人のゴーストの話です。
 老婦人は死してなお、愛用の紅茶とジャムを買い求めにお店を訪れたようです。
 さすがイギリス人!
 いわゆる冥土の土産用だったのか、それとも自分へのご褒美用だったのか気になります。

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