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#小説

短編小説:じゃがいも(3)~ドラマ9ボーダーより~

短編小説:じゃがいも(3)~ドラマ9ボーダーより~

「こーちゃろーー」

「なになになにーw」

翔太がコウタロウさんに襲いかかる。
すっかり仲良しになった2人は、いつでも2人でいた。
親子というより、兄弟のようだった。

あれからコウタロウさんは、初七日まで私達家族に付き添ってくれた。
こうたろうさんが居てくれたお陰で、私は、広大に「おかえり」を言うことが出来た。
まだまだ気持ちが落ち着くことは無いけれど、日常が戻ってきていた。

「こーちゃろー

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【ショートショート】出血

【ショートショート】出血

 人が倒れており、体の下に赤い液体が広がっていれば、誰だってどきっとする。
 すぐに人だかりができた。
 何人かの若者が近づいていき、
「おい、大丈夫か」
 と声をかけた。
「あれっ」
「どうした」
「ケチャップの匂いがしないか?」
「するな」
「こいつめ。悪ふざけしやがって」
 気の短そうなドレッドヘアの男が、倒れている男を蹴った。
 男は仰向けになった。
 顔色は蒼白で、辛うじて胸が上下してい

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甘さ以上に味わい深い物語♪ <宙ごはん>

甘さ以上に味わい深い物語♪ <宙ごはん>

宙ごはん 著者:町田そのこさん

複雑な家庭って、一体どんな人たちのことを言うのだろう。
血がつながっていない姉妹、暴力的なパートナー、不倫している関係など。
思い浮かべてみれば、人それぞれ事情があって問題がない家庭はないのかもしれない。
その中で自分はどのように過ごしていくか?

主人公の宙(そら)はお母さんとママと呼ぶ人が別だったが、保育園卒園時にママからお母さんと暮らすことになって今まで知ら

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昔書いたものを

昔書いたものを

二足歩行とガトーショコラ

 私の人生は、チョコレートに狂わされたと言っても過言ではない。母親曰く、地球生活一周年を少し過ぎ、二足歩行を習得した頃の私は、よく遊んでいたご近所の先輩キッズの後を必死に追いかけ、丁度おやつどき、皿の上にあった「それ」を初めて口にしてしまったらしい。当時の記憶自体は専ら残っていないが、その一口で得た未知の快楽を私のシナプスが忘れることなどあり得なかった。「それ」に対する

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空き地

空き地

 女がひとり、スケッチブックをひろげて熱心に絵を描いている。
 彼女の目の前には、空き地がひろがっている。描き始めてから半時ほどすると、女はひとつ息を吐き、スケッチブックを閉じて空き地に背を向け、ゆっくりと坂道をくだりはじめた。
 そんな姿を、一人の爺が見ていた。
 爺はこの土地の持ち主で、ここからほど近い場所にある瀟洒なマンションに住んでいる。金はうざるほど持っているのだから空き地などさっさと売

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救い43

救い43

祈りは届くか、届かないではなくて、行うことに意味があって、その後どうなるかなんてものは誰にも神にだってわからないのだと僕は思う。

1年経つ。

簡単に時間は過ぎる。
僕はというと、21歳。

大人プラス一歳。

なんだか、成人が18歳になったらしいけれども、僕の感覚は20歳で大人の区切りとして気持ちがいい。

18だなんて中途半端な年齢大人になれるわけがない。
なぜなら今の僕が大人だと言い張るの

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ショートショート 「誘惑」

ショートショート 「誘惑」

 この店を手放すまであと1週間足らず。
 
 思い起こせば、我武者羅に働き爪に火をともすような生活をして貯めた独立資金。

 苦労して貯めたその資金を頭金にすることで銀行から融資を受け、自分の理容室を開業した時の喜びと誇りを一生忘れることはないとサトルは思った。

 開業後、売上げは順調であった。
 もともとサトルの理容師としての評判は高く、特に顔剃り部門では全国規模のコンクールで優勝するなどの実

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【ショートショート】逆転

【ショートショート】逆転

 朝シャワーを終えたモミジは、まず体重計に乗った。
 体重はキープ。
 続いて、ほくろ測定器に乗る。
 昔はほくろ占い師がいて、いちいちお客を裸に剥いて子細にほくろの濃淡や形を調べたそうだ。
 需要の高まりにより、ほくろ占いは自動化された。ほくろの面白いところは、増えたり減ったり、大きくなったり小さくなったり、濃くなったり薄くなったり、日々、状態が変動することである。その変化を観察することにより、

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信頼に値する情報発信者

信頼に値する情報発信者

どうも、ゆうきです。

今日は、

「忖度ない意見は信頼される」

というお話をしたいと思います。

テレビや雑誌などは
スポンサーや取材先を大切にするので、
忖度だらけと言えるでしょう。

グルメ番組で、「不味い!」という感想を
聞くことはほとんどありません。

「不味いレストラン」

「風変わりなお店」

など、「美味さ」以外に
焦点を当てた番組もありますが、
基本的にはその方針に沿って、

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人間違い

人間違い

たまになんですが、知人と思って声を掛けたら別人だったというケースは無いでしょうか?私は昔、Mさんって声を掛けたら別人だったことがあります。女性だったので恥ずかしかったですね^^;;;;

【小説】全力失踪(1115文字)

【小説】全力失踪(1115文字)

自分は全力で失踪することに決めた。あの地獄のような学生寮にはもう戻りたくない。何から何まで本当に厳しい。朝起きるのは早いし鬼みたいな教師が、わんさかといる。

治安も衛生環境も最悪で何人も病気になって死んだやつもいるし、暴行で死んだやつもいる。だが、あの学校は法律なんて一切効かないのだ。弱肉強食のような世界だ。

自分は早速学校から脱走して外の敷地に出た。もう1度でも外に出たからには絶対に見つかっ

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水兵と雷鳴

水兵と雷鳴

ソーダ味のアイスが
セーラー服に小さな染みを作った

毎年同じ事をしているなと思いつつ
これを着られるのもあとわずかなんだとふと思う

殺人的な直射日光の下
先生に呼び出された登校日
真っ直ぐな田舎道をひたすらに歩いた

身を潜められる影などほとんど無くて
すぐに諦めた日焼け止め
垂れる汗はそのままに

昨日パンクした自転車を恨んだら
アイスが半分地面に落ちた

遠くの空が怪しい雲行きで
さっきま

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『いくつに見える?』#ショートショート

『いくつに見える?』#ショートショート

「わたしいくつに見える?」

「72歳」

「え!なんで分かったの?正解!」

なんだ?寿命が200歳くらいまで延びた世界線にでも移動したか?

いいんだ。別にいいんだけれど日常で聞かない会話過ぎてびっくりした。

「じゃあ、わたしは!?」

「76歳」

「正解だわ!」

ってか的確に年齢当て続けるあの彼、何者!?

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「

【あとがき】「いくつに見える?」当

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