深川岳志

ショートショートを書く人。毎日、一作ずつ書いて、夜にClubhouseのルーム「ショー…

深川岳志

ショートショートを書く人。毎日、一作ずつ書いて、夜にClubhouseのルーム「ショートショートの朗読と雑談と」で朗読しています。よかったら、聞きに来てね。本職はフリーライター。好きな著名人は筒井康隆、色川武大、草彅剛、壇蜜など。

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■なにをするサークルか 「ショートショートの朗読と雑談と」の打ち合わせをしたり、記録を残したり、ショートショートに関する知見を蓄積するサークルです。 ■活動方針や頻度 「ショートショートの朗読と雑談と」はClubhouseで毎日19時から21時まで開いています。ショートショートを通じて交流が図れればいいなと思っています。 ■どんな人に来てほしいか ショートショートを書きたい人、朗読したい人に参加してほしいと願っています。ショートショートの定義は人によって異なると思いますが、ここでは100字から2000字程度の長さの小説を想定しています。 ■どのように参加してほしいか ショートショートを書いたら、どこに書いたか、URLを教えてください。面白い本や朗読があれば、メモを残していってもらえると助かります。また、ショートショートのお題も募集しています。 ■タイトル画像は、EATALK MASKのミムコさんによるものです。マスクケース文庫という面白いプロジェクトを運営されています。

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    平日にショートショートを1編ずつ追加していきます。無料です。ご支援いただける場合はご購読いただけると励みになります。 朗読会や音声配信サービスなどで自由にご利用ください。その際には、タイトルと作者名、URLを記載してください。報告の必要はありません。

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    びすマニアの方々のために。

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    自分でも毎日Clubhouseでショートショートを朗読しているのですが、朗読家の方に読んでいただくとまったく出来上がりが違います。このマガジンは朗読していただいた作品を紹介していくために作りました。

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    • 【ショートショート】缶詰考

      「明日はなんにも用意しなくていいからね」  とキャンプ友だちのタツヤは言った。  朝六時、俺は約束通り手ぶらでやって来た。  タツヤは車庫の前で待っていた。  SUVの後部座席になにかでかいものが積んである。  おれたちは出発し、二時間ほどで山奥のキャンプ場に到着した。すぐ横にきれいな渓流が流れるいい穴場である。 「おい、手伝ってくれ」  気になっていた円筒形の荷物を下ろす。ごろごろ転がして、平地でえいやっと立てた。 「で、このデカブツはなんだい?」 「ふふっ。これこそがキャ

      • 【ショートショート】空を見あげる

        「にゃあ」  と鳴き声がしたが、猫の姿がみつからない。  ぼくはリビングをうろうろした。  テーブルは薬やガムや読みかけの本や未開封の封筒や、いろいろな細かいもので埋まっている。  掘っていくと、ペットボトルがあった。  猫はその中にいた。  おまえ、どうしてそんなところに。  子どもの頃、テレビでボトルシップを見たことがある。おもわず、 「なぜ!」  と叫んでしまったが、帆船を細かいパーツに分け、ボトルのなかで根気よく組み立てていくらしい。  でも、猫は分解不能だ。  猫は

        • 【ショートショート】チリトリ鳥

           公園のベンチでテイクアウトしてきたハンバーガーを食べていたカップルが、食べ終わるなり、ぽいっと包装紙とペットボトルを捨てた。  いつ見ても、いやな光景だ。  問題がないのはわかっている。  空からチリトリ鳥が急降下してきて、ゴミをざっと腹のゴミ箱に詰めると、すぐに飛び去っていった。  チリトリ鳥は、環境保護団体が作ったチリトリとドローンを組み合わせた機械である。いつもわれわれを監視していて、ゴミが出たとたんに清掃する。  最初は海岸とか山登りの清掃で利用されていたが、だんだ

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        記事

          【ショートショート】地下室にて

           短い昼寝は体にいいと言われている。会社も集中力をつけるべく、午睡を推奨していた。   12時から昼休みに入って、お弁当をゆっくり食べても12時40分。  アイマスクと耳栓をして、机の上にぺたっと顔を倒すと、目の前に階段があらわれる。  階段をくだると、地下室に出る。  窓もテレビもない、机と椅子が置いてあるだけの石作りの小部屋。  机の上にはペンと原稿用紙がある。  ヒマなので、私はペンを取って小説を書き始める。  壁時計が13時の時を告げ、階段を登っていくと、はっと意識が

          【ショートショート】地下室にて

          【ショートショート】出血

           人が倒れており、体の下に赤い液体が広がっていれば、誰だってどきっとする。  すぐに人だかりができた。  何人かの若者が近づいていき、 「おい、大丈夫か」  と声をかけた。 「あれっ」 「どうした」 「ケチャップの匂いがしないか?」 「するな」 「こいつめ。悪ふざけしやがって」  気の短そうなドレッドヘアの男が、倒れている男を蹴った。  男は仰向けになった。  顔色は蒼白で、辛うじて胸が上下しているのがわかる。  救急車がやってきた。 「これ、ケチャップですよ」  というと、

          【ショートショート】出血

          先週のショートショート【24年04月28日~05月03日】

          ■2023年04月28日(日) Chiakiさんからのお題は「モップ」。無人のビルを掃除する話を書く。前半、設定部分が長くなりすぎ、書き終えてから全部削除する。読めるレベルになったかなあ。不安だ。書いていることの半分くらいは実話である。タイトルは「お世話係」にしてアップロード。 ■2024年04月29日(月) keikoさんからのお題は「サロン」。アイデアが下りてこない。こういうときはとにかく書き出してみることだと思うが、魅力的な一行目が出てこない。次々と平凡なセンテンスが

          先週のショートショート【24年04月28日~05月03日】

          【ショートショート】聖地巡礼

           聖地巡礼写真集が流行っている。  ヒット作のロケ地を主演俳優がたどり直す観光案内だ。  今でこそ聖地巡礼ありきでさまざまな作品が企画されるが、十年も前の映画の写真集が出るなんて奇跡に近い。  ぼくはひさしぶりに「ひなげし」を観直し、有給休暇を取って二泊三日の旅に出た。「ひなげし」はロードムービーであり、家庭に居場所をなくした主人公があてどのない旅に出る。  東京駅でユキちゃんが買ったシューマイ弁当を買い、ユキちゃんが乗った15時30分発のぞみ号7両車に乗り込んだ。同じ席とい

          【ショートショート】聖地巡礼

          【ショートショート】鶴になる

           特急で都心から一時間ほどの郊外に小さな森がある。  私が軽装にリュックの姿で中に入っていくと、きゅーきゅーと甲高い声がして、タンチョウヅルが舞い降りてきた。  と思った瞬間、姿勢のいい男が私に覆い被さんばかりの近距離で立っている。 「こんにちは」 「こんにちは」  私はリュックから、折り畳みのヨガマットを取り出した。  鶴になりたいと思ったのは二十五歳の時だった。それまでも何回かヨガブームはあったが、魂の変容を助けるマットの開発によって、爆発的に広がった。  ツルオ先生の弟

          【ショートショート】鶴になる

          【ショートショート】嘘の雨音

           七月に入った。  とっくに梅雨の季節は終わっている。 「結局、空梅雨だったなあ」  とヒロシは言った。 「暑いなあ」  と、ケンジは雲ひとつない青空を仰いだ。  ふたりはコンビニに入るかどうか、迷っている。飲料水の値段がやたら高くなっているのだ。 「このままじゃ熱中症だよ」  コーラを一本買って、分けて飲んだ。  目の前をスーツ姿の男が歩いて行く。  ざーっ、ざーっと雨粒のような音がした。 「最近、この音よく聞くんだよ。なんだろう」 「知らないのか」  ヒロシは男が持ってい

          【ショートショート】嘘の雨音

          【ショートショート】長い道のり

           小学五年生の頃、 「小説を書いてみたいから、原稿用紙を買って」  とイチローはお願いした。  父親は、 「そんなもん、チラシの裏に書いとけ」  と答えた。  そういう手があったかと思い、サトウはチラシの裏に小説を書き出した。  だんだん慣れてくると、内容はともかくとして、長さの調節ができるようになった。イチローの話はチラシの大きさに合わせて自然に終わる  新聞の広告のチラシや、電話ボックスから剥がしてきたピンク広告の裏に書くことが多いけど、月に一度はカレンダーの裏面を使る。

          【ショートショート】長い道のり

          【ショートショート】無言の時間

          「昨日、うるさくありませんでした?」  とお隣のイリエさんに言われた。 「いえ、ぜんぜん」 「よかった。カツカレーサロンを開いていたの」 「へえー。サロンっていいですね」 「そうでしょー。今度は、お店を借り切って開いてみるつもりなの」  ひそかに自宅サロンが流行っているようだった。  私もいろいろなサロンに誘われるようになった。デパ地下に寄ってちょっとしたお土産片手に訪ねてみる。そこは会話の渦だ。「そういえば」と言って、他人の話を遮断し、自分の話をつづける人たち。喋り下手な私

          【ショートショート】無言の時間

          【ショートショート】お世話係

           会社をクビになった私は、時給の高い清掃業務で食いつなぐことにした。  掃除会社の担当者は仕事内容を丁寧に説明し、 「オオツカさんには、三階の廊下と居室をお願いします」  と言った。  次の日から掃除にとりかかった。  大きなビルは、昔、介護施設として利用されていたそうだ。廊下の幅は広く、居室も大きい。  私は毎日、誰もいないビルの掃除を黙々と続けた。モップの扱いは面倒で、一ヶ月もたつと腰痛を発症し、左の小指が動かなくなった。 「力の入れ加減だね。そのうち慣れるよ」  昼食を

          【ショートショート】お世話係

          先週のショートショート【24年04月21日~04月26日】

          ■2023年04月21日(日) ショートショートを書く。Akiさんからのお題は「ピーナッツ」。ピーナッツ人間の出産の話を書いたら、妻から「気持ち悪い」とさんざんな酷評を受ける。出産はとりやめ、頭に黄色い花を咲かせる夫の話にした。今度は「なんで? なんでと思わせるところでアウト」。次、バーを舞台にして書きたいと思うが、人生で数えるほどしかバーに出入りしていないので、雰囲気ある描写ができない。とくに会話が思いつかない。最初に書いたものは途中で止め、会話の少ないバージョンを書き始め

          先週のショートショート【24年04月21日~04月26日】

          【ショートショート】口やかましい

           玄関を開けると、棒が立っていた。 「掃除に参りました」  よく見ると、コードレスの掃除機だ。足下に吸引システムがついている。 「自分でやるからいいよ」 「そういう人ほど掃除をしません」  正論である。 「お金は出せない」 「充電させていただくだけで十分です」  それならと部屋に入れたのが間違いだった。 「ものがあるので吸引できません。ものがあるので吸引できません」 「うるさい。同じことを何度もいうな」  私は必死になって床の上に放り出したものを右から左へ、左から右へと移動さ

          【ショートショート】口やかましい

          【ショートショート】サウナの夢

           ナイロンタオルを持って銭湯に行き、身体の隅々まで洗った。  次にサウナで汗を流した。汗といっしょに身体の中の老廃物も出ていくようだ。冷水に首まで浸かるときゅっと肌が引き締まる。  身体の内も外もキレイになってアパートに帰り、すぐに薄がけ布団をかぶった。  夢の中に小人が出てきた。何人もの小人が裸の私を一生懸命小さな布きれで擦っている。なにかを塗りつけ、広げているようだ。乾燥するのを待って、また皮膚という皮膚を何度も擦る。  目が覚めると、肌がツヤツヤしていた。  私は会社に

          【ショートショート】サウナの夢