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北出栞『「世界の終わり」を紡ぐあなたへ―デジタルテクノロジーと「切なさ」の編集術』 刊行記念「Y2K・ボーカロイド・現代美術―〈セカイ系〉文化論の現在地」イベントレポート
はじめに
新しい文化の醸成は、多様な要因によって引き起こされる。それは作り手=プレイヤーであり、受容者=観客全体が必要となるだろうが、そこと直接には関係のない第三者(それを世間と呼ぶのか、大衆と呼ぶのか、社会と呼ぶのかは分からないけれど)をつなぐ存在が必要になってくる。それはメディアであり、マネージャーであり、イベントスペースであり、多様である。ただおそらく、そのような第三項を批評と言ってもいい
ディストピアを書き変えろ!(映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』前章)
浅野いにお『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(以下『デデデデ』)は1巻が発売当初からずっと買い続けてい追い続けた作品だったが、この度映画化をするということで見にいった。
本作の1巻が発売されたのは二〇一四年。
この時期はまだ、東日本大震災の影響が色濃く残っているときだった。もはや歴史的な出来事であるだろうが、放射能の問題や復興の問題、様々なものがどうしようもなくなっていた。
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あまりに人間的なウルトラマンーー『シン・ウルトラマン』感想
※ネタバレ注意
空想特撮映画として『シン・ウルトラマン』が公開された。監督は樋口真嗣、また企画・編集は庵野秀明と『シン・ゴジラ』のコンビによる作品だ。公開直後の興行収入も良く、順調に客足を伸ばしており、昨年公開された庵野秀明監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』も相まって、話題性も高い。
内容自体は初代である『ウルトラマン』のオマージュとなっている部分がほとんどで、ザラブ星人やメフィラ