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何度も読み返したい素敵な文章の数々・・・!!!

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#エッセイ

出来事は遠ざかり、感情は醗酵する。

出来事は遠ざかり、感情は醗酵する。

時々、ありがたいことに「noteに書いていたあれ、よかったね」なんて言ってもらえることがあります。それから、自分でも「うん。これはなかなかうまく書けたかも」なんて思うこともあります。

どういうわけか、それって、過去のことについて書いたものが多いのです。最近の出来事や感情ではなくて、10代や20代の頃の物事について書いたもの。

若い時代の物事の方が、ポップでカラフルだからかなあと、最初は思ったり

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どこかで、きっと関係は生まれている

どこかで、きっと関係は生まれている

1995年4月。

わたしは大阪に引っ越してきた。無職だった父の再就職先が大阪だったから、愛知県から引っ越すことになったのだ。

その数ヶ月前、1995年1月17日。阪神淡路大震災があった。

愛知県に住んでいたわたしは、ふだんと同じように眠っていた。朝起きてニュースを見てはじめて、「こうべ」というところで大きな地震があったのだということを知った。高速道路がなぎ倒された映像を憶えている。

ただ、

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それでも、分かり合えないあなたと生きていく

それでも、分かり合えないあなたと生きていく

ここ数年、ずっとずっと。

わたしのなかで繰り返し、声にも出すし、言葉として書き留めていることがある。

それは「人と人とは分かり合えない」という、現実。

初めて、こう思い知ったのは、一人で海外をふらふら旅していた、5年前。

動物的な分類で言えば同じ生き物だとしても、もう人間の力ではどうしようもできない、湿度や雨の頻度や日照時間、植物の種類や空の広さで以って、

何億年もかけて培われた細胞の影

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凡人で良かったと思うこと

凡人で良かったと思うこと

生まれた年代を問わず「普通は嫌だ」「人と違ったことがしたい」「レールの上を歩きたくない」と思う若者は少なくないようで、最近こんなエントリーがバズっていた。

4ヶ月で大学を中退し起業します。レールに沿ったつまらない人生はもう嫌だ。(いしだの話)
※こちらのサイトがクローズされフィッシング詐欺サイトになっていたのでリンクを削除しました。

この往年の尾崎豊の歌詞を彷彿させるようなエントリーに対して、

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「死ぬのが楽しみ」と言えるその日まで

「死ぬのが楽しみ」と言えるその日まで

夏休みの宿題をやり始めるのは、だいたい始業式のあと。
貯金0円で会社を辞め、リボ払いに手を出したこともある。
頑張れば金曜日に終わる仕事を、つい土日に持ち越してしまう。

そんな計画性ゼロの私が、将来のプランとして一つだけ決めていることがある。

両親や兄妹はもちろん、仲のいい友達、夫。特別に大切な人よりも、後に死にたい。

RADWIMPSの「25個目の染色体」という歌の中で、

あなたが死

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見えすぎないくらいがいいのかも

見えすぎないくらいがいいのかも

先週、眼科に行った。ひどい眼精疲労がずっと続くので、眼精疲労外来へ。

サクッと終わるだろうと思っていたけれど、裸眼でもメガネでもあれこれ検査を重ね、数時間かかってしまいヘトヘトになった。その上、肝心の原因が「メガネの過矯正」だったのだ。

お医者さんは「そのメガネは”見えればいい”という値の5〜6段階くらい強く矯正されてるから、しばらく使わないでね」と言っていた。そして、目の緊張をほぐす目薬が処

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ノイズを除いた先にあるもの

ノイズを除いた先にあるもの

実家から自宅に帰ってきました。帰宅早々、疲れなのか何なのか、貧血時の立ちくらみのような症状に襲われて、ぼんやりと横になって一日を過ごしました。

車中睡眠だったので、睡眠不足解消のために幾度かうつらうつら眠りにもつきつつ。

夢と現実との狭間を行ったり来たりしているような感覚が、どこか非現実的で心地よい。さっきまで頭の片隅にあった思考が、自分のものなのか、はたまた夢で感じたものなのかわからなくなる

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美容院の予約をしたくない

美容院の予約をしたくない

 予約をすることが苦手だ。誰かとの約束のためにする予約ならいいのだけれど、自分自身のためにする予約は、昔からとても苦手だった。

 ネット予約ならまだしも、電話だとなおさら億劫になる。とっとと掛けてしまえばいいのに、のろのろ無駄に時間をあけてしまうことが、わたしにはよくある。

 行動的だと言われることもあるのだけれど、わたしは出不精だ。予定がなければ、平気で引きこもり続けられる。趣味がインドアも

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その人が、そこにいない。

その人が、そこにいない。

ぼくは、しあわせ者だと思う。

「うーん、なんて安直な…」という気分が拭えないが、いまの気持ちにいちばんピッタリだと感じるので書くことにした。あ、そういえば・・・

「最高でーす!」

プロ野球チームジャイアンツの阿部慎之助選手が試合中に活躍したとき、お立ち台に立ってヒーローインタビューで発するお決まりの第一声を思い出した。(たぶん学生時代だったと思うが)最初にあの姿を見たとき、素直に感情を表現す

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今会えてる人には会えてるうちに沢山話さなきゃ

(このタイトルは、平山さんのツイートを引用しました)

昨日の夕方17時から、祐天寺にあるもつ焼き屋さん「ばん」で待ち合わせ。きっかけは、山脇くんが誘ってくれたWIRED合宿だった。

合宿の帰りに一緒に帰った人たちと「来月飲みに行こうよ」と誘って、それが昨日実現した。

普段、飲みに行っても割とすぐに帰るタイプだけど、この飲み会は楽しくて楽しくて、いつの間にか3件はしごしてた。全員会ったのが2回

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「食べる」の美学 〜ごはんにまつわる好きな本4冊〜

「食べる」の美学 〜ごはんにまつわる好きな本4冊〜

自分で料理をするのは苦手だけど、「料理」「食べること」に関する本を読むのは好きです。

誰の日常にも存在するものへの視点にこそ、独自性が出る。つまり、「食べる」を通して、自分とは違う感性を知るのが好きなのです。

ということで、「食べる」にまつわる好きな本を紹介したいと思います。いつもの風景への視点をちょっと変えてくれるような本たちです。

***

帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったの

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コンセプトが可変する場

コンセプトが可変する場

とあるお仕事で物件開発のプロジェクトが進んでいる。まだ時期は早いが今までにない開発プロセスを持ち込みたいと悶々と考えていた。

従来の施設は名前も用途も空気すらも設計された状態でテナントや居住者を集める。それに少し違和感を感じていた。「この感じ好きならどうぞ」っていう距離を感じたりしていた。

このあらかじめ設計されたものを選ぶのって本当に入居者にとって楽しいことなのか。なんなら人が入る前に作られ

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言葉を追い出す

言葉を追い出す

ぼくは詩は好きだけど、詩人には疎い
有名な詩人の名前はあまり知らない

そんな詩ろうと(素人)なぼくに一撃をくらわした詩人がいる。それが谷川俊太郎さんだ

それは「なんでもお○んこ」という詩だった。衝撃的だった。こんな詩を書ける人が日本にいたのか!と 笑

世の中には詩があふれている。しかし、その多くはあたりさわりのない、人々の共感と賛辞を得ることを目的としたファッションポエムだ

谷川俊太郎さん

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本当に欲しいものは渦潮の中にはない

本当に欲しいものは渦潮の中にはない

 これまで手に入れたものの中で、一番うれしかったものは何ですか? 一番思い出に残っているものは何ですか? 自分の世界が変わるほどの出会いになったものは、ありますか?

 溢れかえるモノの渦に飲み込まれそうなのが、現代の日本だと思う。飲み込もうとしているのは、モノではなくて、自分自身の物欲かもしれない。どちらにせよ、モノも情報も人の感情すらも、鳴門の渦潮のようにぐるぐるぐるぐる回りうねり、目まぐるし

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