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ことば

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私のすきな言葉をここに。
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灯台の足元で

灯台の足元で

絶対好きじゃん、と思ってその時が来るまでしばらく大事に取っておく。私にはそういう癖がある。最近で言うと、Netflixで配信されている『LIGHTHOUSE』。星野源と若林正恭のトークバラエティ全6回。こんなの絶対好きじゃん、でも6回なんてすぐ終わっちゃうから勿体ない見方はできないじゃん。

満を持して、#1を見た。許されるならば、肩をそっとさすらせてほしいと思った、2人の。同じように味わいたい人

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信じること、信じられるということ

信じること、信じられるということ

ついさっき、触れた言葉だ。金色の光が筋となって届いた気がした。

読み始めた『アムリタ』の上巻1/3あたりを越え、私は一度本を閉じた。音楽にも、本にも、映画にも、背に心地よい温度の手が添えられた時のような、救いの表現を見つける。作り手の信じるもの(信念、というより柔らかいなにか)が込められている、と勝手に思っている。

「救い」と表したけれど、腑に落ちるという感覚が近いのかもしれない。導きを得るこ

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あなたたちを心から、私は

あなたたちを心から、私は

「きらきら」というより「ぴかぴか」している女の子たちと話す時間を持つようになり、3年になる。主観の表現でしかないけれど、ぴかぴかは「新品の感受性」と「電飾のような光り方をする」という意味でそう思っている。

傷ついていない子なんていなかった。それと同時に、"ただ傷ついているだけ"の子も少なかった。大人は簡単に【可哀想】のレッテルを貼る。それぞれいろんな事情があり、それを軽視するつもりは毛頭ないけれ

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腑に落ちてたまるか

腑に落ちてたまるか

「今はそういう時代ですよね、女の子同士が結婚する展開が物語にも出てくる。何と言ったらいいかわからないですけど」「大丈夫、あの人がいなくても平気だよ、むしろもっと良くなるよ」「もうすぐ女の賞味期限切れじゃん」

全部、私と会話していた人たちが放った言葉だ。心の中にわんわんと妙な音が響いて、でもそれは私にしか聞こえず、この違和感をどうしたらいいのだと苦しくなっているうちに会話は次へと進んだ。喉元に詰ま

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脈打つ励ましを享受して

脈打つ励ましを享受して

慕って慕って止まない椎名林檎。先日のコンサートで5年ぶりに本人を目の当たりにし、音楽を浴び、どうにも涙が止まらなかった。始まった瞬間から、こんな感激が他にあってたまるかと、全身に震えが走った。1滴も漏れ落としたくなかった。私を生かしてくれているのは、ずっと、ずーっとこの人なのだ。

子どもの頃、ナース服でガラスを蹴破る姿に衝撃を受けた。映像のインパクトを超えてくる音の鳴りに私は完全に心を鷲掴みにさ

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瑞々しく飛び出しては留まり

瑞々しく飛び出しては留まり

noteの下書きが、31本もたまっていた。

たった1行しか綴られていないものもあれば、700字程度埋まったものもある。似たようなことを書いてすでに記事にしたものも含まれているが、多分、全く同じではないはずだ。その瞬間の心の泡立ちは、そこにしかないはずだから。

何本か開いて、ざっと読んでみた。ひとつには、先日初めて対話させていただいた方のことが書いてあった。語られる物語に、痺れるような感銘を受け

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ほどけた心のそばにいる

ほどけた心のそばにいる

「私のことばと想いがきちんと届く」
そう安心できる相手がいることは、なんて嬉しいものだろう。

好きな映画の話をしたときに興味を持ってくれること。お気に入りのお菓子をおすすめしたら一緒に買いに行ってくれること。自分の世界を広げたいからと私の趣味に乗っかってくれること。譲れない想いや軸を互いに伝え合えること、そしてそこに共鳴できること。苦手や弱さや恥をそのまま見せられること。

「ことばと想いが届く

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「好き」は生きしろに、鉱脈を掘り当てて

「好き」は生きしろに、鉱脈を掘り当てて

昨年の春、『余白を愛していきていく』というnoteを書いた。ありとあらゆる流れの中で忙殺されてはいるけれど、とはいえ私は「くらしを愛する」「好きというきもちを大切にする」ことを蔑ろにしたくないと思い続けている。

ここしばらくの記事でお察しの方もいるかもしれないが、薄暗い空白に押し込められるような感覚に見舞われていた。自分の人生では経験したことのないようなものを他人の人生を通してどかんと受け取った

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約束する、余すことなく使い果たすと

約束する、余すことなく使い果たすと

何曲もあってはおかしいのかもしれないが、私のテーマソングといえる音楽のひとつ。『逆さに数えて』に限らず、椎名林檎はいつだって、命を存分に使い果たしていく覚悟を歌っている。

いつか終わりを迎えるとわかっているから、惜しむことはできない。勿体ない、生きることを節約している暇がない。ほんとうに、心の底からそう思っている。

太陽で光合成をするように、自身の英気となるような養分を見つけては満たして力に変

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だいじょうぶ、をあげるよ

だいじょうぶ、をあげるよ

年末の足音がする。確実に聞こえてきている。もういくつ寝ると、と言うには少し早い。それでも間違いなく今年は終わろうとしている。

このままでは冷静に新年を迎えられない…と、昨年末の私は思っていた。末も末、残すところ2020年は片手指分の日数しかない、というときのこと。折り合いをつけてなんとか向き合っていたある事柄を、近しい人が土足で踏み抜いていくような出来事があった。忘れられない。ひとり布団の中で声

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心を、かなしみを、しあわせを、

心を、かなしみを、しあわせを、

わたしたちは自分の矛盾にばかりおおらかで
他人の矛盾を許せずにいる
それに気づいたのはずっとずっと後だった。
たぶん誰もがそんなふうで きっとわたしはずっと
それに苦しみ続けるのだろう。
でもたぶん それはそんなに悪くない。

ヤマシタトモコさんの描く、「違国日記」にでてくることば。私のだいすきな漫画。
15歳で両親を事故で亡くした少女:朝と、その少女の叔母であり小説家である槙生の話。2人で暮らし

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願いがやさしい波紋になれば

願いがやさしい波紋になれば

すこし勇気を出してみた。

昔から好奇心旺盛だったけれど、自分にできることを考え、探しながら行動に移していけるようになったのはここ1.2年のこと。「ふあん」の3文字に囚われがちな私にとって、これは大進歩だったと思っている。

何度も何度も書いているけれど、その進歩の中でいろんな人たちと出会った。やさしい刺激をもらううちに、よりなめらかに動けるようになった気がする。やることは増えたしさらに忙しくなっ

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なんにも持っていなくて、なんでも持っている

なんにも持っていなくて、なんでも持っている

『おかえりモネ』をみている。
朝ドラは子どもの頃から私の生活の一部。タイミングの合わなかった幾つかの作品を除いて、20年近く連続でみている。

作品で取り扱う要素が少し変わってきたなと感じる。個人的には良い方の変化。モネは特に、今っぽいなと思う。「声を上げられなかったけれど心に潜んでいた想い」や「本当はもやもやするのに平気で済ましているようにみせたこと」に焦点が当たるようになっている。世の中で素通

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自分の気持ちを「よきところ」に

自分の気持ちを「よきところ」に

この間年明けを迎えた気がするのに、天気予報の最高気温欄に「30度」が現れるようになってしまった。薄暗さに心まで引っ張られてしまう私は、日の長いこの季節が嬉しいのだけれど、あっという間に2021を終えてしまいそうで少し震える。

いつもいつも考える。「やっていることは身になっているのかな」とか「今の自分でいいのかな」とかそういうことを。日々を慈しんで生活することと同じくらい、留まらず変化し続けていく

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