蝶野結衣子@ライター(医療•社会保障、伝統文化)

ライター|特化分野:医療・社会保障、伝統文化 |資格:看護師・保健師・養護教諭| 元厚…

蝶野結衣子@ライター(医療•社会保障、伝統文化)

ライター|特化分野:医療・社会保障、伝統文化 |資格:看護師・保健師・養護教諭| 元厚労省勤務・リサーチアシスタント| 茶道・日舞・着物| 0歳と5歳のママ| 丁寧なリサーチ+難しいことを分かりやすく伝えることを大切にしています| ご依頼いただける場合はDMまで📩

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記事一覧

息子と亡き母のちょっと不思議な話【5歳の息子の見る世界】

「かなしい曲を聞くと、バァバを思い出すの」 デパートの多目的トイレに5歳の息子と入っていた時のこと。そこには優しくて落ち着いた曲が流れていた。かなしいと息子は言…

【目の色】 5歳の息子の見る世界

駅から家まで15分。私は駅からの帰り道に息子と話すことが好きだ。息子の見る世界は、私の見ている世界とは違う。 ある日、なぜか目の色の話になった。 「どうして目の色…

(育児エッセイ)息子に母として伝えたいこと。それは自分の母に自分が伝えてほしかったこと。

「お母さんはどんな人ですか?」 「お母さんは、いつも頑張っている僕を褒めてくれる人です」 これは5歳の息子が通う幼児教室での一幕。この日は夫が参観に行った。息子…

(育児エッセイ)マザー牧場まで76キロ。息子が夢中になったのはダンゴムシだった

息子の白いぷっくりとした小さな手のひらの上を14本の小さな足が這い回っている。息子は大切なそれを落とすまいと、大切そうに両手で包み込もうとするが、黒いそれはなんと…

(育児エッセイ)「ママはなんで僕のこと好きなの?」と聞かれた時の正解がわからない

「ママはなんで僕のこと好きなの?」 5歳の息子の質問は唐突だった。保育園から家に帰るわずか7分の道すがら、なんの前触れもなくその質問はやってきた。 春の日が傾き始…

【ショートエッセイ】私は推し(贅肉)を憎悪する

推しのせいで、5歳の息子に「お母さんは赤ちゃんを産んだのに、なんで赤ちゃんがまだお腹の中にいるの?」と無邪気に聞かれ、言葉を失った。推しのせいで、私は自分を醜い…

【ショートエッセイ】日本舞踊が思い出させてくれる、美しくあろうという気持ち

日本舞踊の演目『うぐいす』の主人公は恋する少女だ。茶道のお稽古をしながら、愛おしい人を待っている。 この演目を踊っている時に、38歳ででっぷりとなってしまった私は…

ポートフォリオとお問い合わせ先

はじめまして。 ご訪問いただき、ありがとうございます! フリーランスのライター・蝶野 結衣子(ちょうの ゆいこ)と申します。  このページでは私のポートフォリオと…

【短編小説】アマビエ先生と肉じゃがの記憶

 約一週間続いた熱がひき、身体の痛みも嘘のように無くなった。二日前に息をすることがとても苦しくなって、病院に行ったら肺炎を合併していると言われたのが嘘のようだ。…

以前、蕾写真館さんで、記念に撮っていただきました。

アンティーク着物も背景の水彩画もが素敵すぎます😍

http://tsubomiphoto.com

【短編小説】わたしの大切なおともだち

【あらすじ】 私には天鈴(あめり)っていう大切なおともだちがいるの。小学校も中学校もずっと一緒だった。でも、中学の卒業式の日に「これからも一緒にいていいのかな」…

【短編小説】ハナちゃんとあやかし学校

【あらすじ】 華ちゃんは、小学六年生。 独特の感性を持つ華ちゃんは、図工の時間に自分の視たままの絵を描いていると、先生から「普通に描きなさい」と言われてしまいま…

【着物コラム】これって文化盗用?アメリカで炎上してるらしいけど、いまいちピンとこないので、その理由を考えてみた。

こんにちは。蝶一です。 「文化盗用」、最近よく聞くワードですよね。 着物好きには、昨年(2019)、アメリカのセレブリティであるキム・カーダシアン氏が、自らの補…

【着物コラム】なぜ私達は、着物警察化してしまうのか。(NYファッションウィークでの着物ファッションショー)

こんにちは。蝶一です。 2016年に開催されたNYファッションウィークでの着物ファッションショーを紹介する動画がyouTubeにあがっていました。 結論からいうと、私…

息子と亡き母のちょっと不思議な話【5歳の息子の見る世界】

息子と亡き母のちょっと不思議な話【5歳の息子の見る世界】

「かなしい曲を聞くと、バァバを思い出すの」

デパートの多目的トイレに5歳の息子と入っていた時のこと。そこには優しくて落ち着いた曲が流れていた。かなしいと息子は言ったその曲は、確かにほんの1グラムほど、寂しさを含んだ曲だった。

「バァバの何を思い出すの?」

私は疑問に思って聞いた。なぜなら、息子が生まれる10ヶ月前に母は亡くなっていたからだ。脳卒中だった。

当時のことは、まるで再現VTRのよ

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【目の色】 5歳の息子の見る世界

【目の色】 5歳の息子の見る世界

駅から家まで15分。私は駅からの帰り道に息子と話すことが好きだ。息子の見る世界は、私の見ている世界とは違う。

ある日、なぜか目の色の話になった。
「どうして目の色って人によって違うと思う?」と私は尋ねる。

「うーんとね、生まれる時は色々だと思う。黒や茶色、青や赤、紫やピンク。いろいろな色があると思うんだ」
「そうなんだね。じゃあ、なんでかっちゃん(息子の愛称)の家族やお友達には、黒い瞳の人が多

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(育児エッセイ)息子に母として伝えたいこと。それは自分の母に自分が伝えてほしかったこと。

(育児エッセイ)息子に母として伝えたいこと。それは自分の母に自分が伝えてほしかったこと。

「お母さんはどんな人ですか?」

「お母さんは、いつも頑張っている僕を褒めてくれる人です」

これは5歳の息子が通う幼児教室での一幕。この日は夫が参観に行った。息子は小さな子ども用の椅子に座りながら、先生からの質問に、きちんと相手の目を見てこう答えたらしい。

この話を夫から聞いたのは、幼児教室が終わって、夫と息子が家に帰り、家族4人での夕食が始まった19:30くらいのことだった。

テーブルには

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(育児エッセイ)マザー牧場まで76キロ。息子が夢中になったのはダンゴムシだった

(育児エッセイ)マザー牧場まで76キロ。息子が夢中になったのはダンゴムシだった

息子の白いぷっくりとした小さな手のひらの上を14本の小さな足が這い回っている。息子は大切なそれを落とすまいと、大切そうに両手で包み込もうとするが、黒いそれはなんとか息子の手の中から逃れようと歩みを止めない。

あっ、落ちた。

息子はそれを拾い上げようと、小さな手で掴みあげようとする。土の地面の砂が、小さな手の爪の間に入っていく。

掴み上げると息子はまた大切そうにそれを両手で包むが、それは全力を

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(育児エッセイ)「ママはなんで僕のこと好きなの?」と聞かれた時の正解がわからない

(育児エッセイ)「ママはなんで僕のこと好きなの?」と聞かれた時の正解がわからない

「ママはなんで僕のこと好きなの?」

5歳の息子の質問は唐突だった。保育園から家に帰るわずか7分の道すがら、なんの前触れもなくその質問はやってきた。

春の日が傾き始め、優しい風が私たち親子を包んでいる。葉が混じった桜の花びらは、満開の時のような絢爛さはないが、それでも美しかった。静かに一枚の花びらが地に落ちる。そんな、なんでもない日に突如投げかけられた質問。

保育園の先生たちから、とくに誰かと

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【ショートエッセイ】私は推し(贅肉)を憎悪する

【ショートエッセイ】私は推し(贅肉)を憎悪する

推しのせいで、5歳の息子に「お母さんは赤ちゃんを産んだのに、なんで赤ちゃんがまだお腹の中にいるの?」と無邪気に聞かれ、言葉を失った。推しのせいで、私は自分を醜いと感じるようになり、少しでも細く見せたくて、SNOWという加工アプリで自分の写真を加工するようになった。

推しは私のコンプレックスの元凶である。そしてそれは間違いなく、私の自己肯定感を下げている。
推しとは、そう、ぜい肉のことである。

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【ショートエッセイ】日本舞踊が思い出させてくれる、美しくあろうという気持ち

【ショートエッセイ】日本舞踊が思い出させてくれる、美しくあろうという気持ち

日本舞踊の演目『うぐいす』の主人公は恋する少女だ。茶道のお稽古をしながら、愛おしい人を待っている。

この演目を踊っている時に、38歳ででっぷりとなってしまった私は、いかに舞の中で10代の娘のように、可憐に見えるかを考える。普段は猫背だが、猫も驚くくらい背をそり、客席から姿勢がきれいに見えるようにする。首や足、腕の角度を何度も変え、一つひとつの振りが客席から恋する少女に見えるように試行錯誤する。そ

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ポートフォリオとお問い合わせ先

ポートフォリオとお問い合わせ先

はじめまして。
ご訪問いただき、ありがとうございます!
フリーランスのライター・蝶野 結衣子(ちょうの ゆいこ)と申します。 

このページでは私のポートフォリオとお問い合わせ先を記載しています。お仕事のご依頼方法はページ下に記載しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

自己紹介蝶野 結衣子(ちょうの ゆいこ)と申します。
フリーランスライターです。
1984年東京生まれ、東京在住。

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【短編小説】アマビエ先生と肉じゃがの記憶

【短編小説】アマビエ先生と肉じゃがの記憶

 約一週間続いた熱がひき、身体の痛みも嘘のように無くなった。二日前に息をすることがとても苦しくなって、病院に行ったら肺炎を合併していると言われたのが嘘のようだ。

 肺炎になったと聞いて、今年七十歳になるおばあちゃんは、私が死んじゃうんじゃないかって顔を真っ青にしていた。おじいちゃんが肺炎で亡くなっているから、怖かったのかもしれない。でも私はまだ元気な十二歳で、おじいちゃんは別の病気も持っている七

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以前、蕾写真館さんで、記念に撮っていただきました。

アンティーク着物も背景の水彩画もが素敵すぎます😍

http://tsubomiphoto.com

【短編小説】わたしの大切なおともだち

【短編小説】わたしの大切なおともだち

【あらすじ】

私には天鈴(あめり)っていう大切なおともだちがいるの。小学校も中学校もずっと一緒だった。でも、中学の卒業式の日に「これからも一緒にいていいのかな」って。なんでそんなことを言うの?すると天鈴からは驚くことを言われて‥‥‥

【本編】

 私の大切なおともだちの名前は天鈴。あめりって読むの。素敵でしょう?

 天鈴(あめり)と初めて出会ったのは、まだ保育園の年長さんの時だったの。

 

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【短編小説】ハナちゃんとあやかし学校

【短編小説】ハナちゃんとあやかし学校

【あらすじ】

華ちゃんは、小学六年生。

独特の感性を持つ華ちゃんは、図工の時間に自分の視たままの絵を描いていると、先生から「普通に描きなさい」と言われてしまいます。

図工室に行けなくなってしまった華ちゃんの前に、トイレの花子さんが現れ、アマビエ先生のクラスへと連れて行ってくれました。

アマビエ先生の授業で華ちゃんは何を学ぶのでしょうか。

【本編】

「もう少し、自分らしさを出しましょうね

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【着物コラム】これって文化盗用?アメリカで炎上してるらしいけど、いまいちピンとこないので、その理由を考えてみた。

【着物コラム】これって文化盗用?アメリカで炎上してるらしいけど、いまいちピンとこないので、その理由を考えてみた。

こんにちは。蝶一です。

「文化盗用」、最近よく聞くワードですよね。

着物好きには、昨年(2019)、アメリカのセレブリティであるキム・カーダシアン氏が、自らの補正下着のブランドに「kimono」とつけようとして炎上し、後に撤回したことが記憶に新しいと思います。

そのブランドの写真がこちら↓

「いや、kimono関係なーい!」と多くの人が思ったでしょう。キム氏が商標登録をしようとしているとい

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【着物コラム】なぜ私達は、着物警察化してしまうのか。(NYファッションウィークでの着物ファッションショー)

【着物コラム】なぜ私達は、着物警察化してしまうのか。(NYファッションウィークでの着物ファッションショー)

こんにちは。蝶一です。

2016年に開催されたNYファッションウィークでの着物ファッションショーを紹介する動画がyouTubeにあがっていました。

結論からいうと、私はこのショーは素晴らしい取り組みだと思うし、ショーを企画した人達に無条件に敬意を持ちます(*^-^*)

ただ、動画のコメント欄は批判で埋め尽くされていました。そして、その大半が着物警察のようなコメントでした。

私達はなぜ着物警

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