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【着物コラム】これって文化盗用?アメリカで炎上してるらしいけど、いまいちピンとこないので、その理由を考えてみた。

こんにちは。蝶一です。

「文化盗用」、最近よく聞くワードですよね。

着物好きには、昨年(2019)、アメリカのセレブリティであるキム・カーダシアン氏が、自らの補正下着のブランドに「kimono」とつけようとして炎上し、後に撤回したことが記憶に新しいと思います。

そのブランドの写真がこちら↓

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「いや、kimono関係なーい!」と多くの人が思ったでしょう。キム氏が商標登録をしようとしているというのも、多くの人の怒りを買いました。

日本の伝統文化の代表の一つともいえる着物が、アメリカの実業家の商売道具になってしまう、自分達がアメリカで「kimono」を使えなくなるかもしれない、今後国際的にkimonoというのは、補正下着を表す言葉になるかもしれない等の懸念により、多くの人が怒りました。

Twitter等で「#KimOhNo」のハッシュタグが付いた批判が殺到し、署名サイトの抗議の呼びかけには13万人超が賛同する事態となりました。その際、私も署名に参加しました。

また、京都府京都市長の門川大作氏がキム・カーダシアン氏に対して「あなたの商標として『kimono(きもの)』という名称を使う決断を再検討するようお願いしたい」と手紙を送っています。

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世耕弘成経済産業大臣(当時)も、にツイッターで「着物は日本が世界に誇る文化です。しっかりと審査してくれるよう、アメリカ特許商標庁にも話をしたいと思います」と投稿しました。

【そもそも文化盗用とは何か?】

文化盗用(cultural appropriation)について、ケンブリッジ・ディクショナリーでは以下のように定義しています。

the act of taking or using things from a culture that is not your own, especially without showing that you understand or respect this culture

ざっくり訳すと「自分自身のものでない文化を利用する行為、特にその文化への理解や尊敬を表さない場合のこと」となります。

よく分かりませんね。では日本人が結婚式の時に、キリスト教徒でない人が教会で結婚式を挙げることは文化盗用になるのでしょうか?
私はならないと思います。

wikipediaでは以下のように説明されています。

社会的少数派の文化から流用された要素は多数派に所属する者たちによって元の文脈から外れて使用され、時には少数派が明示的に示した希望に反する形で使われることもあることから、文化の盗用はアカルチュレーションや対等な文化交流とは異なり植民地主義の一形態であるとされる。また、文化的な要素が元の文脈から切り離され本来の意味が失われたり歪められたりすることは、流用元の文化に対する冒涜であるという指摘もある。

つまり、文化盗用とは、「理解や尊敬を表さないで、自分自身のものでない文化を利用する行為のこと。特に社会的少数派の文化を多数派が歪んで使用する時に問題となる」と言えるのではないでしょうか。

ニューヨークタイムズに、バージニア大学のクラーク教授のインタビュー記事が載っていました。それは、キム氏の一族はattention economyを不当に利用することに長けているとする内容です。attention economyとは、人々の関心や注目の度合いが経済的価値を持つという概念で、それを不当に利用するとは日本でいう炎上商法のことを指すのだと思います。

このインタビューの内容が正しかったとすると、キム氏は、kimonoを注目を集めるために、利用したということになります。いくら本人が、「日本の文化における着物の重要性を理解しており深い尊敬を持っている」とコメントしたとしても、彼女にはkimonoに対する尊敬の念など全くないと多くの人が思うでしょう。

この尊敬の念が全くないことが、キム氏が日本でも炎上した理由だと考えられます。

【アリアナ・グランデ氏の場合】

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カッコイイですね。

2019年に彼女は「七輪」とタトゥーを彫りました。(すべての写真は、frontrowより)https://front-row.jp/_ct/17247342

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えっ?七輪?

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これ?と思った人は多いと思います。

いえいえ、自身の新曲「7リングス(7Rings)」にちなんだ日本語タトゥーを入れたつもりだったそうです。彼女はMVの中でお箸を使っていたり、親日家で有名でした。

その後、タトゥーの場所と文字を変えました。

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ここまで見てきて、私は「七輪」というタトゥーが全く不快になりませんでした。むしろ、日本文化に興味を持ってくれて嬉しいと思いました。そう思った人も多いのではないでしょうか。

日本では、キム氏のようにアリアナ氏が文化盗用に関係して炎上することはあまりありませんでした。
もちろん、日本語の意味が間違えているという指摘は多々ありましたが、文化盗用だという声は小さかったです。文化盗用に関する炎上は主にアメリカで起こっていたようです。それはなぜでしょうか。

アリアナ氏が日本で炎上しなかった理由は、アリアナ氏の日本文化に対する愛を日本人が知っていて、それを嬉しく思っていたからだと思います。

では、アメリカで炎上した理由は何でしょうか。

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Twitterからでは、どのような属性の人が批判をしているのかは分かりませんでした。ですが、コメント等から察するに、アメリカに住む少数民族の人やポリティカルコレクトネスを主張する人が批判しているようです。

私もアメリカに留学していた経験がありますが、少数民族・マイノリティの立場の人達は多かれ少なかれ差別を受けています。私が差別を感じた理由は、アジア人だったからかもしれないし、日本人だったからかもしれないし、女だったからもしれないし、英語がネイティブのように話せなかったからかもしれません。

自分の属性でネガティブな扱いをずっと受けてきたマイノリティの人々にとっては、普段、マイノリティをその属性のために差別しておいて、注目を集めるために、マイノリティの属性を利用しているようにアリアナ氏が見えたのかもしれません。
そのため、彼らは日本人ではなくても、ものを申さずにはいられなかったのでしょう。
例え、アリアナ氏が日本文化を尊敬したとしても、「尊敬」は第三者に見えるものではないので、彼らは文化盗用だと主張したのだと思います。

ポリティカル・コレクトネスは、1980年代、近代社会の欧米中心・白人男性中心の文化を改め、人種や性にもとづく差別的な価値観や欧米至上主義的歴史観を是正しようとする思想です。
今日ではさらに広く、あらゆる面において価値中立的な表現・制度を追求する考え方として捉えられています(実用日本語表現辞典 )。

この考え方の人は、自分がマジョリティで、文化盗用される側ではないとしても、差別的だと見なされる価値観を是正しようとします。

ただ、私はTwitterで「怒っているのは白人の女性」というコメントを見ました。白人という点ではマジョリティですが、女性と言う点ではマイノリティです。自分がマイノリティとして辛い経験をしたために、他のマイノリティが文化盗用されるのが許せないと思い、声を上げたのかもしれません。

つまり、今回の文化盗用の問題は、文化を盗用されたとみなされるマイノリティがどう思うかに加えて、第三者から文化盗用に見える行為をマジョリティが行ったことが問題だったのです。

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これは、インバウンドにかかわる人達や表現活動をするクリエーターにとって、胸にとめておくべきことだと思います。
本人が良かれと思い、相手も歓迎しているにも関らず、それが文化盗用と第三者から見なされる場合は、炎上してしまうのです。

恐ろしい話ですが、国を超えて繋がれるSNS時代に活動しようと思うのであれば、気を付けなければなりません。
今回の記事を書いて、本当に気を付けようと思いました。でもどこで誰がどう思うかを完全に知ることは不可能だと思うので、なかなか難しいですよね…どうすれば良いのか…よく分からない…

今回の記事は以上です。

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