人生大富豪ゲーム (1分小説)

「あと、ワンゲームしかできない」

大富豪のオレは、スタッフルームにあった時計で、休憩時間残り10分を確認した。

手持ち5枚のカードを見ると、今回も楽勝。

最悪の『不幸カード』はド貧民にあげたし、最強の『宝くじ7億円当選カード』は手元にある。

「では、ボクから」

右隣のバイト君が、テーブルの上に『初めての、おくるみ』と書かれたカードを出した。

みんなは、これより幸せだと感じるカードを出さ

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4月

4月1日。雨。
 僕は思いついたように赤崎先輩の家に向かう。じっとりとした湿気が顔に絡みつき、大粒の激しい雨が、頭上の傘にぶつかっては弾けた。普段から家に引きこもりがちな僕にとって、雨の日の外出など死力を尽くしてでも避けたい代物だ。しかし、今日だけは違う。この大雨をモノにしない手はない。

  僕は赤崎先輩のアパートに着くなり無遠慮にインターホンを鳴らした。
 「なんだよ」
 そう言いながら、随分

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スキありがとうございます!!
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「学生のうちに彼女と結婚しておけよ、早いところな」

「学生のうちに彼女と結婚しておけよ、早いところな」
タカシ先輩はため息交じりの声で声をかけた。

「はーい、気を付けます!」
ケイスケは張りのある声で答えた。

慶應義塾大学のとあるサッカーサークルのOBとの交流会。高級ホテルで開かれた立食パーティ。なんだかんだ同窓会のように各学年が固まって緩い島のようになっている。
ジャケットの着こなしから、どことなくイケイケだった雰囲気のあるが、哀愁が少々漂っ

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カーラジオの袋小路

 カーラジオ、それは時に運転手の目を醒めさせる役目を持つ。
 かくしてこの男も必要に迫られこれを聞いていた。結局のところ運転の一番の敵は刺激の無さであり、これにより注意力は低下してしまう。逆に言うと、車内で刺激を感じられれば事故なく運転ができる。そういう考えのもと、男はカーラジオで怪談を聞いていた。

『これは、ある母親の悲しい話です。その人には一人の娘がおりまして、父も早くに亡くなり祖父や祖母も

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ラベンダー畑への道

 これは、ある母親の悲しい話です。その人には一人の娘がおりまして、父も早くに亡くなり祖父や祖母もおらず、なので娘にとって頼れるのはその母親だけ。となると母親は娘を大切に想い、大切に育てる訳なのですが、この娘は病気で亡くなってしまうのです。その悲しみは深く立ち直るのは出来ない程でしたが、母親はある事を思い付きます。それは娘は生前ラベンダーの花が好きだったので遺影を持って、車で遠方のラベンダーの花畑に

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山椒魚

 山椒魚は悲しんだ。彼は彼の棲家から外に出てみようとしたのであるが、頭が出口につかえて外に出ることができなかったのである。

 無理矢理出ていこうと試みれば、彼の頭は出口を塞ぐコルクの栓となるにすぎなかった。それはまる八か月の間に彼の身体が発育した証拠にこそなったが、彼を悲しませるには十分であった。

 「あぁ、なんということだ!」

 とは、言わない。彼は喋らない。彼は目を閉じたまま、じっとして

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インスタ映え (1分小説)

おかしいな。僕、女のコにまるで興味が湧かないんだけど。あんなに、毎日追いかけまわしてたのに。

徐々にではなく、ある日突然沸かなくなったんだ。

食欲や睡眠、五感は正常。

飼い主が、夜食でも食べてるんだろうか。ほのかに、インスタント食品『うどん どん兵衛』のいい匂いがしてきた。

「ミャー」

すね毛ボーボーの足に、まとわりついてみる。

「去勢しても、鳴き声はやっぱり変わらないんだな」

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無題 (書きかけ短編小説)

無題

ガッガガ
滑りの悪い戸を引くと、埃と古い木と土のにおいがした。
中は薄暗く、外から昼の光が足元に伸びている。戸を開けた際に少し吹き込んだ風に埃がキラキラと舞う。
外観は昔からある駄菓子屋という風貌だが中に菓子類は一切無く、代わりに棚にいくつもの瓶が置かれている。
私はゆっくりと中へ進んだ。革靴にスーツという格好で来たことを、場違いに感じた。狭い店内では自分は異質である。
消しゴムほどの小さ

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嬉しいです( ˙˘˙ )
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短編 涙

「外でも2人でゆっくり出来るところないかな。」
お互い実家暮らしの俺達は、基本は会う時は家と外の交互だった。
俺の家か、外でぶらぶらするか。
しかしたまに2人のくっつきたいが外で噛み合うとどうしたものかと2人で悩む時がある。

ホテル行ってみる?と軽く聞いたら、特別な日じゃないのに、そういうことにお金使うのはやめとこうと、彼女なりいい答えが返ってくる。

そしてふと思いついたのが、ネットカフェだっ

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スキを与えてくれるあなたはいい人です👍
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言えない言葉②

 『別に、良いんだけどさ』というフレーズがある。この言葉は表面上別に良いようにも聞こえるが大概は別に良くはない的な意味合いが含まれているのを、みんなは知っているだろうか。よく『怒らないから言ってごらん?』とか『行けたら行くわ』とか『昨日全然勉強してないわ〜』とかこの世には全く信用してはならない言葉があって、私はこの『別に、良いんだけどさ』もこのシリーズの中に含まれると思う。
 私も一人の社会人だ、

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