見出し画像

(短編)とある被膜論の死

わたしが被膜論の死を知ったのは、彼の死から大分経った或る夏の日の入相で、その死骸は厭らしい悪臭をまとい蛆と蠅が集っていた。被膜論のまっかなうすい耳は鼠の食欲によって半分失われていて、もう二度とわたしの声に応じてのびやかに空を向くこともなくなってしまった。被膜論の死骸は部屋の隅の暗がりに放り捨てられ、黒い闇のなかで腹から飛び出た内臓がてらてらと哀れっぽく発光していた。

  わたしは被膜論の有様を見た途端、頭がかっと熱くなって息が窒った。喘ぎ喘ぎ、わたしはいった。

「あなたが殺したのでしょう……」   

 わたしは部屋の中央で書き物をしている独歩者をねめつけた。独歩者はペン先でテーブルをたたきながら、ゆっくりと低い声で返した。

 「そうだよ……」

 心ここに非ずといった風だった。永い間、わたしは非難の沈黙を彼女に投げかけた。しかし、彼女を譴責することは無意味だということも内実理解していた。被膜論はひとりでに死んだ。それは、ただの不幸の一例にすぎなかった。独歩者は彼を今夜弔うつもりらしかった。  

 わたしは十九年前に生れたが、生きてはいなかった。わたしは死産児だった。売笑のひまひまに食事をとり、睡り、ラジオを聴いて暮した。何ものにも口ごたえせず、沈静な人生だった。わたしの人生の唯一の知人は独歩者のみで、そのほかの人間と親しみを持って会話した記憶は殆ど無かった。

 独歩者はさびれた裏路地の赤煉瓦の倉庫のようなところに一人で暮していた。倉庫のドアは分厚い金属製で、日中開かれることはなく、一見するとはす向かいの洋品店の物置場か、もしくはゴミ捨場と思われるほどだった。中は広く、木製のテーブルと蝋布張りのソファ、壁にかかった多くの悪趣味なネオンライトの他には何も無くがらんとしており、ネオンの光が届かない部屋の四隅は黒々と闇をたたえていて、鼠や害虫が絶えず這い回っている。独歩者はその倉庫でひねもす詩を書いて過ごしていた。その詩がうまいのかどうか、わたしには理解しがたかったし、いかにも売れ行きに華のない感じだった。しかし彼女は、さほど気に病んでもいないようだった。もしかしたら鉛槧のほかに遺産かなにかで食べていたのかもしれない。わたしは彼女のことを何も知らなかったし、知ろうとも思わなかった。そして彼女もわたしのことを知りたがらなかった。

  独歩者はいつもその倉庫にいたので、急な雨降りや用事が深更に及んだ時、わたしは倉庫に立ち寄った。彼女はわたしの来訪を鼠一匹迷い込んだような気軽さで迎え入れ、決して気を払うような真似は見せなかった。時折わたしがチーズとワインを買い込んで上がった際に、少しのあいだわたしを見澄まして、きゅっと口の端を上げるくらいのものだった。わたしは彼女を独歩者と呼んだ。彼女は文字通り社会の介助を必要としない独歩の人間だった。彼女は熱いお茶と少しの蜜、そして本さえあれば、ほかの慰みや娯楽は何もいらないのだ。それはもはや、寄せ付けないと呼べるほどに。

 わたしと彼女を結びつけたのは何といってもシェストフ的不安だった。わたしたちの間には拭いきれぬ一種の荒廃した悲壮感が常に漂っていた。彼女もまた社会の死産児だったのだ。    


 綿毛のようなぼた雪の降りしきる黄昏どき、わたしは凍えて毛の抜けた被膜論を拾った。雪けむりのなか、街灯の下で彼は息も絶え絶えに倒れていた。それはひどく飢えたみすぼらしい被膜論で、明日か明後日には必ず中絶するであろう生命の灯がわたしの心を打った。  

 家主の老婆は薄汚い被膜論を見るなり金切り声をあげてしりもちをついた。仕方なくわたしは、知り合ったばかりの独歩者のもとへ行き、ひと月に金貨十枚を渡す代わりに被膜論の世話を頼んだ。無論、彼女が甲斐甲斐しく彼を散歩へ連れ出したり、毛すきしてやることなど一塵も期待できなかったから、彼の場代として受け取らせたのである。

「見て!」とわたしは独歩者の注意をひくように大声をだした。「この子はきっと今に愛らしい雄犬になるよ」  

 皮膜論は最初、冷え冷えとした部屋の隅を悲しげに跛行するのみだった。わたしは毎日彼を散歩に連れて行き、ノミをとり、爪切りをした。独歩者はわたしと彼の姿を確かに見ていただろうが、なんの興味も持たなかったようだ。彼女は相も変わらず文芸誌に詩を送り、わずかな金を貰い、いつも深淵な表情をしていた。  

 そうしているうちに、自然とわたしは独歩者と親交を深めるようになった。彼女は多読家だったが本棚を持たなかったので、本を読み終えるとすぐさま焚火にして暖炉の代えとしていた。

 「あたしに読ませてちょうだいよ」

 独歩者が燐寸を擦ったところに居合わせたわたしは、彼女から本をもらうことにした。そうなると彼女も、読書の偏りを改めざるをえなくなった。それまで古典文学ばかり燃やしていたのを、美術書や哲学書、歴史書まで読むようになり、そののちにすべてわたしに与えた。文学者というのは元来人に与えるのを愉悦とする人種なのだろうとわたしは思った。  

 わたしはつらく陰鬱な冬のあいだ、客の途絶えたあいまのほとんどを独歩者の倉庫で暮らした。客をわずかしかとらないことで以前より貧窮したが、愛する友と、被膜論と過ごす冬はわたしに満ち足りた幸福を与えた。わたしは一冬、意地汚く貪欲な娼婦どもから離れて過ごすことの歓びを味わった。

 やがて春が訪れた。わたしは窓べりにカンパニュラを差した花瓶を置いた。爪先立ちするわたしの周りを被膜論がぐるぐると走り回った。彼の躰は、一冬のあいだに見違えるほどふくらみ、しなやかになった。独歩者は自分の詩を推敲しながら彼を一瞬見やり、独り言のように呟いた。 「幸福者だね、そいつは……」  

 改まったため息のこぼれるような穏やかな声に、わたしは一筋涙をこぼした。被膜論は彼女の声に応じて、彼女の足元を這った。彼と彼女は印象派の絵画のように柔らかな春の日差しに包まれていた。  

 夏のさかりにわたしは醜業をよして学校へ通うようになった。わたしの読書による習熟を見た独歩者の口添えで、街の学校に入学できることになったのだ。わたしはそこで西欧史を学ぶかたわら、すでに人気詩人として認知されつつあった独歩者に倣って詩作に励んだ。彼女には及ばずとも何作かが雑誌に載ることもあったし、評判も次第に上がっていった。しかしどれほど多忙になっても、週に一度は倉庫に寄り、彼の世話をした。彼は驚くほど毛並みの美しい一匹の雄になった。  

 そんな折りに被膜論は死んだ。独歩者は新作の詩集が大いに評判で、権 威ある賞をもらい、その日の午、祝賀会へ出かけた。サマーコートを羽織ったときに、開け放たれた扉から被膜論がとび出していくのが見え、それが被膜論の最期の姿だった。独歩者に付き合って何日も開かれない部屋で持て余していた彼の眼前に突如燦燦たる夏の空が広がったとき、彼の高揚はいかほどばかりだったか考えると、わたしはやるせない心持になる。彼は須臾に轍の前に倒れた。 御者は倉庫の前で立ち尽くしていた独歩者にいくらかを握らせてその場を去り、あとには痛ましい被膜論の屍が残るのみだった。独歩者は一しきり思案したうえで、わたしに彼の姿を見せまいと部屋の隅の暗がりに運び、パーティーのあと、拭暁に隣町の墓地へ向かうつもりだったと彼女は言った。

  わたしが今日のうちにここへ訪れることは彼女の予想から外れていたが、しかし彼女は狼狽えなかった。わたしはそれが癪に触った。彼女には一欠片の罪さえなかったが、わたしは誰かを罰さなければ苛立ちを抑えることができなかった。彼女は冷たい水晶の表情を浮かべていた。なにものにも困惑の気色を感じていない風だった。改めて彼女の真意が那辺にあるのか、微塵も忖度できない歯痒さが、わたしの肉体を爪先から頭までぞわぞわと襲った。つまりわたしは、彼女がわたしの登場に慌てふためいて膝をつき、被膜論の骨や内臓を掻き集めているみじめったらしい姿を、何より望んでいたのである。

  張りつめた空気のなかで、独歩者は煙草を取り出して喫んだ。烟の中で彼女の顔の輪郭がぼやけた。 わたしは手に抱えていたトランクケースから教科書を出して、被膜論を詰めた。何度も心臓や腸が溢れ出し、彼の血が部屋じゅうを汚した。彼の愛くるしい小さな顔は、見るも無惨な苦痛の表情に歪み、つややかな毛の多くは剥げ落ちていた。

「北極に行くわ……氷漬けにして彼を弔うの」

 その言葉は口から出まかせにすぎなかったが、わりあい悪い案でもないような気がした。とにかくわたしは彼をこの街の外へ連れ出してやりたかったし、夏の強烈な暑さのさなかで、北に向かいたいという本能には抗えなかった。それになにより、目の前の薄情な人間からすっかり離れてしまいたかった。独歩者は十分な資金と地図をわたしに託し、宿で睡るまえには必ず手紙を書いて寄越すように言いつけてわたしを送り出した。  

 わたしは列車を乗り継ぎ、いくつかの国をまたいで、多くの街を横切った。何編もの詩を綴りながら北へ向かった。もとよりみなしごで、根無し草のように生きてきたわたしにとって、長旅は苦痛ではなかった。どこで睡っても不安はなかった。  

 幾日か経ったころ、トランクケースからは吐き気を催すような悪臭が漂い始め、北欧にたどり着いたころには、宿泊を断られるまでに悪化していた。わたしはトランクケースに幾重にも袋を被せ、だましだまし遺体を運んだ。宿のない日には春をひさいでしのいだ。とにもかくにもわたしは夢中で、取り憑かれたように北極のオーロラの風景を夢見た。悪臭を放つ哀れな被膜論も、その神秘の下では一筋の星のように美しく輝くだろうと信じた。そしてまたわたしは、不浄な我が身の穢れさえも満天の空と極光がすすぎ流してくれるであろうという浅間しい考えを密かに抱いていた。  

 わたしは情交のあいま、部屋の隅に追いやられ絶えず不穏な臭いを撒き散らす被膜論と、北極の氷の溶ける速度に想いを寄せた。北極には、意地悪な歯抜けの老家主も、下卑た笑いを浮かべる娼婦どもも、妖しくネオンに照らされる冷血な詩人も居らず、わたしの肉体と死の現象だけが凍てついた薄青い空気に満たされているのだと想像するだにわたしの心は打ち震えた。 しばらくして、わたしはようやく北極圏の国に立ち入ることができた。その国は日没が早く、午すぎにはもう暗かったのではやめに宿に入り、独歩者に宛てて手紙を書いた。被膜論の入ったトランクケースは宿の外に置いて鍵をかけた。

  数日のあいだに、わたしは北極に入る手はずを整えた。わたしが目指したのは地球の最北端の小さな島で、そこにたどりつくためには船に乗る必要があった。わたしは宿の隣の酒場へ向かい、情報をかき集めた。そこでわたしは一人の青年と懇意になった。白皙で美貌の青年はカウンターでジンをあおっていて、はじめわたしの拙い言葉を嘲笑したが、次第に親身にあちこちへ連絡を取ってくれるようになった。わたしは彼が決して金を握らせないことに好感を持った。彼は新鮮で若々しかった。

  出発の日の夜あけ前、宿のボーイがわたしの部屋に上がりこんできていった。

「男性の方がお見えです」

  青年はすっかり服を着込み、丸々として熊のようだった。そして、わたしの寝床にゴム靴や帽子をくるんだものを並べはじめた。

「君はね、無防備だよ。夢のように生きていたって、凍死という現実は凶暴に襲いかかってくるんだ」  

 彼はわたしと接するたびに、わたしの無計画さ、非現実的で少女的な人生をわが身のように憂慮していた。わたしの肌着の生地の薄さにさえ嘆いた。彼はどうやらわたしと共に船に乗り込むつもりらしかった。  

 わたしは彼の持ってきた服を着込んだのち、顔を洗ってくるといって部屋を飛び出し、宿の裏に回り込んでトランクを持つとそのまま港へ向かった。トランクは数夜のうちにすっかり凍りつき、大きな氷のようになっていた。

 港へ向かうあいだ、わたしは何度も青年の顔を思い出した。彼のような親切で心優しい人間は、これからの生涯でもう二度と出会うことはないだろうと考え、とめどなく涙をこぼした。しかしこの旅は、やはり一人でなくてはならなかった。否、わたしは一生涯、凛然と一人きりでありたいと願っていたのである。凍てつく寒さが自然とわたしをたくましくさせた。  

 船には幾人かの旅行者と研究者、冒険者が乗り合わせていた。わたしはしばらく睡った。手に持っていたのはトランクのほかに、少しの貨幣と、ポケットに入っていたメルヴィルの『白鯨』だけだった。船はたいそう揺れ、嘔吐感は降りたあとも長くわたしにつきまとった。

 島に到着したあとのことは何も考えていなかった。どうにかなるだろうと思っていたし、島についた時点でわたしの人生はほとんど終わったようなものだと考えていなかったのである。

  しかし人生はなんの衝撃もなく平穏に続いた。島に降り立っても人生は終わることなく、悠然と時間は過ぎて行くのであると気づいたとき、わたしはどれほど狼狽えたことか。しかし、なんとか入相のうちに木賃宿を見つけて泊まることができた。その宿のなかは、いくら暖炉に薪をくべても震えがとまらぬ壮絶な寒気に覆われていた。わたしは肉薄する沈鬱なる死を感じた。気の狂うような恐怖だった。宿の窓からはフィヨルドが間近に見えた。

 わたしは無意識のうちに赤煉瓦の倉庫のことを思いだしていた。独歩者の淹れる紅茶の匂い、季節折々の花をさした陶器の花瓶のなめらかな白さ、大小さまざまのネオンライトと、蛇のように渦巻くケーブル、異国の詩集と実存主義の思想書が積み重なって軋む床……そして独歩者の落ち着きはらった横顔と、被膜論の高らかな鳴き声!わたしは生れてはじめて郷愁症を病んだ。わたしはあの倉庫に帰りたかった。今すぐにでも。  夜が明けた。わたしは目が覚めると、宿主の男に声をかけた。 「オーロラが見たいわ」 「そんなら、また一睡りするがいいよ」  オーロラは、空が暗くなり邪魔な光が消えうせたときに見えるものだと男はいった。わたしは睡れなかったので詩を書いた。被膜論のための詩だ。書き上げたら彼とともにトランクにしまいこもうと決めたが、寒さと興奮でうまく言葉が浮かばなかった。それから食堂でパンとコーヒーをとり、午下、トランクを持って宿を出た。

  島のほとんどは氷床と万年雪に覆われていた。わたしは気が遠くなるほど歩き、一つの大きな湖にたどりついた。なだらかな山々に囲まれた湖は表面はかたく氷結しており、無風のさなか、わたしは湖上に立ちつくした。透明な生れたてのような冷たい空気を吸い込むと、心が昂ぶるのを感じた。  

 わたしはトランクを降ろした。それから、湖のほとりの小山の斜面に腰を下ろし、しばらくじっとしていた。目を凝らすと遠くに氷帽が見えた。わたしが生れ、働き、苦しんでいるうちにも雪氷は堆積しつづけ、永久的にこの場所に根を張りつづけるのだと思うと、わたしは宇宙空間に漂っているような不安定な、それでいて荘厳な気持ちになった。

  やがて夜が訪れた。わたしは白銀がこぼれたコーヒーのようにじわじわと闇に染められていくさまを眺め続けた。暗黒に綺羅星がまたたいた。そしてわたしはトランクを開けた。それは独歩者の倉庫以来久々の被膜論との対面だった。

 水晶のねむりにおちた被膜論は一つの氷塊となり、永遠の隙間に入り込んで愛らしい仕草でわたしをいざなっていた。皮膜論。わたしはそのときはじめて、なにかに縋りつきたい思いに駆られた。それを人々が神と呼ぶのなら、わたしは神を信じたかった。わたしは声にならない叫声をあげた。神様! 神様!……  

 その刹那、極光がわたしの頭上ではためいた。翡翠色の神の仮象が、たちどころに宙にたれこめたのである。これは贖罪なのだとまたたく間にわたしは直感した。ただひたすら祈るような思いだった。それはよろめき、そしてまさしく、タンドレスだった。  

 わたしは視線を地におとし、荒々しく凍てついた湖面の一部分が溶解していることに気がついた。膝をついてその深淵を覗き込むと、やはり空の緞帳と同じように翡翠色をした液体が、神の血のごとく満ち満ちていた。これが目に見える唯一の幽世の門なのだと思うと、わたしの胸の鼓動は狂おしく高鳴った。わたしは死んでもよかった。死んでも構わないほどに熱狂し、忘我の境地に達していた。わたしは息をのみこみ、皮膜論をその血のなかに沈めた。彼は舌をだらりとたらした醜い死に顔をさらして、もの言わぬままに冥府に旅立った。わたしは全身の血が湧き立つような高揚感に身もだえた。その一瞬間、わたしはすべてを忘却した。歓喜と苦悩、過去と未来、天と地、真誠と虚誕、シニフィアンとシニフィエ、存在と変化、時間と空間、価値と無価値、霊と肉、罪と罰、美学と悪徳、亡びと興り、エロスとアガペー、連続と断絶、点と線、軌跡、終年。世界にはたった一人、わたしだけが存在していた。祝福を! 彼に祝福の拍手を。  


 わたしが街に戻ったとき、独歩者はすでに倉庫を売り払って別の街に越していた。だからわたしは、今もって彼女に久闊を叙する機会に恵まれていない。北極圏の島でわたしは彼女に最後の手紙を書いて送ったが、返信不要と記したせいで、彼女は律儀に返信を書かずにいるのだろう。  

 つい昨日、彼女の新作が近くの本屋にひさがれた。わたしはそれを二冊買い、一冊を娘に与え、もう一冊を自分の寝床へ持ちいって読んだ。詩の多くは従来の彼女らしい、古典を踏襲した晦渋な作品だったが、最後の一篇は、わたしの思い当たる節のあるものだった。それはしかし、かなり間接的ではあったものの、皮膜論への餞にちがいなかった。氷塊と化した美への鎮魂歌である。  

 わたしはあの旅のあと、街に戻って学校を卒業し、美術館に勤務したのちに作家として自立したが、今日に至るまで毎朝、起き抜けに彼女の詩を暗誦することを欠かしていない。(終)

(コメント 2024・2・24)
2015年に書いた短編小説です。タイトルを決めていなかったので、今、一秒で決めました。
職場で悶々としながら、上司の目をかいくぐってメモ帳で書いた覚えがあります。業務時間内いっぱいに使って難しい単語や北極の景色などを調べながら書いていました。当時は純文学に凝っていたのでそういう影響がよくわかるなあ、と若くて憂鬱だった日々を思い出します。
誰かに見てほしくてリアルの友人たちが見れるInstagramのアカウントにリンクを貼っていましたが、友人に小説好きがいなかったのであまり反応は得られませんでした。今思い返せば拙い作品なのであんまり見られなくてよかった気もします。
これを書いたあと、自分は純文学にそんなに興味がないことに気づき、ライトノベル的なキャラクター小説を書きたいと思うようになりました。
当時書きなぐった勢いを大事にしたいので改行含めて一切編集せずに載せます。(照)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?