大切なもの
分かってるんだよね。君に気づいた時から好きになったのは僕なのに。君は、僕の親友を好きになってしまった。あの日、苛められてる親友を助けなければ君は僕の友達を好きにならなかったのか。
二人が、付き合い出してから僕は二人と距離を置いた。
我慢してまで一緒にいられるほど僕は強くないから。
「…最近、元気ないけどどしたー?」
「……なんでもないよ」
「なんでもないことないじゃん!私たちのこと避けてるよ!」
「ほっといてくれ!」
「お前!」
君は、僕の言葉に呆気にとられ、親友は僕の胸倉を掴む。
二人は、心配してくれたけど僕は無視した。
僕は、それでも二人を無視。親友の手を乱暴に引き剥がすとその場を足早に立ち去った。
嫌われれば、いいとさえ思った。
そうしたらいつの間にかクラスでぼっちになっていた。
いつも、幼馴染みの君と親友の君といたからだ。
その内、苛められるようになった。教科書に落書きされたり上履き隠されたり。
二人を傷つけた罰なのかなと思った。いつからか、学校も行かなくなってふらふらするようになった。と言っても自然の多い公園をぶらつくくらいだ。苛めみたいな屑なことする奴等のせいで引きこもる必要はないから。
そしたら、そんなある日のこと。幼馴染みの君と親友が、クラスメイトの一人を連れてやって来た。そのクラスメイトは、僕が幼馴染みといるのが気に食わなかったから、僕を苛めたそうだ。
まあ、パッとしない僕がカーストの高い幼馴染みといたら妬まれるのは多いだろう。
クラスメイトのしたことは、どうでもいい。苛めしか出来ない奴に興味も湧かなかったから、一発グーパンして許してやった。
それよりも気になるのは、冷たくした僕を助けてくれたことだ。
その事を二人に話すと、二人は顔を見合わせてにっこりと笑いこう言った。
「そりゃ、幼馴染みだからね!」
「そりゃ、親友だからな!」
二人のまっすぐな気持ちを受け取り僕は自分のちっぽけさを知った。
贅沢だな。二人の大切な人がいるのに自分の弱さで逃げてしまって。
僕は、二人に謝って幼馴染みと友達に戻った。
君への気持ちはまだ、好きなままだけどこのままでいい。そう思った。時の流れで変わるかもしれないし。
おしまい
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