kanako
わたしの生き方。
短いお話。 #ショートショート
日々溢れ出てきた思考や言葉、気持ちを綴ります。
見たもの・聞いたもの・読んだもの
ハム太郎の飼い主・ロコちゃんは、毎晩日記をつけてから、ハム太郎にこう話しかける。 今日はとっても楽しかったね、明日はもーっと楽しくなるよね、ハム太郎! 小さい頃…
不幸は安全。 永遠に続く幸せなんてないでしょう。 幸せを手に入れた瞬間、 それが消えてしまったらって思うと、 怖くてたまらないから、 自ら掴んだそれを、自ら手を開…
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。 私たちはさまざまな感覚を持ち合わせていて、それを自由に用いることができる。 なんだか忙しない日々を過ごしていると、いかに多くの感…
「この世界から、きみが望むものを何かひとつだけ、消してあげよう。」 もしも神様がいて、そんなことを言われたら、わたしは何を望むだろうか。 *** 気に食わないこ…
どのように自分がその嘘をついていたのか、もう覚えていない。 私はすぐに泣く。 涙は簡単に流れるし、共感性が非常に高い部類だろうと感じる部分はとても多い。 しかし…
ある日視力が2.0まで回復してしまったら、 私はもう生きていられないかもしれない。 *** 目が悪いから、いつも眼鏡をかけている。 あるいはコンタクトをつけている。 …
言わなければ、丸く収まる。 私に目を向けられることはない。 他人と話をしていると、「それは違うでしょう」と言いたくなる自分が頻繁に現れる。 別に相手を貶めたいわ…
彼女のキーケースには、いくつもの鍵がぶら下がっている。 一つ目は彼女が住む家の鍵で、二つ目は彼女の実家の鍵で、三つ目は彼女の自転車の鍵で、それ以降を、僕は知らな…
物心がついたのはいつだったか。 正確には分からないが、「私」がスタートしたのは幼稚園生の頃だった。 大人になった今でさえ、日々たくさんのことを経験しては忘れる。 …
人間は忘れる生き物だ。 たとえば昨日の夜ご飯はなにを食べたか。 今朝、起きて最初に笑ったのはなぜだったか。 近いはずのことでも、簡単に忘れる。 一方で、人間は忘れ…
「あなたのことが好きで、私、夜も眠れません。」 「あなたのことを考えて、胸が苦しくなるんです。あなたは今、どこで何をしているのかなって。あなたは今、誰といるのか…
私は、さまざまな成分でできている。 住所。名前。職業。 全部私だけれど、どれも私の全てではない。 私を形作るものはいくつもあって、ひとつひとつの要素と出会い、時…
夏は苦手だ。 暑さで汗が止まらない。 セミの鳴き声で耳が痛い。 蚊に刺されたら痒さで平静を保てない。 満員電車のねっとりとした空気は苦痛。 どこに出かけるのも億劫。…
分かる、とはなんだ。 だれかにじぶんの気持ちを伝えたときに、分かる、と言われると違和感を覚える。 「わたしの気持ちはだれにも分からない。 わたしでさえ分からない…
涙は弱さの証だと思っていた。 -------------- 弱いから泣くんだ 弱いから我慢できないんだ 弱いから人に泣きつくんだ 私は絶対に泣かない。 -------------- 子どもの…
ずっと幸せになりたかった。 幸せが欲しかった。 幸せな人生を望んだ。 幸せそうに見られたいと願った。 幸せを望めば望むほど、私の元から幸せは遠ざかっていくようで。…
2020年9月30日 23:20
ハム太郎の飼い主・ロコちゃんは、毎晩日記をつけてから、ハム太郎にこう話しかける。今日はとっても楽しかったね、明日はもーっと楽しくなるよね、ハム太郎!小さい頃に何気なく見ていたアニメの台詞には、大切なものが隠されていたようで。私は定期的に、この台詞を真似して、自分に語りかけている。---------中学生の頃、階段の窓から、校外の道を歩く大人の姿をよく眺めていた。平日の昼間に
2020年7月1日 22:25
不幸は安全。永遠に続く幸せなんてないでしょう。幸せを手に入れた瞬間、それが消えてしまったらって思うと、怖くてたまらないから、自ら掴んだそれを、自ら手を開いて、そのまま落としてしまうのです。落としてしまえば、崩れて溶けて、生卵みたいにさ、元には戻らないって知ってるよ。高い位置であればあるほど、ぺシャリと潰れてしまうことも知ってる。だから私は永遠に不幸でいたいの。
2020年6月4日 12:10
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。私たちはさまざまな感覚を持ち合わせていて、それを自由に用いることができる。なんだか忙しない日々を過ごしていると、いかに多くの感覚を同時に使いこなせるか、なんてことばかり考えてしまう。視覚を使ってパソコンを見つめながら、聴覚を使って音楽を取り入れる。聴覚でラジオを楽しみながら、嗅覚を使ってお香を楽しむ。それらの中には、ほとんど無意識のうちに触覚も
2020年6月2日 22:33
「この世界から、きみが望むものを何かひとつだけ、消してあげよう。」もしも神様がいて、そんなことを言われたら、わたしは何を望むだろうか。***気に食わないこと。納得がいかないこと。理不尽なこと。苦手なこと。恐ろしいこと。生きていると、さまざまなものやひとに出会う。その殆どは、わたしにとってはどうでもいいことで、好きも嫌いもなく、ただわたしの中から、静かに緩やかに消えていく
2020年5月23日 00:37
どのように自分がその嘘をついていたのか、もう覚えていない。私はすぐに泣く。涙は簡単に流れるし、共感性が非常に高い部類だろうと感じる部分はとても多い。しかし私は、嘘を貫いてきた。私には、涙がないと。ーー何かを見て、感動すること。それらを全て抑え込んでいたのは、心の奥底で、溢れ出すそれを恐れていたのだろう。とは言っても、全てに感動するわけではない。当たり前だ。たとえ
2020年5月18日 17:04
ある日視力が2.0まで回復してしまったら、私はもう生きていられないかもしれない。***目が悪いから、いつも眼鏡をかけている。あるいはコンタクトをつけている。視力は0.1あるかないか、それくらいだ。眼鏡を外すと、視界は霞んで、うっすらと、ぼんやり、何がどこに行ったのか、手探りでしか物事は見えなくなる。外の世界では困ることだらけだ。信号は見えない。看板も見えない。待ち合わ
2020年5月18日 00:50
言わなければ、丸く収まる。私に目を向けられることはない。他人と話をしていると、「それは違うでしょう」と言いたくなる自分が頻繁に現れる。別に相手を貶めたいわけではないし、マウントを取りたいわけでもない。SNS上で知らない相手にぶつかることはない。どちらが正しいとか、間違っているとか、そういう話がしたいわけでもない。ただ、私はこう思う、と伝えたい。あなたの意見と私の意見、ここが
2020年5月13日 22:54
彼女のキーケースには、いくつもの鍵がぶら下がっている。一つ目は彼女が住む家の鍵で、二つ目は彼女の実家の鍵で、三つ目は彼女の自転車の鍵で、それ以降を、僕は知らない。「君はなぜそんなに沢山、鍵を持っているの」さりげないふりをした僕に、彼女は困ったような、笑ったような顔を見せる。「使ってみるといいわ」「どこで使えるのさ」「教えてあげる」---「これはね、幼い頃に、わたしと
2020年5月12日 15:02
物心がついたのはいつだったか。正確には分からないが、「私」がスタートしたのは幼稚園生の頃だった。大人になった今でさえ、日々たくさんのことを経験しては忘れる。古い記憶になればなるほど、忘れてしまったことも増えていく。ところが、まだ小さかった私の身に、あの日起きたこと、言われたこと、言ったこと、感じたこと、いつまでも鮮明に残りつづけている「あの日」も、ある。当時は言葉も知らないし、自分
2020年5月11日 23:14
人間は忘れる生き物だ。たとえば昨日の夜ご飯はなにを食べたか。今朝、起きて最初に笑ったのはなぜだったか。近いはずのことでも、簡単に忘れる。一方で、人間は忘れたいことほど忘れられない生き物だ。見えていたものを失って、手元に残るのは見たくないものばかり。見れば見るほど傷は抉られる。要らないのに。消したいのに。見たくない。消えない。消せない。消えて。消えろ。消えてください。
2020年5月8日 10:34
「あなたのことが好きで、私、夜も眠れません。」「あなたのことを考えて、胸が苦しくなるんです。あなたは今、どこで何をしているのかなって。あなたは今、誰といるのかなって。」君が好きなのは、私ではないよ。 君は、君が大好きなんだね。その、君が大好きな君を、輝かせる方法を、君だけの時をもって、見つけていけばいいじゃないか。そこに僕は必要ないはずだ。僕は、僕が大好きだ。だから孤独で
2020年5月6日 09:01
私は、さまざまな成分でできている。住所。名前。職業。全部私だけれど、どれも私の全てではない。私を形作るものはいくつもあって、ひとつひとつの要素と出会い、時間を重ね、共に経験をすることで、私が作られてきた。 何か一つでも違う成分が混ざっていたら、今の私は居ない。勇気を出して手を挙げたあの瞬間も、挙げようとした手を引っ込めたあの瞬間も。大切な人に出会ったあの日も、大切な人を失った
2020年5月5日 08:21
夏は苦手だ。暑さで汗が止まらない。セミの鳴き声で耳が痛い。蚊に刺されたら痒さで平静を保てない。満員電車のねっとりとした空気は苦痛。どこに出かけるのも億劫。わたしは冬が大好きなのに。なぜ今年もこんな暑さに晒されなければならんのだ。四季は要らない。三季が良い。でもわたし、夏と同じくらい、もしかしたらそれ以上に、夜が苦手だ。夜には魔物がすんでいて、わたしがわたしでなくなって
2020年4月28日 15:03
分かる、とはなんだ。だれかにじぶんの気持ちを伝えたときに、分かる、と言われると違和感を覚える。「わたしの気持ちはだれにも分からない。わたしでさえ分からないもの、他のひとに分かるものか。」わたしは、わたしの心を神聖なものだと思いたくて、何処にあるのかすら分からないその心とやらを、自分の心を、だれにも見つけてほしくないのだ。一方でわたしは、甚だしく情けないことに、だれかからの「分かる
2020年1月24日 22:15
涙は弱さの証だと思っていた。--------------弱いから泣くんだ弱いから我慢できないんだ弱いから人に泣きつくんだ私は絶対に泣かない。--------------子どもの頃の私は、簡単に泣いてはいけないと思っていた。悔し涙だけは我慢できなくて、何度か流したけれど。嬉しい時。悲しい時。苦しい時。誰かの前で泣いたことはほとんど記憶にない。-------
2020年1月12日 20:30
ずっと幸せになりたかった。幸せが欲しかった。幸せな人生を望んだ。幸せそうに見られたいと願った。幸せを望めば望むほど、私の元から幸せは遠ざかっていくようで。「私は世界で一番の不幸者だ。」無色無笑「悲劇のヒロイン気取られても。」そんな言葉を投げられたのはいつだったか。確かに私は悲劇のヒロインで、当時の状態を今振り返ってもさながら悲劇だったと思う。なりたくてなったわけでは