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この本いいよ!

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これまで私がnoteに投稿した読書感想記事をまとめたマガジンです。本選びの参考になればいいなと思います。
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#居場所

『君の青が、海にとけるまで』が素敵な話だったので紹介する

『君の青が、海にとけるまで』が素敵な話だったので紹介する

いぬじゅんさんの『君の青が、海にとけるまで』(角川文庫)という作品を読みました。

主に高校生たちの恋を描いたお話が多かったいぬじゅんさんの作品ですが、今作は社会人が主人公の居場所をテーマにした物語となっていて、これまでの作品とはひと味違う優しさを感じる内容でした。

念願の看護師になったものの、職場でのトラブルで心が病み、休職することになった胡麦。物語は休職中に胡麦がSESTAというカフェに訪れ

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最近読んで印象に残った小説まとめ!

最近読んで印象に残った小説まとめ!

しばらく小説の感想がお休み気味だったので、今回はここ最近読んで「いいな」と思った小説を一挙まとめて紹介します!

花火みたいな恋だった

(著者:小桜菜々さん)

今作は短編集となっていて、高校生から社会人まで複雑な恋に悩む女性たちの成長が描かれていました。青春小説らしいピュアな恋もあれば、ドロドロしたちょっと大人めの恋もあり、それぞれのエピソードが刺激的でした。

付き合って初めて気付いた「運命

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レトロな喫茶店好きにはたまらない小説を読みました。

レトロな喫茶店好きにはたまらない小説を読みました。

喫茶店が舞台の小説が好きです。喫茶店が印象的に描かれている小説って、実際にそのお店にいるようなゆったり感を味わえる物語が多く、ハズレも少ないジャンルでもあるなと個人的には思っています。そんな喫茶店が出てくる小説で、また新たなお気に入りに出会えたので1冊紹介します。

今回紹介するのは、椰月美智子さんの『純喫茶パオーン』という作品です。タイトルの「純喫茶」の文字で既に美しいです(笑)。主人公の成長に

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図書館で借りた喫茶店本:喫茶チェーン観察帖

図書館で借りた喫茶店本:喫茶チェーン観察帖

図書館で借りてきた『喫茶チェーン観察帖』という本を読みました!以前読んだ『喫茶の効用』の著者・飯塚めりさんの本です。

この本の大きな特徴は、各地にあるチェーンの喫茶店・カフェに注目した内容となっているところです。個人経営のお店を紹介した本は数多くありますが、チェーン店にこだわった本は初めて見たので読んでみました。

スタバ、タリーズ、ドトール、コメダと超有名どころから、この本で初めて知ったチェー

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そのバーは、お酒への「憧れ」を叶えてくれる(ゆきた志旗:『ミッドナイト・モクテル』)

そのバーは、お酒への「憧れ」を叶えてくれる(ゆきた志旗:『ミッドナイト・モクテル』)

今回の本は、ゆきた志旗さんのライト文芸作品『ミッドナイト・モクテル』(集英社オレンジ文庫)です。

ノンアルコールのカクテル「モクテル」をテーマにした作品というのがユニークで興味があり、読んでみました。「お酒」というと大人なイメージがありますが、今作は幅広い世代の読者が楽しめる物語となっていました。いろんなお酒に興味がある人、バーに憧れがある人にぜひおすすめしたい1冊です。

あらすじ感想主人公の

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第169回:気分に合わせた喫茶店選びもまた良きかな(飯塚めり:『喫茶の効用』)

第169回:気分に合わせた喫茶店選びもまた良きかな(飯塚めり:『喫茶の効用』)

こんにちは、あみのです!
今回の本は、飯塚めりさんの『喫茶の効用』というエッセイ本です。

先月「ヒガクレ荘」で喫茶店をテーマにした本の特集をやっていて、その中から選んだ1冊です。可愛いイラスト満載の喫茶店紹介本も面白そうと思って手にしてみました。

著者の飯塚さんは喫茶店マニア。飯塚さんがこれまでに訪れた喫茶店の中から、気分別におすすめのお店を思い出と共に紹介した本となっていました。

雨の日が

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第136回:「エモい」だけじゃないレトロな喫茶店の魅力(難波里奈:純喫茶コレクション)

第136回:「エモい」だけじゃないレトロな喫茶店の魅力(難波里奈:純喫茶コレクション)

こんにちは、あみのです!
今回の本は、難波里奈著『純喫茶コレクション』(河出文庫)という本です。小説以外の本をnoteで紹介するのは初めてかも?

私は喫茶店・カフェでゆっくり過ごす時間が大好きです。
全国チェーンのお店もよく行きますが、最近は個人経営のお店にもハマっています。中でも長年愛されているようなレトロな雰囲気の喫茶店には特に惹かれます。

外出も厳しい世の中ですし、各地の喫茶店へ行った気

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第129回:猫にも人間にもそれぞれに合った生き方がある。(ドリアン助川:新宿の猫)

第129回:猫にも人間にもそれぞれに合った生き方がある。(ドリアン助川:新宿の猫)

こんにちは、あみのです。
今回の本は、ドリアン助川さんの『新宿の猫』(ポプラ文庫)という作品です。私が今作を手にしたきっかけは、下記のような帯の言葉が心に刺さったからでした。

これは私の心の薬になる物語かもしれない。購入して読んでみるとその予感は大当たりでした。

今作には「生きづらさ」を抱えた人物がたくさん登場します。彼らの生きづらさを新宿の街で生きる猫たちと重ねたこの物語は、読んでポジティブ

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第128回:美味しい料理で、「心の傷」を癒す話(髙森美由紀:柊先生の小さなキッチン2)

第128回:美味しい料理で、「心の傷」を癒す話(髙森美由紀:柊先生の小さなキッチン2)

こんにちは、あみのです!
今回の本は、髙森美由紀さんのライト文芸作品『柊先生の小さなキッチン』の第2巻(集英社オレンジ文庫)です。(サブタイトルは「雨のち晴れの林檎コンポート」)

2巻は「家族」が大きなテーマとなっていて、読んでいていっぱい発見のある内容でした。中でも姉妹の関係を描いたエピソードでは、一人っ子の私にはわからない姉妹ならではの感覚を知れたのが新鮮でした。

笑いや感動、そして癒しで

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第101回:「好き」があるとやっぱり強いよね

第101回:「好き」があるとやっぱり強いよね

こんにちは、あみのです。
今回の本は、木爾チレンさんの『みんな蛍を殺したかった』という作品です。最近、本屋で見るたびに凄く気になっていた1冊です。

ひとりの美少女の死というダークな雰囲気と、「オタク」という今作を象徴するキーワードが印象的な物語。
3人のオタク女子とひとりの美少女が抱えるそれぞれの「秘密」は、今作最大の謎にどう関わってくるのでしょうか?痛々しい感情・シーンもありますが、一方で何か

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第99回:優しさと美味しい料理は心を救う

第99回:優しさと美味しい料理は心を救う

こんにちは、あみのです。
今回の本は、髙森美由紀さんのライト文芸作品『柊先生の小さなキッチン』(集英社オレンジ文庫)の第1巻です。前回は「芸術の秋」っぽい作品だったので、今回は「食欲の秋」っぽい作品を。

今作は様々な「生きづらさ」を抱える人々が、美味しい料理を通して救われていく物語です。シンプルなストーリーではありますが、読むと心がとても温かな気持ちになれます!柊先生の優しさにあなたも癒されてみ

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第71回:この世界は「秘密」でできている…かもしれない

第71回:この世界は「秘密」でできている…かもしれない

こんにちは、あみのです。今回の本は、櫻いいよさんのライト文芸作品『きみに「ただいま」を言わせて』(実業之日本社文庫GROW)です。

今作は少し変わった形の家族の「秘密」にまつわるお話。個人的にいいよさんというと少女漫画風味のラブコメや主人公の成長を描いた物語が多いイメージがありましたが、「家族」というテーマをいいよさんはどう描くのか関心を持ち、久々に作品を手にしてみました!

あらすじ(カバーよ

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第69回:これは人生のひとつの「区切り」の物語

第69回:これは人生のひとつの「区切り」の物語

こんにちは、あみのです。今回の本は、しめさばさんのライトノベル作品『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』の第5巻(角川スニーカー文庫)です。

noteを始める以前から読んでいた大好きなラノベシリーズのひとつ。今回が本編最終巻(ここ重要!)とのことで、吉田と沙優の物語が一旦終わってしまう寂しさもあれば、1巻に比べると2人がどう成長したのかという期待もしながら読み始めました。

そもそもこのシリーズ

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第52回:「家族」以外も充分な味方

第52回:「家族」以外も充分な味方

こんにちは、あみのです。今回の本は、汐見夏衛さんの『さよなら嘘つき人魚姫』という作品です。汐見さんの作品の感想をnoteにて書くのは、2冊目になります。

今作は、読んでいて辛い気持ちになってしまうシーンがあるかもしれません。だけど、大切なことを教えてくれる物語なのは確かです。

物語の主人公は高校生ですが、この作品に込められたメッセージはきっと幅広い世代の読み手の心を掴むと思います。

あらすじ

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