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エッセイ・コラム・ショートショート等々

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2023年4月の記事一覧

【エッセイ】官能と下ネタ〜笑福亭鶴光と菅田将暉のエロの違い〜

【エッセイ】官能と下ネタ〜笑福亭鶴光と菅田将暉のエロの違い〜

NHKのドラマで「生理おじさん」というパワーワードと出くわした。
ドラマの中で生理用品の会社に勤めている原田泰造さんが新商品の記者発表会でプレゼンをしていた。そこで世の中の女性の苦しみに寄り添いたいと熱く語るのだがその熱量がひょんな形でバズってしまい「生理おじさん」と呼ばれるようになった。

深夜の再放送でたまたま目にした「生理おじさん」だったが、自分には絶妙すぎるタイミングだったので偶然とはおそ

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【エッセイ】それは質問なのか尋問なのか

十年以上放置したまま結局紛失した銀行の通帳とカードをどうにかする為窓口へ行った。
十数年前、ATMで端数を残して引き出したのがその銀行との最後の関係だった(情事か)。

相性というか、なぜかその銀行に見切りをつけておさらばしたのだが、これからの仕事で使い分ける為の口座をもう一つ持っていてもいいかなと思いかつての口座を復活させるべく手続きしに訪ねたわけだが、復活ではなく新規で作り直す形になった。

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【エッセイ】詩とエッセイのねるとん紅鯨団(伝われ…)

『ココア共和国』(以下ココアと略します)という名の詩誌がある。
紙版と電子版があり、毎月28日発売するココアには100を超える詩が掲載されている。
今存在する詩誌でココアは一番アツく活気に満ちていて新しい挑戦をしていると個人的には思っている。
毎月投稿されてくる多くの詩を出来るだけ取りこぼしたくない編集者側の誠意が痛いくらい伝わる。
選考とはなんだろうかというそもそも論にまで意識が及んでしまう。

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【エッセイ】モロに答えよ。そして黙らせてみよ。

人間にもなれず山犬にもなりきれない哀れな娘。

「もののけ姫」のサンは、どちらにもなれない間(はざま)の存在だとモロは言う。

日本人は特に平均をとりたがる。普通は、普通は、と、よく口にする。
右でも左でもない間を好むのに、居心地がいいのに、サンは哀れだと見られる。

私がまだ子供だった頃、社会問題としてよく耳にしたりテレビなんかでも目に入ってきたのは「男女平等」という4文字だった。
(あと「住専

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放っておけない映画「四月物語」

放っておけない映画「四月物語」

You Tubeで映画「四月物語」全編を期間限定で公開していた。
DVDも持ってはいたが二度とない記念だと早速視聴してみた。
昨年も四月になるとTwitterで「四月物語」についてのツイートをしていた。
私は「四月物語」が大好きなのだ。
「四月物語」は岩井俊二監督の1998年の作品で当時私はまだ中学生だった。主演が松たか子さんと知って熱烈なファンだった私は(後に人生初のファンクラブに入会する)映画

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【エッセイ】嘲笑う4月

夏は暑い。
冬は寒い。

何を当たり前のこと言ってるんだと思われるほどの共通認識。
果たしてこの共通認識ってなんぼのもんなのだろう。
春と秋の季節の変わり目二大巨塔が、人ってそんな簡単に分けられるもんじゃないよと言ってるようだ。
って何言ってるんだろう。
変なこと言ってる自覚はある。
もう少し遠回しさせてください。
とにかく近年の季節感の無さに恐怖と戸惑いを隠しきれず順応性の低い私の体はあからさま

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【エッセイ】難しい話は任せた

出来の悪い子でも(或いは悪い子ほど)我が子が一番かわいいのはこの世の理。
そして昔から創作した作品を我が子に準え例えに使う。(私も多用している表現)
これらを踏まえるとみんな自分の作品が一番かわいいということになるはず。(私はどんなに拙くて不出来でも自分の詩や書籍がやっぱり愛しい)
なぜこんなことを思ったのかというと、批評のやり取りをSNSで目にしたから(してきたから)だ。

作品の好き嫌いは誰に

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【エッセイ】ホイミは使えないけど

いつの頃からか私はポーチを持ち歩くようになっていた。

そのポーチにははじめ絆創膏や胃薬くらいしか入っていなかった。
が、次第に薬の種類は増えていきアンメルツヨコヨコが仲間入りする頃にはポーチはパンパンになっていた。

もちろん薬を持ち歩いていたのは自分で使う為だった。
外出先で「もしも」何かあっても困らないようにと。だが、その「もしも」はありがたいことに「もしも」どまりで済んでいた。
出先で食べ

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【エッセイ】20代なんて大嫌いです

【エッセイ】20代なんて大嫌いです

「22歳なんて大嫌いです」

中森明菜さんが22歳の誕生日にそう答えたそうです。
『夜のヒットスタジオ』で「難破船」を歌う前に楽曲提供者の加藤登紀子さんとのトークでのこと。
明菜さんがテレビかなんかで言っていたのよと加藤さん。
20代のはがゆさや葛藤は後になってみて輝いて思えるものだとも。
うんうん、そうねそうねと司会の古舘伊知郎さんと芳村真理さんが頷きながら時間は過ぎていく。
そんな立ち話を明菜

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【エッセイ】浅い眠りで飛べない蝶

【エッセイ】浅い眠りで飛べない蝶

とある理由で眠りが浅かった時にみた夢はショッピングモールの吹き抜けのレストコーナーに座っていた私を呼ぶ懐かしい声の主を辺りを見回して探す場面だった。
二階の緩いアーチの通路で手すりに前のめりに体重をかけている四、五人の見慣れた顔ぶれ。

中学生の同級生たちだった。

みんなあの時のままの顔で、私の無意識で勝手な大人修正されていない思春期のあどけなさと芽生えはじめた精悍さも併せ持った青臭いままの顔が

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