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TABLO連載【加筆修正】

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ニュースサイト「TABLO」に連載をした過去記事に加筆修正をしてまとめています。
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2020年3月の記事一覧

ふっと意識が自分だけになる「自分スイッチ」

ふっと意識が自分だけになる「自分スイッチ」

ふっと意識が自分だけになる「自分スイッチ」思えば、小学校のころからそうでした。

「2組の転校生、なまってるけどかっこいいよね」「音楽の先生、すぐ怒るし、むかつかない?」「新しい文房具屋さん見つけたんだよ」

近所の女の子たちと、集団登校で盛り上がっている途中、なにげないことをきっかけに、たとえば道が日陰から日向になるとき、アスファルトがふっと明るくなったあの瞬間に、「自分スイッチ」のようなものが

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コンビニでなにを買えばいいかわからない日、自己否定でズタズタにする前に

コンビニでなにを買えばいいかわからない日、自己否定でズタズタにする前に

空腹でも、コンビニでなにを買えばいいかわからない日ファミリーマートの自動ドアが鳴らすメロディーを聞きながら、おにぎりの棚の前で動けなくなってしまいました。

おなかは空いているのですが、食べたいものがなにも思いつきません。

しかたなく、となりのサンドイッチの棚をながめて、デザートの棚でプリンを手にとり、無意識に裏面のカロリー表示を見ていることに気づき、「だからなんだって言うんだろうな」と棚に戻し

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教務室のテレビと地下鉄サリン事件。神さまは人間だったから、わたし、ギャルになる。

教務室のテレビと地下鉄サリン事件。神さまは人間だったから、わたし、ギャルになる。

先生たちが来なかった朝の地獄あの日、わたしはまだ子どもでした。

常々、神さまなんていない、と思っていたのでおなかが痛くなっても、「神さま、もう悪いことしませんからおなかの痛みをなおしてください」なんてトイレの中で祈ったことはありませんし、ティーン誌の後ろのページの星座占いなんて気にしたこともありませんでした。当時、クラスメイトがつけてたプロミスリング(手首につける紐のブレスレット、切れたら願いが

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都合がいい他人同士だからこそできること。酔っ払ったおじさんが忘れた『男はつらいよ』のこと

都合がいい他人同士だからこそできること。酔っ払ったおじさんが忘れた『男はつらいよ』のこと

わたしだけが覚えている、『男はつらいよ』「はい、今日はもうおしまい。この一杯で帰ってね」

小さな居酒屋さんで、店員さんから席を立たされたおじさんを前に、わたしは、「仕方ないなぁ」と焼き鳥の串を手にとりました。

そのおじさんはさっきまでわたしに、『男はつらいよ』の寅さんがいかにかっこいいかを熱心に説明していました。「寅さんは、ちょっと俺みたいなところがあるな」と笑うおじさん。わたしは寅さんシリー

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自分が世界から不在になりたかったころ

自分が世界から不在になりたかったころ

自分の不在を求めていた夏になると流れてくる、幼いころの夏休みの思い出や切なすぎる恋愛の歌を聴いてると、ぶわーっと風景や情景が浮かび、「ああ、この気持ち、懐かしい…エモい…」と思い出して泣きそうになるのですが、ふと考えてみると、それは全て実体験でもなければ実写でもなく、今まで見てきたアニメやマンガの風景だということに気がつき、愕然としました。

思えば、これまでわたしは、世界に対して自分の不在を求め

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同世代に会わないように、イトーヨーカドーの紳士服売り場のトイレの前の白いベンチに座っていたわたしへ

同世代に会わないように、イトーヨーカドーの紳士服売り場のトイレの前の白いベンチに座っていたわたしへ

定期的にくる「やばい! 取り残されている」という波絶対地雷だろうな、と思いながら買った新発売の缶ジュースを片手に、スマホアプリに、「20時 改札待ち合わせ」と書いてふと思いました。大人になると遊ぶ約束の時間が遅くなります。夕方から会う約束をすることが普通になったのは、何歳からだったか思い出せません。

定期的に、かつて『有名ネトア』(※ネットアイドル)と呼ばれたひとのブログを読みに行きます。そこに

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「前例がない」と自殺防止担当の保健所で門前払いされた雨降りの思い出

「前例がない」と自殺防止担当の保健所で門前払いされた雨降りの思い出

見る「ふり」もされなかった資料いわゆる、門前払いでした。

S区の自殺防止担当の保健所の前で、明らかに落胆したわたしを見て、付き添ってくれた区議会議員Aさんは、「まだまだこれから変わっていくはずです」と気遣ってくれました。

「区の後援をもらったほうがチラシを置いてもらえる場所が増えやすいので、保健所に相談に行きましょう」

自殺防止週間に関連したイベントに出演をすることになり、福祉関係者だけでは

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わたしはたぶん、ものすごくできが悪い。一瞬で意識が違うところに飛んでしまい、日常がうまくいかない話

わたしはたぶん、ものすごくできが悪い。一瞬で意識が違うところに飛んでしまい、日常がうまくいかない話

決めた場所に置く、こともできない左目にものもらいができたので、目薬を持ち歩いています。

出先で、いつも目薬を入れているポーチを探すと、入っていません。カバン中を探してもありません。家に置いて来ちゃったのかな、と帰宅後に部屋を探しても見つかりません。仕方がないので、明日また医者に行ってくるしかないか…と落ち込みながらお風呂にはいり、ベッドの布団をめくると、そこに目薬がありました。



おそらく

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人をおとしめても自分の位置はあがらない。給食の時間に「2センチの離島」にされた気持ちを一生覚えている。

人をおとしめても自分の位置はあがらない。給食の時間に「2センチの離島」にされた気持ちを一生覚えている。

悪意をもって人を傷つけることアメフトのタックル事件が問題になっています。
意図的に相手を傷つける動画がニュースで繰り返し放送されるたびに、仮面女子の猪狩ともかさん(湯島聖堂の看板が倒れ、腰の骨を折る大怪我をされました)のことを思い出して辛い気持ちになり、直視ができません。

監督が相手の選手を「つぶせ」「壊せ」と言ったとしたならば、どんな気持ちで言ったのでしょうか。選手はどんな気持ちでそれを聞き、

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半額のケーキを全部食べたり、嫌いな人のSNSを見すぎてアドレスを手打ちできたり、ひとりの部屋でしていることは愛おしい

半額のケーキを全部食べたり、嫌いな人のSNSを見すぎてアドレスを手打ちできたり、ひとりの部屋でしていることは愛おしい

わたしがひとりの部屋でしていること帰宅途中、駅ビルの有線で流れていたEXILEの曲がやけに耳に残って、なんて言っているのかわからない英単語の歌詞を、ひとりの部屋でうろ覚えで歌ってみたことはありますか。わたしはあります。

夕方のスーパーで半額になったケーキやシュークリームをたくさん買って、紅茶も入れずにひとりでこっそり食べたことはありますか。わたしはあります。



イオンで買った100円のシュ

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死ぬほど苦手な「二度目まして」。苦手な4月は自分のハードルをどんどん下げよう。

死ぬほど苦手な「二度目まして」。苦手な4月は自分のハードルをどんどん下げよう。

死ぬほど苦手な「二度目まして」昨日のわたしは、テキパキとお風呂に入れたから天才でした。

「入るぞ…」と決めてから30分以内にお風呂に入ることができたら、「よしよし、今日の自分は天才だぞ」と思うルールです。そんな風に、笑ってしまうくらい自分のハードルを下げて生活をしています。特に桜が咲くこの季節は。

春の全てが苦手です。

新学期、クラス替え、新社会人、部署の移動、転職、転勤、環境の変化…。ただ

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