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昭和53年産。腰痛持ち。

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昭和53年産。腰痛持ち。

記事一覧

急に増えたやん2024

 大阪の環状線に、鶴橋という駅がある。  JRの大阪環状線の輪っかの右らへん、近鉄電車が奈良の方からブスッと突き刺さってるところ。 「駅のホームに着いた瞬間に、焼き…

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3か月前
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29年目の117に寄せて

微睡みの中、家族に叩き起こされて、TVをつけて、黙祷する。 こんなに温かいところで、形だけの黙祷を捧げるなんて、なんと欺瞞に満ちあふれた「追悼」だろうか、と自問自…

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8か月前
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徘徊とドーナツ

4歳の次女を連れて近所のスーパーへ買い物行った帰り道、ハイキング帰りな感じの男性からすれ違いざまに声をかけられた。「向こうにいる、パジャマ姿の高齢男性が、ちょっ…

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10か月前
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集団への馴化が学校教育の目的なのか

年に何度か、「学校教育の目的は何か?」と学生さんたちに問う機会がある。 必ず出てくるし、むしろ結構な割合で出てくるのが「集団生活に慣れるため」という意見だ。「な…

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11か月前
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どこまでが人間らしさ?

ある授業で、マイナンバーやインボイス、スマホや顔認証、あるいは体内埋め込み型電子チップなど、個人の存在や活動を正確に捕捉する技術や仕組みが進むことと、AIの進化が…

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11か月前
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水道の授業

小学校4年生社会科、水道の授業を参観した。 冒頭、神戸市の水道使用量全体のうち、淀川方面から供給(購入)される水道水と、それ以外(市内水源)の水道水の総量を比較…

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1年前

命のつなぎ方

昨秋、小さな庭に、小さな大惨事が起きた。 それは干ばつ。もとい、水やり不足による水不足である。 仕事と家事育児に追われて、庭に出る暇が無い。2週間以上好天が続いた…

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1年前
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選ばれない大学?2023

3月になって、2023年度新入生向けの入学試験がひと通り終了した。あとは入学式を待つばかりである。大学業界全体についての見通しは、語るべき人が語り、論じたい人が論じ…

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1年前
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少子化と自己肯定感

 少子高齢化、というフレームワークを設定すると、国家レベルの人口構成とか、人口動態のマクロな視点が優先しがちなので、敢えて少子化という用語を使って、子どもを産み…

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1年前
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超人家族をやめよう

超人。 キン肉マンというより、ニーチェ的な、悟りを開いたような、マッチョな超人。 家庭も、仕事も。 家事も育児も趣味もキャリアも。全部できる超人。 今、子育てをし…

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1年前
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人が減らないために

家族主義と闘わねばならない。 子育て、教育、介護、納税。 この国は、家族の単位を基礎とし、親子きょうだいで支え合い、親子きょうだいのまとまりで納税や年金の仕組み…

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1年前
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つながる力を阻害するもの

『子どもの社会力』(門脇厚司、1999年、岩波書店)という本がある。 「社会力」とは、人と人がつながり、社会を築いていく力であるという。具体的には、チームで何かを達…

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1年前

他者からの評価と、自己肯定

実習生の、道徳の授業(小2)を見た。 自分のよいところに気づくことができる、という本時の目標が設定されていたその授業は、飛べないペンギンの話から始まる。 周りの…

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1年前
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子どもと生命科学

 ちょっと古い時代に流行った、古い世代のシステム論を、子どもの理解に応用した「子ども学」という枠組みがある。  素朴に説明すれば、子どもというシステムに、多様な…

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2年前

道徳の価値

小学校一年生、道徳の授業を参観した。 公共物は大切にしよう、という趣旨の教材を読み、子どもたちは、ルールは守らなければならない、と答えた。 途中、これまでに、ル…

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2年前

教育は不自由か

図工の研究授業を見た。 段ボールを自由に切って、切れ込みを入れて、組み合わせていく。自由な造形あそびとして構成された授業。子どもたちの創造性が自由に発揮される。…

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2年前
急に増えたやん2024

急に増えたやん2024

 大阪の環状線に、鶴橋という駅がある。
 JRの大阪環状線の輪っかの右らへん、近鉄電車が奈良の方からブスッと突き刺さってるところ。
「駅のホームに着いた瞬間に、焼き肉の匂いでいっぱい」で有名な鶴橋。(たぶん時間帯によります)

 鶴橋は大阪城の南。ひとつ隣の玉造という駅は、大昔に勾玉作ってた位の時代に由来する地名。玉造には、大阪夏の陣で作られた真田丸にちなんだ真田山がある。鶴橋にも、やはり万葉の時

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29年目の117に寄せて

29年目の117に寄せて

微睡みの中、家族に叩き起こされて、TVをつけて、黙祷する。
こんなに温かいところで、形だけの黙祷を捧げるなんて、なんと欺瞞に満ちあふれた「追悼」だろうか、と自問自答する。

もう少し元気に目が覚めた年は、たっぷり防寒をしてから近所の慰霊碑まで出向き、暗闇の中、誰が誰か分からない十数名の近隣住民の方々と共に、黙祷を捧げることもある。

日常空間において、過去の災害は、目に見えない。
29年前に、静岡

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徘徊とドーナツ

徘徊とドーナツ

4歳の次女を連れて近所のスーパーへ買い物行った帰り道、ハイキング帰りな感じの男性からすれ違いざまに声をかけられた。「向こうにいる、パジャマ姿の高齢男性が、ちょっと心配な感じなので気をつけて見てあげてほしい」と。

心配なら自分で見てあげてよ。。と思いつつ、件の高齢男性が縁石に座り込んだりしているので、とりあえず車道から離れたところに誘導して座ってもらう。明らかに認知がおぼつかない感じ。

胸ポケッ

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集団への馴化が学校教育の目的なのか

集団への馴化が学校教育の目的なのか

年に何度か、「学校教育の目的は何か?」と学生さんたちに問う機会がある。

必ず出てくるし、むしろ結構な割合で出てくるのが「集団生活に慣れるため」という意見だ。「なぜ集団生活に慣れないといけないのか?」とさらに問うと、「集団に合わせることができないと困るから」「将来必要だから」「周りも迷惑するから」と、慈愛に満ちた目で、自信を持って答えてくれる。

これが、全員ではないにしても、教職課程を経て教員免

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どこまでが人間らしさ?

どこまでが人間らしさ?

ある授業で、マイナンバーやインボイス、スマホや顔認証、あるいは体内埋め込み型電子チップなど、個人の存在や活動を正確に捕捉する技術や仕組みが進むことと、AIの進化が進むことで、さらにどんな社会的な変化が生まれていくだろうかということを話し合った。その中で、「人間が、人間らしくなくなってしまう」という声が出てきた。

とても優れた感性だと思ったので、「ならば、どこまでが人間らしくて、どこまでが人間らし

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水道の授業

水道の授業

小学校4年生社会科、水道の授業を参観した。

冒頭、神戸市の水道使用量全体のうち、淀川方面から供給(購入)される水道水と、それ以外(市内水源)の水道水の総量を比較した棒グラフが示された。グラフから分かることは何か。個人作業として分かったこと、気がついたことをノートに書き出して発表、板書。

市内で使われる水の多くが淀川水系から供給されていることを確認した上で、地図の読み取りに取り組む。副読本の地図

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命のつなぎ方

命のつなぎ方

昨秋、小さな庭に、小さな大惨事が起きた。
それは干ばつ。もとい、水やり不足による水不足である。

仕事と家事育児に追われて、庭に出る暇が無い。2週間以上好天が続いたはずだ。ようやく庭に出る時間を見つけて急いで鉢植えたちを見て回ると、どれもこれも干からびているように見えた。

地植えの草木は、炎天の乾燥続きであっても、地下深くを流れているであろう地下水のおかげで命脈を保っている。ところが、鉢植えの植

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選ばれない大学?2023

選ばれない大学?2023

3月になって、2023年度新入生向けの入学試験がひと通り終了した。あとは入学式を待つばかりである。大学業界全体についての見通しは、語るべき人が語り、論じたい人が論じたらよいが、勤務先の大学(中堅中規模女子大)の状況に限定して、現状と今後を考えてみたい。

まず私の所属する保育・教育系学科について。よくない。とてもよくない。定員割れした2022年度の1年生の人数から、さらに2割程度割り込む予定だ。

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少子化と自己肯定感

少子化と自己肯定感

 少子高齢化、というフレームワークを設定すると、国家レベルの人口構成とか、人口動態のマクロな視点が優先しがちなので、敢えて少子化という用語を使って、子どもを産み育てる人たちや、その営みの方に注目している。

 2022年の出生数が概ね確定して、80万人を割り込むとか、推定値より8年早いとか、異次元の少子化対策が云々とか、そういうワードが画面や紙面を泳いでいるが、相変わらず当事者そっちのけの感がある

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超人家族をやめよう

超人家族をやめよう

超人。
キン肉マンというより、ニーチェ的な、悟りを開いたような、マッチョな超人。
家庭も、仕事も。
家事も育児も趣味もキャリアも。全部できる超人。

今、子育てをしている人たちは、みんな超人。超人の家族。
若者たちにはそう見えるのではないか。

仕事きつい。育児しんどい。
パワハラ、マタハラ、パタハラ。
低賃金長時間労働。
孤立無援の育児。
男女平等。
お父さんも育児がんばる、お母さんも仕事がんば

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人が減らないために

人が減らないために

家族主義と闘わねばならない。

子育て、教育、介護、納税。
この国は、家族の単位を基礎とし、親子きょうだいで支え合い、親子きょうだいのまとまりで納税や年金の仕組みを整えてきた。家族が前提。扶養手当、子ども手当、扶養控除、養育の義務、教育の義務。

親が子を育てるのは当然。子どもを「真っ当」に育てられないなら、親になる資格はない。つまり、金がなければ、時間と労力を子どもに割くことができなければ、親失

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つながる力を阻害するもの

つながる力を阻害するもの

『子どもの社会力』(門脇厚司、1999年、岩波書店)という本がある。

「社会力」とは、人と人がつながり、社会を築いていく力であるという。具体的には、チームで何かを達成したり、課題を解決したりする力のことのようだ。あるいは、社会の諸課題に取り組み、解決する力がイメージされる。

その「社会力」の習得、あるいは向上を阻害する要因が様々にあるという。

少子化→家族、近隣、学校園等で接する人間の数が減

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他者からの評価と、自己肯定

実習生の、道徳の授業(小2)を見た。

自分のよいところに気づくことができる、という本時の目標が設定されていたその授業は、飛べないペンギンの話から始まる。

周りのみんなが飛べるのに、自分だけ飛べない。自己肯定感はダダ下がり。そんなとき、ダチョウが叫んだ。「僕も飛べないけど、走るのは早いよ!」その一言で、ペンギンも気づいた。「僕は飛べないけど、泳ぐのは得意だ!」。ペンギンは大きな声で叫んだ。

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子どもと生命科学

子どもと生命科学

 ちょっと古い時代に流行った、古い世代のシステム論を、子どもの理解に応用した「子ども学」という枠組みがある。

 素朴に説明すれば、子どもというシステムに、多様な情報、あるいはプログラムを与えていくことで、子どもが成長していく、というイメージ。医学やら教育やら、保育や福祉やメディアや政治や文化や経済や、いろいろな刺激が子どもというシステムにインプットされた結果、何らかの成長や変化が起こる、という展

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道徳の価値

道徳の価値

小学校一年生、道徳の授業を参観した。
公共物は大切にしよう、という趣旨の教材を読み、子どもたちは、ルールは守らなければならない、と答えた。

途中、これまでに、ルールを守れなかったこと、あったかな?と問いかけると、何人かの子どもたちは、懺悔的な口調で「こういうことをしてしまったことがある。」と述べた。

道徳で扱う価値規範が、私たちの社会にとって重要であるにもかかわらず、道徳の授業は妙な難しさがあ

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教育は不自由か

教育は不自由か

図工の研究授業を見た。

段ボールを自由に切って、切れ込みを入れて、組み合わせていく。自由な造形あそびとして構成された授業。子どもたちの創造性が自由に発揮される。目をかいたパーツを作って差し込んでみたり、段ボールを折り曲げて強度を出したり、シンメトリーにバランスを取ってタワー状にしてみたりと、さまざまな創意工夫が溢れ出す。授業者の意図したところだろう。

2時間続きの図工の授業、後半になって、手が

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