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水道の授業

小学校4年生社会科、水道の授業を参観した。

冒頭、神戸市の水道使用量全体のうち、淀川方面から供給(購入)される水道水と、それ以外(市内水源)の水道水の総量を比較した棒グラフが示された。グラフから分かることは何か。個人作業として分かったこと、気がついたことをノートに書き出して発表、板書。

市内で使われる水の多くが淀川水系から供給されていることを確認した上で、地図の読み取りに取り組む。副読本の地図や地図帳からは、市内水源が少なく、淀川水系からは多く取水されていることを読み取ることができる。さらに、上流に巨大な琵琶湖があることも確認できた。

先生は改めて問うた。「なぜわざわざ淀川の水を買うのか」と。子どもたちは、グラフや地図から読み取った結果をふまえて、「淀川は大きい。琵琶湖もある。市内水源は少ない。だから買わないといけない」と理解を深めた。

とても一般的な展開だと思うし、悪くないと思う。「市内水源が少ないので淀川の水をたくさん買わなければならない(→単元のまとめとして、水を大事に使おう、という学習課題にもつながる)」という実態は、既に冒頭にグラフとして提示されているので、これは「事実の理由を探る」タイプの授業として位置づけることができそうだ。欲を言えば、市内は水源が少ない、淀川は大きい、という主観的な理解に留まってしまうリスクがあるので、冒頭の使用水量のデータと、調べた結果を名確認関連づけながらまとめをさせるべきだった点だろうか。

この授業を見ながら、ほぼ同じような教材を使って、異なる展開を考えてみた。教材提示の順序を入れ替えて、少しだけ別の情報を追加することで、より大きな意欲と深い理解を得られる授業の例として以下に提示してみる。

①1人あたりの水道使用量(既習事項)をふまえて、神戸市内で必要な水道水の総量を計算してみる。
②神戸市内で供給できる水道の総量を提示する。(全然足りない!と認識させる)
③「足りないけど、どうしたらいい?」と問う。(追究意欲の高まり)→「どこか別のところから水を運んでくる必要がある」と認識させる。
④校区内にある橋の脇に見える水道管の写真を見せて、「これは淀川までつながっています」と伝える。
⑤淀川水系にある取水施設や琵琶湖の存在を地図から読み取らせ、神戸市内には大きな河川がないことと対比させる。
⑥淀川水系から買っている水の量と、神戸市内でまかなえる水の量を比較したグラフを提示して、「なぜ淀川の水を買わなければならないのか」について、ペアで話し合った上で、今日の授業のまとめをノートに書く。


社会科の授業の面白さと難しさを堪能することができた参観だった。


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