マガジンのカバー画像

いけぼうの写真を使って下さったクリエイター様のnote集

350
みんなのフォトギャラリーから【いけぼう】の写真を選んでくれたクリエイター様のnoteまとめ。数多くの写真から選んでくれてありがとうございます😆みんなで楽しくいきましょう。
運営しているクリエイター

#小説

【ショートショート】別館五〇七号室

【ショートショート】別館五〇七号室

 ひさしぶりに温泉にやってきた。
 泊まっているのは巨大な温泉旅館だ。
 本館があり、別館があり、新館があり、離れとしていくつかのコテージがある。
 私は別館の五〇七号室に案内された。
 一言でいえば、「案内された」だが、本館のロビーからここまでたどり着くのは大事であった。仲居さんはあちこちで廊下を曲がる。エレベーターで六階まで行ったかと思うと、渡り廊下を通って別の建物に入り、また二階まで行って、

もっとみる
最後のデートはメロン味

最後のデートはメロン味

最後のデート
どこへ行きたい?

そう聞かれて
心に残る場所なんてあったかしらと
考えてみたら

ふたりの思い出の風景って
この世に存在していない世界だったことに
気づいた

桜が見たくて
お世話になっている
法多山尊永寺へ

今年の初詣は
ふたりで行けてなかったから

もう、花は散り始め
新しい葉が顔を覗かせていた

今のふたりには
かえってちょうど良かったね

手を合わせてお参りをしても
願い

もっとみる
神の社会実験・第29章

神の社会実験・第29章

「成程。」

そういって僕は、ビールを二つ注文した。大将にもご一緒してもらおうと思ったけど、それは辞退された。プルーは喋り疲れてのどが渇いたのか、一息にジョッキの半分ほどを飲み干してため息をついた。その艶めかしい上唇についた泡だけはナプキンで上品にふき取って。お淑やかなのか、じゃじゃ馬なのか。子供っぽいのか、セクシーなのか。つくづく一貫性のない女性だな。それにしてもうまいビールだ。きりっと冷えてい

もっとみる
黒衣のメシテロリスト

黒衣のメシテロリスト

「カチコミだウマーッ!?」

 深枡組の極道者が、組長室になだれ込みざまに絶叫と共に倒れる。口にはねじ込まれたドーナッツが。極道者達は異変にチャカやドスを抜き、闖入者に襲いかかる!

「ブッコロ美味い!」
「ナメテンじゃウメェエエ!」
「死にさらウマすぎ!」

 戦叫と共に襲いかかった極道者達は、次々に寿司、ハンバーガー、マカロンをねじ込まれ美味失神!極道者全滅!怯む深枡組組長、多々丘!笑う黒衣の

もっとみる
思い出すコトとか。 第67回

思い出すコトとか。 第67回

note継続、早くもくじけそうです!
本当なら映画を見にいったりしたいのですが、今日もひたすら本を読んでいました。
今日読んでいたのは「機龍警察[完全版]」(著者:月村了衛)でした。

私はあまり再読をしないのですが、シリーズものだと登場人物が魅力的なことが多いので、また読み返したくなります。

シリーズものの小説として、私が特に読み返したくなるのが、「GOSICK」(著者:桜庭一樹)と「陰陽師

もっとみる
【小説】くの一が如く(11)

【小説】くの一が如く(11)

第11話 名監督の助言

←10話                           12話→

 陽菜と七海が米国に行っている間、さくらは大学の勉強や実習に追われていた。課程を修了することで、保育士の資格が取れるからだ。大事な時期だった為、アメリカには行きたかったが、二人に譲ったのだった。

 さくらは陸上の練習は1日も休まず、それでいて大学の講義も課題もこなし、無事に保育士の資格を取ることが

もっとみる
雪山に紡ぐセーター2

雪山に紡ぐセーター2

「伊織ちゃん、セーターとニットの違いわかる?」

彼は、まるで、この世の全てを知っているかのような顔で問いかけてくる。

「セーターは、糸がチクチクする太めの毛糸で作った服。ニットはもうちょっと糸が細くて薄くて、ちょっとすけたりするやつ。」

これが自分の答えだった。彼は、僕の答えを聞いて「そう思うよなー」と。
まるで、この世の全てを理解しているかのような顔でうなずいていた。

ほんで答えはなんや

もっとみる
おわっ

おわっ



ジャンル別だけでなく日間総合でもえらいことになってた。https://ncode.syosetu.com/n0399gy/

短編小説 居酒屋にて【BL】15年後の同窓会 その9

短編小説 居酒屋にて【BL】15年後の同窓会 その9

これまでの話は、こちらのマガジンにまとめてあります。

***

憲司が「たから」に到着すると、加奈子はカウンター席に座っていた。
前回と違い、膝上丈のタイトスカートを身に着けている。
スカートからのぞく白い脚が、どことなくなまめかしい。

「よっ」

軽く声をかけ、憲司は加奈子の隣に座る。

「遅かったなぁ。待ってたのに」

加奈子は、すでに生ビールを飲んでいるらしい。
カウンターテーブルには、

もっとみる
とりあえず

とりあえず

軽薄な男だとは思っていた。

飲みの席であんな事を言われていなければ、もう二度と思い出すことはなかったはずだ。

「とりあえず付き合ってみる?」

私は答えを保留したまま店を出た。

帰り道、とりあえずという言葉の意味を調べた。

【急いで、間に合わせの処置として。まずさしあたって。一応】

なるほど。最後に添えられた類語の一応という言葉が一番しっくりくる。

一応で物にできる女だと思われたのかと

もっとみる
ベテラン作家の新シリーズ

ベテラン作家の新シリーズ



もう数冊刊行されていますから、新シリーズではないのですけどね。

2010年1月26日に投稿したブログより。

骨太の警官小説ばかりを描いてきた大御所作家が、今度は逆に犯罪者を弁護する立場として刑事弁護士を主人公に据えたスリリングなシリーズを始めました。

こういう仕事ものというのは、読んでいても仕事をしている気が消えないから、気分転換にあまりならないものの、ハラハラドキドキはたっぷりと味わえ

もっとみる
書き始めた理由

書き始めた理由

改めまして、ノムノムです。もちろん本名ではありません。アメリカ東海岸に15年ほど居ります。ふわりふわりと仕事をして、連休になればどこか行ったり読書三昧をしたり、ぽわんと生きていました。

それが変わったのは2020年のコロナ禍。 いまだその呼び方にも慣れない、目に見えない小さな敵はそれほど人との付き合いもない私の生活ももれなく変えていきました。私の職場は小さいながらも仲が良く、雑談で一日終わったこ

もっとみる
加湿器の蒸気が上がり過ぎた。

加湿器の蒸気が上がり過ぎた。

 さっき、調節。今、シクレスト。10分間、口の中で溶かして、歯磨き。統合失調症治療薬で、進んだ薬。加湿器は、蒸気が弱いぐらいで良い。ボクが買ったのは、強すぎる。調整して、適当に加湿。再度、note更新です。ではまた。

「夢を叶えるっていうことは、諦めるものを増やしていくことかもしれない」の話

「夢を叶えるっていうことは、諦めるものを増やしていくことかもしれない」の話

 老人とほとんど同時にチーズに手を出して、私はあわてて手を引っ込める。
「あっ、すみません」
「いやいや、気にしないで好きに手を出して」
 老人はチーズを口に入れてから、片手で私にチーズを取るように促した。私は遠慮なく薄く切られたチーズをつまんで口に入れる。ミルクの濃厚な味を感じる気がするけど、私は味覚が敏感なほうじゃないので気のせいかもしれない。

「年を取って振り返ってみると、愛することがたく

もっとみる