点滅とかぎあな【創作大賞 恋愛小説部門 短編】
知らない男とのセックスの後は喉が渇いてしかたがない。十代半ばに覚えた気晴らしはいつしか労働に代わっていて、生活のための金銭になった。たったいまも初対面の男に抱かれている間、男が吐きだす臭気を感じないようにできるだけ口から酸素を補給している。キスのときだけはしかたがないけれど、してしまいさえすればもう気にならなくなっていた。
ひどい作り笑顔で客を見送ったあと、今日何度目かのマウスウォッシュを口に含む。刺激の少ないものを選んでいてもこう何度もとなると口の中に嫌な感触が残ったま