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夕遊の映画座

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2023年1月の記事一覧

「THE FIRST SLAM DUNK」は一瞬の永遠と慟哭を描く

「THE FIRST SLAM DUNK」は一瞬の永遠と慟哭を描く

週刊少年ジャンプの『友情・努力・勝利』だけでは、どうやらどうにもならないことがあると知ったのは、大人になってからだ。

苦境から一歩を進むために、わたしがひとつ足すとすれば『時間』である。

映画『THE FIRST SLAM DUNK』に、緻密な『時間』の物語をみた。

原作・脚本・監督の井上雄彦さんは『時間』を表現する境地にたどりついた漫画家だ。人間の本質を描こうとするほど『時間』の表現が自然

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大好きな漫画家さんの作品が映画化。『金の国 水の国』2023年。

大好きな漫画家さんの作品が映画化。『金の国 水の国』2023年。

いやもう、公開すぐに家族で行ってしまいました。岩本ナオさんは、『町でうわさの天狗の子』から『雨無村役場産業課兼観光係』、そして初期の作品から今連載中の『マロニエ王国の七人の騎士』まで全部読んじゃうほど、家族でみんな大好きですから。

でも、今回の映画化では「最高純度のやさしさ」とか「号泣」みたいなキャッチコピーが踊っていて、「あれ?岩本さんの作品って独特な色があって、そういう万人受けの感じじゃない

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かわいすぎるロボットのハートフルな冒険映画『ウォーリー』アメリカ、2008年

かわいすぎるロボットのハートフルな冒険映画『ウォーリー』アメリカ、2008年

ものすごく有名なので、名前だけは知っていた映画です。見るのは初めて。小学生になったばかりの娘も、予告編は見たことだけはあるというので、家族そろって見ました。で、見始めたら、かわいくておもしろくて、とまりません。あっという間に引き込まれましたた。

舞台は西暦2805年。人類は、汚染しつくされた地球を捨てて、全ての企業を統合した巨大企業の主導で、宇宙船アクシオムで生活しています。ゴミの星になったした

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韓国の民主化をエンタメにした映画。『1987、ある闘いの真実』韓国、2017年。

韓国の民主化をエンタメにした映画。『1987、ある闘いの真実』韓国、2017年。

仕事が一息つけたので、脳みそのリフレッシュに夫と映画デート。『タクシー運転手』に続き、韓国の民主化運動を描いた作品です。

今回は、誰かヒーローがいるのではなく、検察や新聞記者、監獄の看守など一人ひとりが、「ちゃんと仕事をした」ことで民主化につながるという群像劇。法律を守る。理不尽な命令には従わない。こんな当たり前のことが、独裁政権下では難しく、だからこそ、かっこいいです。

そして、その映画が実

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祝!ミシェル・ヨー(楊紫瓊)第80回ゴールデン・グローブ賞

祝!ミシェル・ヨー(楊紫瓊)第80回ゴールデン・グローブ賞

アジアのステキなお姉さまが、ハリウッドで評価されるのはうれしいです。一昨年のクロエ・ジャオ監督は若いですが、ミシェル・ヨーは大ベテランですから。

ミシェル・ヨーは、マレーシア華僑出身でミスマレーシア。香港のサモ・ハン・キンポーに見出されて女優デビュー。ということで、先日みた『カンフースタントマン』を思い出しつつも、やはり日本ではアジア系初のボンドガールになったことが一番注目されたのでは?

個人

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黄金時代を支えたスタントマンたち。ドキュメンタリー映画『カンフースタントマン 龍虎武師』香港・中国、2021年

黄金時代を支えたスタントマンたち。ドキュメンタリー映画『カンフースタントマン 龍虎武師』香港・中国、2021年

お正月そうそう、見なければいけない映画がもりだくさんでうれしい悲鳴。私はコアなアクション映画ファンではないですが、香港が好きなので、香港映画の代名詞のようなアクション映画を支えたスタントマンたちのドキュメンタリーは、そのまま香港映画史の一段面。見逃せません。

中国大陸に中華人民共和国ができたとき、伝統芸能の京劇で活躍した人々は香港に逃げてきました。娯楽も全て、人民や革命に奉仕するものでないといけ

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飛行機がしばらく怖くなりそう。映画『非常宣言』韓国、2022年。

飛行機がしばらく怖くなりそう。映画『非常宣言』韓国、2022年。

ソン・ガンホとイ・ビョンホンの共演なら、韓国映画好きorアジア映画好きは絶対見ないといけません。たとえ、苦手系なパニック映画でも。『JSA』の共演から22年(!?)4度め。心は躍ります。

ストーリーは単純。ハイジャック映画です。そこにバイオテロが加わり、ダイヤモンド・プリンセス号みたいな状況に。でもこの映画、コロナで撮影が中断していますので、コロナを経験してから脚本が考えられたわけじゃないところ

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音楽がつなぐ、人との出会い。映画『ONCE ダブリンの街角で』アイルランド、2006年

音楽がつなぐ、人との出会い。映画『ONCE ダブリンの街角で』アイルランド、2006年

『はじまりのうた』がよかったので、同じジョン・カーニー監督の他の作品も見てみました。やっぱり音楽への愛情たっぷりで、どの曲も素敵。そして、登場人物たちがみんな音楽を愛してるところもすごくいいです。

この映画『ONCE』は、アイルランドの音楽映画。アイルランドの首都ダブリンを舞台に、ストリートミュージシャンだった30才の地元の男性と、チェコ系移民で花を売って暮らしている女性が、音楽を通して心を通わ

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