記事一覧
3杯目のクラフトビール
「遅刻は、相手の時間を盗んでいるとの同じだから」
あのとき先輩に言われた言葉が、僕を覚醒させたのだ。
ビリヤードのように真ん中の白い玉を完璧に捉えたのだ。
そして全てのカラフルな玉たちは穴の中に真っ直ぐ落ちて行った。
僕は泥棒になりたくなかった。
ルパン三世も五右衛門も好きだけど、泥棒にはなりたくない。
そして盗まれるのはもっと嫌だ。
自分の何かを盗んだ奴は、徹底的に懲らしめなければ気が済まな
大型書店のレジ打ち女
本屋の女の子に恋をした。
街角にある小さな本屋なら童話っぽくなるのだろうけど、
今回の恋の対象は、大型書店でレジ打ちをしている女の子なのだ。
その子は白いシャツに緑のエプロンをつけて、次々の本を買う客のレジ打ちを対応していた。後ろはポニーテールにして、白い肌。黒縁のメガネが大きな瞳を強調している。
話したこともない。ただ、レジ打ちの所作が綺麗だった。
それだけで、どうしようもなく心が惹かれていた
昼下がりのバレンタインデー
あるサイトで魅惑的な女性と知り合った。
今日初めて、その女性の家に行った。
彼女はチョコをくれた。
「少し遅いバレンタインデーよ」と言った。
茶色い長方形の箱の中には、チョコがかかったオレンジが慎ましく納められている。
ひと口食べると、それがとても高級なものだと分かる。僕は夢中になってチョコを食べる。
半分ほど食べたところで、体が熱くなってくる。いや、カラダの一部だけが熱を帯び始める。そこは
こんなパンケーキなら自分で作れる
冬の寒空の下、私は新宿の靖国通りを歩いていた。先ほど言われた言葉を背負いながら。
「あなたの絵にはもう一つ何かが足りない。心に訴えてこないのよね。技術もしっかりしてるし配色も構図にも文句の付けようがない。だけど、絵はそれだけじゃないから」
そのもう一つ何かはどうすれば見つけられますか?
「もっと細かいことに目を配る必要があるわね」
重さも形もないそれだけの言葉が、私にはずっしりと重かった。