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蛸文(たこふみ)の読書記録

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僕の読書記録です。月に3〜4冊ぐらいのペースで更新してます。
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#心理学

【武器になる哲学】哲学の実用書

【武器になる哲学】哲学の実用書

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜哲学って役に立つの?〜哲学、といえばとっつきにくい難しいイメージや「何をそんなことを真剣に考えてるんだ」というイメージなど、おおよそ実社会で役に立ちそうなイメージを持たれていない。

しかし、著者の山口周さんによると、そのイメージは日本だけであり、欧米では哲学は学生の必修科目となっており、社会を作るためには欠かせない教養であると認識されている。

なぜ、日本で

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【HSPブームの功罪を問う】HSPとは何か?を今一度理解する

【HSPブームの功罪を問う】HSPとは何か?を今一度理解する

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

はじめにお伝えしたいのは、本書はHSPそのものやHSP自認者を否定するものではない。
そして、僕が書く以下の記事もそのような意図は無い。
もし、以下の記事を読んでそのような印象を持ってしまったのであれば、僕の拙文に原因があるのだとご理解いただきたい。

〜僕は繊細さん?〜僕自身、割と細かいことに気がいってしまい、頭と心が疲れやすい人間である、と思っている。

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【insight インサイト】僕の知る限り一番難しいセルフ・コントロール

【insight インサイト】僕の知る限り一番難しいセルフ・コントロール

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜「自己認識」という考え方〜自分の思考法や考え方、感情をコントロールする類の本を僕は個人的に「セルフコントロール系の本」と読んでいる。
本書は僕がこれまで読んできた「セルフコントロール系の本」の中で「一番実践が難しい」と感じた。

タイトルの「インサイト」は直訳すると「洞察」や「本質を見抜くこと」となるのだが、本書では「自分に関する気づき」というような意味で使

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【予想どおりに不合理】自分の不合理な行動や決断は予想出来る、という希望

【予想どおりに不合理】自分の不合理な行動や決断は予想出来る、という希望

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜他の名著と内容が被るところは多々あり〜「影響力の武器」「ファスト&スロー」「行動経済学の逆襲」などなど、心理学や認知科学、行動経済学の分野が好きで、それに関する名著はこれまで数々読んできている。

本書も行動経済学関連の本の中では名著として挙げられる一冊である。

同じような題材の本をいくつか読んでいると、その内容はいくらか被ってくるところがあり、実は本書の

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【やり抜く人の9つの習慣】科学的根拠に基づく自己啓発

【やり抜く人の9つの習慣】科学的根拠に基づく自己啓発

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜心理学に基づいた成功習慣〜いかにも自己啓発的なタイトルの本だが、その内容はキチンと科学的根拠に基づいたものになっており、「なるほど」と納得できるような一冊になっている。

読書になれた人なら1時間もかからず読めてしまうぐらいのボリュームだが、「気づき」はそれなりに多いだろう。

常に本棚に入れておいて、何かの折に読み返したくなる本である。

〜少しだけ考え方の

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【だれもわかってくれない 傷つかないための心理学】「自分を分かってもらう」は難しい

【だれもわかってくれない 傷つかないための心理学】「自分を分かってもらう」は難しい

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜他人に理解してもらうのは難しい〜生きてる上で1番大きな悩みとなるのが「人間関係」だと思う。
その悩みの発端は「自分のことを他人に理解してもらえない」ということなのではないだろうか。

本書では、内容の大部分を使って「他人があなたを見る目は歪んでいる」ということを教えてくれる。
「だれもわかってくれない」事に悩んでしまう人は、まずこの本で「だれもわかってくれな

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【ステレオタイプの科学】差別や偏見を意識しなくなる社会を

【ステレオタイプの科学】差別や偏見を意識しなくなる社会を

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜ステレオタイプが引き起こす心と身体への影響〜本書が興味深いのは、「なぜ、社会にステレオタイプが存在するのか」ではなく、「社会に存在するステレオタイプが人にどのような影響を与えるのか」という問いかけをしていることだ。

まず、本書では印象的な1つの実験が提示される。
白人の学生と黒人の学生を混ぜたグループを2つ作り、それぞれに数学の問題を解かせる。一方のグル

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【行動経済学の逆襲】行動経済学の発展を辿るドキュメント

【行動経済学の逆襲】行動経済学の発展を辿るドキュメント

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜行動経済学入門には他の本を〜最近もっぱら話題の行動経済学。
その行動経済学の中でも有名な「ナッジ」の提唱者の1人であるリチャード・セイラーが語る、行動経済学が経済学界で頭角を表すようになるまでの過程が描かれたドキュメントである。

なので、行動経済学の入門としては向いてはいない。ある程度行動経済学を知っている人であれば、行動経済学が1つの学問として確立するま

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【暴力の人類史・下】読後も平和に対しての不安は残る

【暴力の人類史・下】読後も平和に対しての不安は残る

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜暴力を振るう要因・抑える要因〜統計データ用いて「歴史の中で暴力は年々減り続け、現代は歴史上最も暴力の少ない平和な時代である」という事実を外見的に証明した上巻に対して、この下巻は暴力を誘発する5つの要因(内なる悪魔)と暴力の抑制要因となる4つの要因(善なる天使)を解説して、先の歴史は内なる悪魔のいずれかが善なる天使のいずれかに打ち負かされたものであるという内面的

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【知ってるつもり 無知の科学】真の知能は集団に宿る

【知ってるつもり 無知の科学】真の知能は集団に宿る

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜僕のモヤモヤを言葉にしてくれた〜面白かった。
なぜなら、本の内容が兼ねてから僕が世の中の人々に対して思っていた事だったからだ。

「自分も含めて、個人が出来ること(知っていること)なんてたかが知れているのに、なんでこんなに自信満々に『何でもわかっている』『何でも出来る』ような態度を取れる人が多いのだろうか?」

僕は極端に自分の知識に自信が無い人間である。

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【第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい】「第1感」の存在を信じるか?

【第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい】「第1感」の存在を信じるか?

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜正しい「なんとなく」は存在する〜何か判断や決定をする時に「なんとなく」という言葉を使うと、あまり信用されない。
本書では「第1感」と表現されているが、いわゆるひらめきや直感の事だと考えられる。

「俺の直感は当たるんだよ」なんて言う人を多くの人は信用しないと思う。僕自身も正直なところ、直感だけで話をする人をあまり好ましくは思えない。

しかし、本書によると、正

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【コワイの認知科学】誰もがもつ"コワイ"の感情

【コワイの認知科学】誰もがもつ"コワイ"の感情

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜コワイの正体を知るために〜怖い、という感情は誰にでもある。
そして、怖いという感情について僕らがわかっている事は意外と少ない。

怖いという感情があるから危険から身を守ることができる。
でも、出来れば怖いという感情は克服したい。
そもそも、何が怖いかは人によって違う。

ちなみに僕はどちらかというと怖がりではないと思う。
ホラー映画や小説、遊園地の絶叫系の乗り

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【影響力の武器 実践編】影響力の武器・制覇

【影響力の武器 実践編】影響力の武器・制覇

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

以前読んだ「影響力の武器」の第二弾、続編とも言える本書。「影響力の武器」が理論編であるのに対し、本書は実践編という位置付けになる。
実はこのシリーズの第三弾「影響力の武器 戦略編」を間違えて先に読んでしまったのだが、この「実践編」の感想としては「戦略編」とほぼ変わらないので、本書の中から僕自身が実際に使えそうだなと思ったものをいくつかご紹介したい。

〜付箋に

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【認知バイアス 心に潜むふしぎな働き】人の思考は非合理的だと知らない事は非合理的だ

【認知バイアス 心に潜むふしぎな働き】人の思考は非合理的だと知らない事は非合理的だ

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜認知科学の入口に良い〜最近、僕の読む本が心理学や行動経済学、認知科学などの人の心の動きや思考に関する本ばかりに偏ってきているような気がする。
バイアスとは、いわゆる思い込みのことである。人間は偏見や先入観にとらわれて思い込みや勘違いをしてしまう、という「ファスト&スロー」や「影響力の武器」などで散々読んだ話ではある。

とはいえ、2020年10月に発売された

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