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映画の話683 SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜(ドラマ版)
この作品をドラマで観た時は、本格的な超能力系のミステリーとして毎週わくわくしながら観ました。人間関係も複雑というほどではなく、でも深みがあって、ちょうどいい塩梅で、登場人物それぞれのキャラも際立っていました。また、「ケイゾク」とのつながりもあり、まだ「考察」という言葉が今のような1ジャンルになっていないながらも、想像力を掻き立てられました。最終回まで一直線に盛り上がっていった、印象深いドラマでし
もっとみる映画の話682 シン・クロコダイル
巨大モンスターパニックものですが、そこに買収をめぐっての街の人たちと資本家との対立が全面的に絡んでいて、シンプルなのに奥行きのあるストーリーだと思いました。
また、ハリウッド映画ではラストが大体爆破するものが多いと思いますが、この映画は全く違っていたところも意外性がありました。
映画の話681 ツイスター
圧倒的な竜巻の迫力と、何度も危機に晒されながらも何とか回避していく人間の姿が圧巻でした。私たちの現実の世界も、地球沸騰かによって、今では気象状況が荒れ放題に荒れていますが、まるでそれを先取りしているかのような映画だと思いました。映画館で観たらもっと迫力があっただろうと思います。
映画の話680 アシュラ
飢餓に苦しむ世界で、人の心を失ったまま育ったアシュラが、ほんの少しずつ人の心を芽生えさせていくというストーリーですが、心とは何か考えさせらせました。
心がなければ人間とは言えず、でも心があるから悲しみや憎しみや懊悩する、それが生きるということだというメッセージが伝わってきました。
映画の話678 鬼はさまよう
連続失踪時間に絡む猟奇的事件よりも、そのことで深く傷つき憤った周囲の者たちの軌跡がストーリーのメインテーマだと思います。なぜか殺人鬼の思うつぼにはまっていくのは、私たち自身もまた、倫理的にはあり得なくても、深い悲しみや怒りによって、いつでも殺人鬼になる可能性があるからなのかとも思いました。
映画の話677 マイ・ツイート・メモリー
SNSに依存した男と、別れたにも関わらず同棲を解消していない女の、何でもないけど奇妙な日常が、何とも言えずシュールでした。でも、SNSが当たり前となっている私たちの挙動は、もしかするとこの男のように実はどこかズレた、壊れかけた挙動なのかもしれないと思いました。
過去も未来も、生活感もない、無機質な日常。でも、最後ははらりとさせられる切なさがありました。
映画の話676 トリハダ ‐劇場版‐
6篇のヒトコワなエピソードが、それぞれに強烈な異常性をもって迫ってきます。いろんなヒトコワがありますが、やはり「トリハダ」が1番怖いです。たぶんそれは、気持ち悪さや異常さの度合いというよりも、壊れた感じがするからだと思いました。壊れたヒトの言動と、異常さや気持ち悪さや心霊は、似て非なるものなのかもしれません。
映画の話674 赦し
ほとんど法廷での描写と、その間の被害者の両親の葛藤が繰り返されます。ただ、被害者が被害者となるに至った理由もまたとても重く、深かったです。本当の罪は誰にあるのか? そして誰が誰を赦すのか?
怒りも、悲しみも、法律も、本当は人を裁くことは誰にも、そして何事にもできないのかもしれないとさえ思いました。
映画の話673 連続ドラマW 湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー #2 ホーリーマザー
「#1ポイズンドーター」のつづきの部分に当たります。テレビでの娘の毒親発言を契機に、手のひらを返したかのような悪意ある噂話をしたり、生い立ちそのものが消費されていこうとしたり、世間やマスコミ、事務所の反応の生々しさがリアルな世間を表しているように思いました。
このエピソードでは、前の描き方とは全く違うものになっていて、結局物事というのは、どの角度からどのように見るかで全く違うものになるのだと思
映画の話672 連続ドラマW 湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー #1 ポイズンドーター
嫌味たっぷりな関係者たちとの和やかな会話や、娘を支配する母親の歪んだ情念が、随所で仕草や視線などで細かく出ていてけっこうゾッとしました。親の精神的な蹂躙から解放されたいと思っている人や、それすら感じなくなってコントロールされている人など、どれぐらいいるだろうかと思うと、一定数いそうで気の毒に思いました。
罪はないのに、罪人である、というダブルバインド的な存在に救いはあるのか、と思いました。
映画の話671 連続ドラマW 湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー #5 優しい人
「優しさ」って何だろう、と考えずにはいられませんでした。「人に優しくしなさい」というセリフは教訓やしつけの中で子どもの頃から大人になっても言われ続ける言葉です。
「誰にでも優しい人って、誰にも優しくないんだよ」
という劇中のセリフは見方によってはそう言えると思いました。勘違いされ、八方美人と言われ、悪意が向けられやすかったりもすると思います。でも、それでも人に優しくあろうと努力する姿は尊いと思い
映画の話670 連続ドラマW 湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー #4 ベストフレンド
脚本家を目指す野心、業界への憧れ、ライバルとのせめぎ合いやコンプレクスなど、うまく描いていると思いました。そこに業界の闇が絡んできて、都合のいい存在へとなっていく姿が悲惨でした。
嫉妬による逆恨み、でもその情念は本人にしかわからない、本人だけが正当性を持っている、そういう人は意外といるのではないかと思うと、さらに恐怖とやるせなさを感じました。
そしてラストはどんでん返しというか、意外性に満ち
映画の話669 三谷幸喜 黒井戸殺し 後編
真相解明へと至る完結編となります。一見全く関係なさそうな情報の断片を勝呂が収集しながら推理していきますが、これが見ながらうんと考えてもわからず、悔しい思いをしながら観ました。
少しずつ謎が明かされるにつれて、次々にあっと驚くようなことが明らかになっていきます。そして、悲劇的であり、文学的でもある終わりでした。
映画の話668 三谷幸喜 黒井戸殺し 前編
アガサクリスティの原作がおもしろいからなのか、それとも三谷幸喜の脚本がおもしろいからなのか、ゆっくりと登場人物たちが出てきて徐々に人間関係やストーリーの背景が明らかになっているにも関わらず、とてもおもしろいです。
事件発生、そして名探偵ポアロならぬ勝呂登場と、ポップさというか明るさを失うことなくミステリーが深まっていくところが良いと思いました。