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seiji_arita
2024年6月21日 15:24
「道化師の告白」現実を何も語らない事により 何かが語られている色彩を失くした平板な世が血を流し 人格の一部を欠損した歪な夜空が消えそうな月を映し出す感覚を喪失した星は輝き方を忘れる僕の固定された視界には道化師の告白が終わり無く文章化されて行く彼は決して真実を語らないモノクロの街で薔薇を売る女暗室での祝祭 完結された愛純文学とは無関係な風が真夜中を彷
2024年6月10日 23:27
「白い月の光」夜明け前の白い月に 僕達ふたりのそれぞれが抱える事柄の差異が映し出されるその白い月は夜空の端っこで暗示的な光を微かに放つ僕は迷いの中で朝を迎える其れは圧倒的な混乱とは違う 確信のある答えが欲しかっただけなんだ彼女は時計を見つめているその針は宿命的な時を示す僕は彼女の背中をそっと指先で撫で君は静かにうなずいた所有し所有される事の
2024年6月9日 21:33
「君に贈る詩」君は詩なんか読まない僕の書いた文字は透き通っていて君の瞳には映らない窓からは低くたれこめた暗い雲が見えたそうかもしれない 僕は口に出してそう言った僕がペンを持った瞬間に言葉は消えて無くなってしまう詩を読む様に独り言を呟く君は詩なんか読まない静かに雨が降りはじめたPhoto : Seiji Arita
2024年5月1日 10:05
「水平線」果てしない偶然性が積み重なり今が形成される理論や整合的な説明は出来ない全ては其の偶然性に支配されている其れを必然と呼ぶのかもしれない其処には言葉に出来る何かは存在しない言葉に出来ないものの中に潜む自己規定幾つかの街が通り過ぎ 鏡の中にお前を見る深い夜と静けさが永遠に続き時を刻み命と死が交差する誰にも解き明かせない唯一が此処にある俺と
2024年4月5日 21:09
「邪悪な光」悲観的な色あいを帯びた幻想と攻撃的な響きを持つ光が仄かに漂う表に現れているのは ただの見せかけに過ぎない 徹底された秘密主義 歪んだ鏡が映し出す恐ろしく執拗な性質を持つ陽の光何かの始まりを意味するものもう全ての時が動き始めているその光に恐怖し逃げ出した人々次第に力を増すその邪悪な光に眼を背けたそして誰ひとりとして居なくなった僕ひとり
2024年3月27日 19:54
「愛の言葉」何処まで行っても現実は付いてくる自分の影と同じ様に風が闇を斬る音其の風は僕の知らない所からやって来て僕の知らない所に向かい吹き過ぎてゆく忘れかけた愛の言葉 海の様に広いベッド其処には用途を失った言葉が雑然と散らばる
2024年3月26日 22:14
「魂のドア」神は要らない 其処に欲望はあるか其処にプライドはあるか悔しさで握りしめた拳僕は泣き腫らした眼で信頼できる本当の友を探した魂のドアを開けろ夢はいつか見た 夏の夜の流星ではない
2024年3月24日 19:34
「半月の夜」風か吹き始めたのは そう 孤児の様に置き去りにされた野良猫と出逢った時からだったその夜 君に眼隠しをしてSEXをした 君の望み通りに半月の夜は何故か無口になる空は雲に覆われて雨が降り始めた鮮明に見た夢が不鮮明な現実に呑み込まれてゆくいつか見た半月 雨はまだ降り続いている窓を打つ雨音 青い海風が忘れられた深い森の木々を洗い淘汰する
2024年3月16日 22:52
「トロイの木馬」特定の目的を持ち意図的に作り上げられた偽装された世界の中で沈黙を維持し続ける真夜中の音は鳴り止まず僕はその音に耳を澄ませている記憶と意識の形を変えて其処に留めた巻き戻せない時を超え 朱く霞む夕陽の残像が風に逆らう汚された光に僅かに残る純粋な粒子永遠に続く掟が終わりなき夢に堕ちてゆくトロイの木馬 血は流されなくてはならない神
2024年3月8日 21:59
「忘却」無意識の領域から浮かび上がる記憶と欲求割れた雲間から見えた幾つかの星遠く忘却の中に消えた彼奴の言葉はまだ僕の中に残っている彼の意志の力は其処に留まり 星を輝かせる 光と影の複合体が創り出す本当の姿其れは美しさの奥に隠された資質表面上に見えるものが美しくある必要も無い例え醜いものであったとしても僕は彼を正確に理解しその輪郭を描く事が出来た
2024年3月6日 23:26
「水晶の夜」水晶の夜 飛び散った硝子の破片忘却の沼に深く沈みゆく二本の足其処には賞賛も無く批判も無い屈曲した光があるだけだった若き暗殺者と思考の殺人者俺は彼に呼び掛ける手段を持ってはいない霧の中で遊ぶ小人の群れが 青い太陽を指差す裸体を捨て去り幻想の肩書きに嘔吐する千里の荒野にはためく白旗変換不能な替え玉の命悪いが俺はお前を許したつもりは無い
2024年3月5日 22:31
「VELVET SKY」裏付けの無い仮説が黒き衣を纏い通り過ぎる苦悶に歪み天を裂く何処までも無音な川の流れがヴェルヴェットの空から降りて来る未完成のままで完成した夜明けが訪れた時街には無個性な色が反射し始めるきっと僕も其処に含まれているもうひとつの顔で僕に微笑んでくれそしてこのまま 目を開けたまま眠れVELVET SKY
2024年2月20日 19:25
「海色に沈む」目には見えない雲の切れ端 小さな浮雲ゆっくりと型を変えて空を彷徨う其れは僕の過去 失われた記憶を求めて漂っている 部屋の窓から 遠くに少しだけ見える海巨大な海の切り取られた断片其処には波音も潮の匂いも無い海色の小さな塊僕は記憶の枠の内側に居るのか外側に居るのか何も見えない思い出せない 僕の知らない所で物事は進展し行き場を失くしたの
2024年2月20日 14:42
「青に浮かぶ音」不格好で歪な音が空間を揺らす其れは個性的で魅力のある歌の様だった何もかもが平坦で均等に備え付けられた空色斑さえない青に浮かびその音は揺れていた宿命的な欠点を幾つもあらわにした君の奏でる歌に心を奪われていた君の突出した部分が僕の感情に食い込んで来る僕は君の歌を聴くのが好きだった暴力に似たセクシャルな感情が僕の中で蠢いてる小さな恐怖と