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seiji_arita
2024年6月8日 18:14
「2024 第8病棟」2024度目の世界に立ち尽くす僕は瓦礫に巣を喰う黒鼠の夢を見る神様どうか御加護を下さい 救いを下さいと囁きながら其処に神が居るのなら祈るさ迷える子羊を助けて下さいと大地を引き裂いた断末魔 欲に駆られた灰色の背徳燻んだ瞳で何を見る誰一人として聞こうとはしない隣の人の泣き叫ぶ声知らぬが仏 馬鹿が原色を着飾り尻を振る国際的な都市に
2024年5月7日 20:29
「言葉」非調和性を帯びた不協和音とトランス状態に似た微かではあるが確実な狂気意識と無意識の境目が手招きをする僕は半円形の世界を見ていた 其れはただ見る必要性に迫られたからで本当に見たいから見ていた訳じゃ無いいつしか僕は現実では無い世界の中に自分の見たいものを自分自身で見つけ出した其処には僕と個人的に結びついているとしか思えないそんな言葉が
2024年4月23日 23:16
「破滅の淵」僕等は先を急いではいない 時間がかかるなら それでも構わない空をゆっくりと流れる雲は広い空の中に自分の居場所を定めている何処か遠くで誰かが誰かを呼んでいる僕等は世界でただひとつの完結した場所に辿り着く何処までも孤立し誰も入れない空間其処には差し出すものも求めるものも無い沈黙のうちに過ぎる時 だけど孤独に染まる事は無い彼女は僕の
2024年4月20日 17:42
「静脈」時間が不規則に揺らぐ僕が心の中の牢獄に閉じ込められている事を誰も知らない 其の牢獄を出る事は 簡単だ自分自身の意志で出てゆけば良い鍵をかけたのも鍵を開けるのも全ては自分自身周りの声達はもう僕に話しかける事を辞めていた僕は誰にも見る事の出来ない風景を睨みつける其処には枯渇した水脈がある僕が解き明かすべき暗号を君は持って居る現実と仮説
2024年4月13日 15:25
「小世界」この世界には 絶対的な善も無ければ絶対的な悪も無い 善は悪に転換し 悪は善に転換する あるのは其の均衡だけだすなわち均衡そのものが善である其の本にはそう書かれていた死は解放でも復讐でも無く空白を生むだけだ僕はそう書き残した世界が同義を失い崩れてゆくのは僕達の苦悩や煩悶のせいでは無い雷鳴とどろく夜に全ての意味を知るいつだってどんな時
2024年4月11日 19:52
「月明かり」満月がくまなく街を照らす夜僕は自分自身が失われるべき場所のドアを開けたその場所に君が閉じ込められている事を知っていたから君は残された短い命を慈しむ様に詩を書いていたその事だけは僕には はっきりとわかっていたその場所には僕達ふたりしか居ないそのドアは一方向にしか開かない僕等は正しく人を愛する事が出来なかったそしてまた自分自身を正
2024年4月11日 02:22
「思考犯罪」世界はこの僕に伝えるべき言葉を何ひとつ持ってはいない仕組んだ謀略の行方 謎に満ちた怪文書霞の様な無気力な世界は僕とは無縁な場所で時を刻み続けているパンドラの箱は既に開けられいる僕は世界に不足しているパズルピースをひとつひとつ探し集めて手に入れた終わる事の無いゲームは続いている赤いランダムスターに祈りを捧げた君の髪がキリストより長くな
2024年2月24日 03:17
「血」調和を重んじて生きる風と自我の宿命が交差する世界の環は 既に閉じられ回避と逃避の中説明さえつかない弁明を続ける其処に流されたリアルな血がただ虚空を睨み付けていた ほとばしる血には勝利も敗北も無い無縁な世界の光が剣の様に僕の心を刺し貫く背景に描かれた街には 消費が美徳と言う価値基準を持つ人達で溢れていた大義名分を掲げ容赦なく断罪を下す
2024年2月10日 00:26
「月の南 星の下」辛い時には幸せなふりをするの 君の口癖僕は瞳を閉じ耳を済ませ 其処にあるはずのものを思い描いた ほんの少しの間だけ手を握り合っていた僕は世界に近づこうとしていた近づきたかった その普通と呼ばれる世界に僕は自分が自分自身であり君は君自身である 他の誰でも無い事に不思議な安心感を覚えていた彼等の創り出したものは いつも僕や君を
2024年2月9日 18:39
「西風」僕等は空白を埋める為に話し続けた ただ話し続けていた お互いの仕事の事や身の上話し過去にあった色々な事柄僕はどれだけ孤独で どれほどのものを失って来たか 全てを君に知って欲しかった其れは逆に 誰かを傷つけて 大切な何かを僕自身が奪って来た経過でもある事を僕はわかっていたそれでも 全てを知って欲しかった彼女もまた同じだった 僕は彼女の話
2024年1月9日 17:42
「ロマンス」僕は鏡を見つめていた 其処には何も映し出されてはいない空白があるだけだった感覚が麻痺している訳でもない混乱や戸惑いもなく 今を成立させる基準や理論を探してた自分自身が捉えた感覚を適切に言葉に置き換えるその事だけに注力していたそれが僕の証を残す事が出来る唯一の方法だったからだ不均一で不可解な空白と短い語彙で綴られた言葉形作られた
2023年10月28日 22:11
僕等は小さな世界の中に居る 痛みと苦しみが歪み堕ち螺旋を描く自分自身の中に上手く位置付ける事が出来ないまま相手を傷付けない様に そしてまた自分も傷付かない為に明日を変えるには今日を変えなくちゃ今日を変えるには今を変えなくちゃ そう誰かが言ったわかってる わかってるよ だけど何処へも行けない僕は 何ひとつ変える事なんて出来ないままでベッ
2023年10月26日 16:53
「ミッシェル」世界が燃え尽きるのを見ていたもしかしたら水没していく様子だろうか僕等には どっちでも良かったただ全てが終わりに近づいている事をふたりは はっきりと感じていた市営住宅の屋上の手すりから身を乗し出して大通りを流れる車や人を眺めていた 慌てふためく群衆が映画の様に見えた僕は彼女に逃げないの? そう聞いた彼女は うん逃げないよ 別に死
2023年10月19日 15:44
「鏡の国」すすきの穂を揺らした十月の風金木犀の香り 銀杏の色彩微かな冷たさを含んだ風を感じていた細長い雲が線を引く青空は高く 高過ぎる空を見上げていたその情景が映し出す過去の特異点喪失の中に絡まる愛憎はやがて再生に似た世界の終わりを導く柔なか弧を描く細い塀の上を辛うじてバランスをとりながら歩く静かに暗唱を繰り返す鏡の国に君は居た そして今