とさか_絵本東大生

幼児教育を研究しつつ、絵本作家を目指す東大生です!世界中の幼稚園を取材しました!幼児教…

とさか_絵本東大生

幼児教育を研究しつつ、絵本作家を目指す東大生です!世界中の幼稚園を取材しました!幼児教育に関する情報を発信していきます!読書感想文もよく書きます。

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記事一覧

詩『蛹星』

永く生きてあればきっと ふやり離れてくのだろう 目をぎゅっとつむる 幾光年を泳ぐ蛙 そのさいごの色をおもって うつわは焼き上がる 生まれたからには蝶になりたいだなん…

散文詩 『ラピス・ラズリ』

ラピス・ラズリ    鉱石のような恋をしなさいと母さんは言いました。 私は青紫色の瞳を感じて、誘われるようにカーテンを綴じます。 むかし飼っていたハムスターのお墓…

短編『明日は明日の雨が降る』

明日は明日の雨が降る 覚(さと)は早起きだった。朝の退屈を楽しむのが好きなのだ。 PODD(時間律隔離寝台)は過保護で、いつでも二度寝していいのよとベッドを暖めつつ、コ…

短編『シェル・マインド』

シェル・マインド 「私は貝になりたい」なんていうけどさ 人間はほんと俺たちのことわかってないよ 貝って大変なんだぜ? ひらくか、とじるかだ いろんなひらくがあるし、…

とさか世界一周旅行記 ニューヨーク2日目

昔、世界一周してたころの日記です。ニューヨークはひとり部屋での宿泊だったことも手伝って文字量がめちゃ多い。あと当時の自分の幼さが見られますね。 2015/11/12 6:15 …

とさか世界一周旅行記 ニューヨーク初日

本連載では、ぼくが学部1年の頃に休学して世界一周した際の日記を公開しています。ニューヨーク突入編は旅全体の中でもトップクラスに長文になりました。こんな旅がいまは…

空想紀行文 4月24日 無宗教都市キハナ

旅が好きなのですが、こんな状況では次の旅の計画すら立てられません。 そのため、空想の世界にて架空の都市へ出かけたいと思いました。 今後も旅欲が破裂しそうになるたび…

とさか世界一周旅行記 ボストン後編

こんにちは!とさかです!絵本を描きながら幼児教育の勉強をしています! 本連載は、2015年に僕が世界中の幼稚園の取材をしながら各国を旅行した際の日記を紹介しています…

とさか世界一周旅行記 ボストン前編

本連載は、2015年に僕が世界中の幼稚園の取材をしながら各国を旅行した際の日記を紹介しています。以前は毎日、1日分ずつアップしていたのですが、めんどくさいので街ごと…

ベボベ『Cross Words』に見る、恋愛のわかりあえなさ

目次1 恋愛のふたつのかたち 「神聖視」と「ふたり」 2 ベボベの「神聖視」期 3 ベボベの「ふたり」期 4 まとめ 1 恋愛のふたつのかたち 「神聖視」と「ふたり」Base Ball…

第7章 未来

現在でない時間に実存することはできない。それ故に現在でない時間を用いて事象を語るとき、存在に関する何らかの要素が捨象(破壊)される。 そしてその破壊の対象は、私…

第6章 祈り

今年自分が紡いだ言葉で、好きなものをいくつか拾いました。 想起の現象学者として彼らを提示します。あえて語ることはしないので、その編み目からこちら側を覗いてくださ…

第3章 到達不可能なものへの投企

・私とは恣意的なもの、とはどういうことか 私とそれ以外を区別しないことができます。梵我一如、あるいは汎神論など。私という視点にたまたま立っているために忘れがちで…

第2章 語り得ぬものを照らすヒカリ

本論では現代思想における「語られるもの」と「語り得ぬもの」の扱いを概観する。 語られるものとは、古代ギリシャにおいて「理性」と呼ばれたものの射程であり、知的に操…

第1章 想起の現象学

概要21世紀の哲学における潮流として、思弁的実在論運動がある。人間中心的な相関主義を斥けることで実在を語るこれらの議論は、フィクション世界の実在性を示すことが可能…

「バチェラー3」は初めから1対1のボーイミーツガールだった ー祝福に代えてー

愛する存在は愛する者にとって宇宙の代理なのである。 ージョルジュ・バタイユ はじめにバチェラー・ジャパン シーズン3が完結しました。本記事はエピローグまでを見て大…

詩『蛹星』

詩『蛹星』

永く生きてあればきっと ふやり離れてくのだろう
目をぎゅっとつむる
幾光年を泳ぐ蛙 そのさいごの色をおもって
うつわは焼き上がる
生まれたからには蝶になりたいだなんて考えてしまうよ
皮膚はまだ柔らか
生まれたからには蝶になりたいだなんて考えてしまうよ
皮膚はまだ柔らか
表面張力が打ち負けて ぷるんと溢れてくる歌
思わず本をとじる
冷たさに滲む涙 朝を肺いっぱいに
頂に挑もう君と
頬は解けやすいから

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散文詩 『ラピス・ラズリ』

散文詩 『ラピス・ラズリ』

ラピス・ラズリ   

鉱石のような恋をしなさいと母さんは言いました。
私は青紫色の瞳を感じて、誘われるようにカーテンを綴じます。
むかし飼っていたハムスターのお墓を柔らかく思い出しながら
君が赦した金属光沢をするらり撫でるのです。

 ふと嗅いだマスカットの匂いにつられて家を出る。外はぞっとするほど暗くて、足下だけが上からの光を反射している。遠くの工場が琥珀色に光って深く煙を吐いているのが見える

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短編『明日は明日の雨が降る』

短編『明日は明日の雨が降る』

明日は明日の雨が降る

覚(さと)は早起きだった。朝の退屈を楽しむのが好きなのだ。
PODD(時間律隔離寝台)は過保護で、いつでも二度寝していいのよとベッドを暖めつつ、コーヒーのためのお湯も沸かし始める。
「わたしの意思なんて」
知ってるくせにね。そう思いながら、朝ごはんのメニューを頭の中で考える。考えた内容が意識に上ったときにはすでに、PODDはフライパンにエクストラバージンを引いていた。今日は

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短編『シェル・マインド』

シェル・マインド

「私は貝になりたい」なんていうけどさ
人間はほんと俺たちのことわかってないよ
貝って大変なんだぜ?
ひらくか、とじるかだ
いろんなひらくがあるし、いろんなとじるがあるんだ
たべるときは胃の中の酵素をゴロゴロさせるんだ
そして戦う
みてくれよ俺の殻を
守るためならツルツルにするさ
攻め勝つためにギザギザなんだ
でっかくて動かない、すっげえ硬いのが海にはいっぱいあるんだ
それに勝っ

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とさか世界一周旅行記 ニューヨーク2日目

とさか世界一周旅行記 ニューヨーク2日目

昔、世界一周してたころの日記です。ニューヨークはひとり部屋での宿泊だったことも手伝って文字量がめちゃ多い。あと当時の自分の幼さが見られますね。

2015/11/12 6:15
11日の分の日記を書く。とても長くなりそうだ。また、本来はもっと早く書き始められた。以上については後述する。
まず、前日は取材のため21時には布団に入ったが、実際眠りに就けたのは23時ごろだった。目が覚めたのは、目覚ましが

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とさか世界一周旅行記 ニューヨーク初日

とさか世界一周旅行記 ニューヨーク初日

本連載では、ぼくが学部1年の頃に休学して世界一周した際の日記を公開しています。ニューヨーク突入編は旅全体の中でもトップクラスに長文になりました。こんな旅がいまはできないという切なさもありますね。事態の収束まで、こちらを読んで旅の気持ちになってみてください。

2015/11/10 19:40
ついにアメリカ最後の都市、ニューヨークに着いた。とりあえず地下鉄のチケットを買おうと思い、Subwayと書

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空想紀行文 4月24日 無宗教都市キハナ

空想紀行文 4月24日 無宗教都市キハナ

旅が好きなのですが、こんな状況では次の旅の計画すら立てられません。
そのため、空想の世界にて架空の都市へ出かけたいと思いました。
今後も旅欲が破裂しそうになるたび、この営みに頼るでしょう。

ー4月24日 キハナ

列車に揺られつつ、キハナへ向かう。久々の夜行列車は意外と快適だが少し寒かった。身体が窮屈さを感じる前に入眠しようと、アウターを2枚着込んで目を閉じた。この国の列車は予定時刻より早く着い

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とさか世界一周旅行記 ボストン後編

とさか世界一周旅行記 ボストン後編

こんにちは!とさかです!絵本を描きながら幼児教育の勉強をしています!
本連載は、2015年に僕が世界中の幼稚園の取材をしながら各国を旅行した際の日記を紹介しています。
今回はいよいよボストンを発つため、最後にはかなり感傷的になっています。

2015/11/6 0:45
今日(昨日)は本当にだらだらと過ごした。取材を終えた安心感だろう。
朝起きて、やる気が全くないのを自分で悟る。
とはいえ何もやら

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とさか世界一周旅行記 ボストン前編

とさか世界一周旅行記 ボストン前編

本連載は、2015年に僕が世界中の幼稚園の取材をしながら各国を旅行した際の日記を紹介しています。以前は毎日、1日分ずつアップしていたのですが、めんどくさいので街ごとにあげることにしました。今回はボストンの続きから、取材を終えるまでです。
(誤字脱字などは原文ママ)

2015/11/01 12:00
忙しくて昨日の日記を書くのをすっかり忘れていた。
起きたら12時半くらいで、ふわふわと身体をゆすっ

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ベボベ『Cross Words』に見る、恋愛のわかりあえなさ

ベボベ『Cross Words』に見る、恋愛のわかりあえなさ

目次1 恋愛のふたつのかたち 「神聖視」と「ふたり」
2 ベボベの「神聖視」期
3 ベボベの「ふたり」期
4 まとめ

1 恋愛のふたつのかたち 「神聖視」と「ふたり」Base Ball Bear(以下、ベボベ)(※1)というバンドがあります。僕はこのバンドがとにかく好きで、ツアーファイナルのために夜行バスを使い0泊2日で広島へ行ったこともあります。
本論はベボベの歌詞から読み取れる恋愛のあり方を

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第7章 未来

第7章 未来

現在でない時間に実存することはできない。それ故に現在でない時間を用いて事象を語るとき、存在に関する何らかの要素が捨象(破壊)される。
そしてその破壊の対象は、私たちがそれを想起という形で現象するとき、私たちによって恣意的に選択することができる。
なぜなら、時間による破壊「そのもの」という世界における確定的な事象は存在しないためである。これは私たちの(現象学的な)現象の話であり、そこで重要なのは外界

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第6章 祈り

第6章 祈り

今年自分が紡いだ言葉で、好きなものをいくつか拾いました。
想起の現象学者として彼らを提示します。あえて語ることはしないので、その編み目からこちら側を覗いてください。

午前のうごき (詩)凛々と鳴る山脈大の水車
人民を駆る毛沢東2兆人
花から咲く花から咲く花
辛さ隈なく空さ苦は無く
透き通った紫の月は新月
黄色い街に眼球びっしり
融けてイく僕のからだは
融けてイく僕のこころは
世界とひとつになるる

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第3章 到達不可能なものへの投企

第3章 到達不可能なものへの投企

・私とは恣意的なもの、とはどういうことか
私とそれ以外を区別しないことができます。梵我一如、あるいは汎神論など。私という視点にたまたま立っているために忘れがちですが、客観的な視点で世界について考えれば、私とそれ以外を区別するものは特にありません。「私目線だから私」というトートロジー以上のことを日常的な文脈では語れません。私を特別な存在とするには、なんらかの特別な概念を導入する必要があります。その代

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第2章 語り得ぬものを照らすヒカリ

第2章 語り得ぬものを照らすヒカリ

本論では現代思想における「語られるもの」と「語り得ぬもの」の扱いを概観する。
語られるものとは、古代ギリシャにおいて「理性」と呼ばれたものの射程であり、知的に操作可能なあらゆる論理的関係の集合である(厳密な定義ではない。)ストイックの語源となったストア派においては、私が理性を用いて考える、その内容そのものが私自身であり、私の富や名声はその所有物に過ぎないため、考えることの充実のみが追求されるべきだ

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第1章 想起の現象学

第1章 想起の現象学

概要21世紀の哲学における潮流として、思弁的実在論運動がある。人間中心的な相関主義を斥けることで実在を語るこれらの議論は、フィクション世界の実在性を示すことが可能である。しかし、その実在性は思弁的であるがゆえに、人間の実存との関わりにおいては効力を持たない。実際に私たちは日常において、ドラゴンが現実に存在するとは考えない。本論は、過去の記憶が現在という時点において現象するあり方を詳細に検討すること

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「バチェラー3」は初めから1対1のボーイミーツガールだった ー祝福に代えてー

「バチェラー3」は初めから1対1のボーイミーツガールだった ー祝福に代えてー

愛する存在は愛する者にとって宇宙の代理なのである。
ージョルジュ・バタイユ

はじめにバチェラー・ジャパン シーズン3が完結しました。本記事はエピローグまでを見て大変感動した筆者が、その感想を述べるものです。ネタバレが多分に含まれておりますのでご注意ください。また、7000文字くらいあります。最後に要約を書きましたので、簡単に読みたい方はそちらをぜひ。

さて、バチェラー3はその波乱の結末から大変

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