「誰にも秘密の秘密基地」

 「いってきまーす!」
 夏休み明け、始業式当日。
 昔でいえば九月一日だったんだろうが、最近では八月の第三週頃には学校は始まってしまう。
 いつもは遅刻ばかりの俺だが、今日ぐらいはと母さんにたたき起こされ、始業一時間前に家を追い出された。片道二十分で学校へは着く。いつも通り行っても暇だな…と考えのんびりと歩みを進める。
 暦の上ではもう秋だっただろうか。残暑見舞いを出すには遅い時期とは言えど、八

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直接告白し1ヶ月で直接振られた経験が貴重になる日がきた?

 テレビで芸人みたいだけど多分肩書は女優がいってた。

 「直接告白されるなんて、私たちには漫画の世界だ」

 彼女は20歳そこそこ。おそらく、遅くても高校生の時にはスマフォを手に入れ、連絡手段もライン。今や告白はラインでするとか何とか。

 1980年生まれの私。高校時代にポケベルが流行り、学校にただ一ある公衆電話に、昼休み行列ができているのを横にみた記憶がある。(通っていた高校は県立、偏差値で

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Octopus Legs(仮)序章

楓の葉も赤く染まり始めるころ、俺は妹と大学の文化祭に来ていた。
兄の俺が言うのもなんだが、妹は本当出来すぎた人間だ。優しいし、明るいし、容姿だってそんじょそこらの女よりはるかにかわいいと思う。
しかし、そんな自慢の妹は、只今、俺の隣には不在だ。
「ちょっと一人で見て回ってきていい?」
 そう聞いたのち、あいつは展示のやっている校舎へ元気に走って行ってしまった。
 元から大して社交的でもなくサークル

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炉心の竜は蒼穹に咆える

カギカワ第一発電所から、墨で引いた線のように竜煙がたなびいていた。

「久々に風が出てるな」

父が言った。
父のそんなに穏やかな声はそれこそ久々に聞いたので、落ち着かない気持ちになったのをミヤトは覚えている。

その日は街中、島全体が、そんな圧し殺したような非日常の気配に覆われていた。

真昼の街に消し忘れのネオンが空々しく光っていた。
頼んでもいないのに買ってもらった氷菓をミヤトは大人しく舐め

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エンジンサマー/手を握っていなさい

夏が終って秋になったのに、夏のような暖かい一日が戻ってくることを小春日和という。英語ではインディアンサマーというらしい。

このインディアン・サマーが、文明の滅びた遥か未来では訛って「エンジン・サマー」と呼ばれている。機械の夏=エンジン・サマー。そんなタイトルの小説、そんな未来を描いた物語を僕は大好きになった。

本を読む人ならわかるかもしれないが、生涯において、おそらく数冊、自分自身の分身のよう

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くるしゅうない!
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僕らの旅路1話 出会い

家出少女との出会い

さっぱり分からなかった。その時彼女が言った言葉が。彼女はこう言ったのだ。
「私と共に世界を見よう」と。

その夜は満月だった。日本文学全集から三島由紀夫の巻を本棚から取り出して2時間ほど読みふけっていた。窓の外では周囲の家々の灯りは皆消えている。いつものように、真っ暗な闇が広がる中で唯一明明と灯った蛍光灯の下で読書に励んでいたのだが、そろそろ疲れてきたので、夜食でも食べようか

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「探しものは、夏ですか。」感想:「探しもの」から始まる、爽やかな夏の傑作短編ノベルゲーム

(公式Twitterより)

一部スクリーンショットはありますがネタバレは極力無くした感想です。

たまたま帰省した際に、知らない女の子に出会い、無理やり頼みごとをされ、その子が抱えている困りごとに対して2人で解決法を探していく,,,。
そしてその先で判明する事実と、予想だにしていなかった結末。

テンプレート的な展開ではありますが、しかしこの使われ続けてきたこの展開で、しっかりと現代の傑作として

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ホウセンカ(誕生花ss)

 それは禁忌だった。その、白い肌に触れるのは。

 戦の神に愛された「奇跡の少女」をひと目みようと、見物客でごった返す中をかき分けて進んでいたら、不意に全然人のいない空間に押し出され、気がついたときには、ぼくの指は彼女の指に触れていた。遠くから見た時には無表情だったその顔に、驚きと戸惑いが浮かび、刹那、その視線がぼくを捉えた。
 しかし次の瞬間、ぼくは両腕を拘束されて床に転がされたので、すぐに彼女

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『水は海に向かって流れる』感想

田島列島の今作は、ひと夏の甘酸っぱい青春ものとして物語を全うした前作より、いくらか剣呑な雰囲気が漂う。

物語は雨の降る夕方、主人公の少年・直達が駅に降り立つ場面からはじまる。高校の進学を機に叔父の家に居候することになった直達を待っていたのは、同じく叔父の家に居候する女性・榊さん。叔父の家には他にも、女装の占い師、メガネの大学教授等、個性的な面々が居候している。直達の高校生活や青春と平行して、複雑

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親の再婚、障害、犯罪、時空を超えた恋などから振り返る自身のBMGアニメ映画鑑賞記録

今日は「フォードVSフェラーリ」以来の自身としての映画鑑賞となる「(アニメ版)思い、思われ、ふり、ふられ」と言う映画を観に行きました。今回の映画は親の再婚による複雑な姉弟関係などをテーマにしてるなど、内容深い恋愛作品でした。自身としては14年の映画クレヨンしんちゃんに代わって設けた自分としての映画鑑賞枠である「OA(オリジナルアニメーション)枠」で、今回は自身として5年間のBMG(ボーイミーツガー

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