大塚雅美
生存報告として執筆日記から始めます
この世界では、20歳までが寿命だと決められている。 僕は、そうした人たちの命日を見送る施設で働いている。 僕は、家族と毎日対話をする。 ある日、対話の後、レインが「死ぬのがこわい」と言った。 毎日更新 一月末完結予定 中編SF小説
しっかり書かれた小説や、読むのに時間がかかるものを置いておける場所として。クリエイターさんの記事を溜めています。
ある時、ある場所から何かが失われた。その跡地は「ただ白い場所」として保存されている。ここに、わたしは立って、毎日掃除を続けている。書くことと、感じること、そして生きていること、ここから永遠が始まっていくこと。 何かを捉えようとした三冊のnote。
今日も朝に書いた。前に書いた小説も見返して直す。 小説の新しい構成を思いついた。すでに書かれた文章を直すのは大変だけど、今まで書かれていた文章を甦らせるぐらいのものを書きたい。
今日は、小説1時間ほど書いて原稿用紙8枚ぐらい進めました。書くことのリズムを意識し出しているので、昨日より少したくさん進めています。ポメラでフレームを表示して、何枚書いたかわかるようにしています。 直す作業も行いました。物語の辻褄があっていないので加筆修正する必要がありそうです。
みなさんこんにちは。大塚雅美です。今回はこの場を借りて、自分の作品解説をしたいと思います。今までnoteには自分が過去に書いた短編、中編小説をそのまま投稿しています。しかし、いきなり投稿して「書きました、読んでください」だけでは足りないと思うので、自分で作品について語ってみたいと思います。 まずは、最初に書いた中編「モフモフキマグレイトハキマリモモドキ」についてインタビュー形式で、お話しします。 あらすじを教えてください大学でモフモフキマグレイトハキマリモモドキ(以下モフ
今日は朝起きて書きました。小説は手話を使う少女の物語と、コロナ禍の恋愛小説どちらも進めてます。 どちらも会話の仕方が独特で書きながら世界観に入っていく感覚が面白いです。
タイトルはつけることができない。タイトルがわかるのは最後になってからだ。小説の中の登場人物のように、わたしはキーボードを指で押す。窓からは午前中の最も美しい光が差し込んでいて……今が最も美しい。午後からはどういう光になるかもしれない、今も、美しい。キーボードを押しながら思う。 わたしが書きたいと思ったのは、言葉に触れてみたかったから。こうして書いていると、言葉に触れた、心の表面が、言葉が持つ音によって際立って、そして言葉の感触も、昨日や今まで書いてきたものとは実は違ったのか
本を読みながら、こう考えた。わたしは、面白いことを考えていない。ひねりのきいた文章を書く気力がない。細かい設定を練る暇がない。 そんな暇があったら、新しい、読み捨てられる文章を書く。演奏するイメージで、ジャズとか、ストリートピアノのイメージで、町中のベンチを見つけ、膝の上で書く。 書くことについて書く、といっても著述トリックではない。多分、書く以前のことで躓いて、書く瞬間に戸惑って、書こうとしても「書いている」という事実に圧倒されて。 やっと書けた言葉が「わたしは書い
メモを取り始めたのは、最近のことだ。最近も最近、ここ一週間のことだ。書くこと以外のやることが多すぎて、書かずに寝る日が続いていた。 やらねばならぬことのあいまにメモを書いた。それは散歩中だったり、読書中だったり、人を待っている時だったりする。立ち止まってiphoneのメモアプリに記録する。 書かれた言葉は小説の始まりになりそうだし、流れの一部になりそうだ。それを元にエッセイを一つかけそうでもある。書かれそうな文章を想像して、 でも実際に書くのは面倒なんだよなぁ、と
「どうして対話するのって、それはここにいてもいいよ、って伝えるため。僕はここにいるって、わかるため。そうなのかもしれないよ。」 僕は、その一言を自分で言ったことで、深い暗闇を落ちていった底に、温かくて柔らかい青色の海に出会ったような気がした。僕は、優しい気持ちになって、涙が出た。 「うまく話せなくても、それが誰かの考えを深めるきっかけになるし、レインが迷っていることを教えてくれたから、僕は考えたことがない事を考えられたよ。 レインが話してくれる体験も、僕にとっては知らない
「私、ここにいてもいいのかな」 レインは言った。 「対話をしてて思うんだ。私の言葉はみんなにどう届いているのかな。私がいる事で、みんなにいいことはあるのかなって」 そんなことないよ。頭の中で僕はすぐに反論した。けれども、レインの迷っていることが僕にとっては大事な意味を持っている気がした。 だから、じっと黙って暗い中に目を開けてみた。天井いっぱいにちりばめられた星たちは、ゆっくりと瞬いている。まだ言葉にならなくても何かを言える。 「僕は、対話をしてて自分がいてもいいかなん
「だって、それは何かがテルハに伝えようとしているから。」 「そっか。」 僕は全く意味がない夢だと思っていた。それどころか、その夢を見たあとは無力感に包まれて、早く今日を終わりたいとすら思った。「わたし実は、死なない気がしているんだよ。」 レインは、子供の頃に戻ったみたいににっこりと笑った。 「どうして?」 僕は尋ねた。そして、それにはとても勇気が要ることだった。 レインはしばらく答えないで、じっと僕の顔をのぞき込んだ。僕は目をそらさないでそのままレインの目を見た。
イナモが机を拭いて、サマーがその机をどかす。僕とレインは椅子をいったん広げて、机を脇にどかすのを手伝う。それから、僕らは椅子をまた輪に並べて、座り直す。 今日は僕は、サマーの椅子に座った。 「では、対話の心構えを。」 サマーがみんなに声を掛ける。 「素直な言葉を探すこと」 サマーの隣に座っていたレインが言う。 「否定しないで、置いておくこと」 その隣のモクが言う。 「よく聞くこと」 その隣の僕が言う。 「問いもまた置いておかれる」 僕の隣のイナモが言った。 「そ
晩ご飯の準備はみんなでした。僕らは料理も自分たちでする。僕がお米を研いで、炊飯器に入れた。モクが、スーパーで見つけてきた野菜で、サラダを作り始める。そして、レインとサマーと、イナモが魚を使ってアクアパッツァの準備を手分けしてやっている。 ご飯を作っていて、おいしい匂いがしてくると、五人全員が入れるキッチンがこの家にあってよかったと思う。僕は、モクのサラダの盛り付けを手伝ったり、サマーに言われて火加減を調整したりした。 レインは冷蔵庫からフルーツを取り出して、デザートの準
森を歩いていたら、いつまで歩いても景色が変わらない暗闇になってしまった。僕らは叫んで泣きながら、前に進もうとする。 僕は目の前の暗闇を、こぶしで叩いた。ガラスのような固い感触がある。どれだけ叩いても、びくともしなかった。そして暗闇ではなく、固い何か狭い空間に自分が閉じ込められていくのを感じた。両手で壁を押そうとしてもついには、押すこともできないほど壁は僕を圧迫していた。 手を離したらレインが闇の中でどこかに消えてしまった。 探そうとして目を開けたら、僕は車の中で目を覚