ろくでなしのK

映画すき。小説すき。栄光ナインすき。蒙古タンメンすき。新宿すき。服好き。ブレードランナ…

ろくでなしのK

映画すき。小説すき。栄光ナインすき。蒙古タンメンすき。新宿すき。服好き。ブレードランナーすき。ポテトフライすき。ゴリラすき。ひとりがすき。漫画すき。そんな人間です。

最近の記事

ハッピーエンド

 14歳の少年と少女は、遠い宇宙空間を漂う船で目覚めた。  広大な船内には無数の冷凍睡眠ポッドがあったが、トラブルか、経年劣化か、ほとんどが故障していた。僅かに生き残った仲間たちも、成す術なく、原因不明の病で死んでいった。  少年と少女は、一体のロボットの協力を得て、なんとか地球への帰還を目指した。二人とも記憶を失くし、何もない宇宙空間であてのない旅など耐えられるはずもなく、母なる地球が恋しかった。  いつものように、満天の星々を望む屋上ドームに二人はいた。  ひとつのパンを

    • 週刊「我がヂレンマ」<9月30日号>

       残暑も終わり、涼しくなりだした九月末日。ギリギリTシャツで粘っている私ですが、そろそろシャツを着れる、お洒落が楽しくなる季節に突入します。しかし、「服バカ」から「本馬鹿」に転身したので、服を買う余裕はないので、すでにあるワードローブで楽しみます。  そうそう、本日、つい、地元の書店で本を買ってしまった。本馬鹿だから仕方ないが、心の中のワイフが怒っております。  まぁええわ。前から欲しかったヤツやし。ええねん。本やぞ? ええやんけ。本やねんから。エセ関西弁はこれくらいにして、

      • 『Cloud・クラウド・雲』

         朝六時。  起きて直ぐに動く。  庭の草木を刈るために。この時点で焦りがある。  品川で映画を十時から観るからだ。最速でも自宅から五十分程度かかる。草木を刈るのに一時間以上はかかる。  つまり、洗髪や準備をしたら直ぐに出発しなくてはいけない。普段なら、午後一時あたりからの上映を選ぶので、やはり、普段と違う。時が迫る。非常に忙しない日曜日の朝だ。  バスに乗っても、空は雲〈クラウド〉が広がっている。雨が降りそうで降らないどっちつかずの空だ。  しかし傘はもたない。  直感で雨

        • スピード重視でいこう

           本音から言って、この記事を早く終わらせたい。何故ならば腹が減って早くソーセージと卵で酒を飲む必要があり、風呂に入らねばならず、夜十時から『内P復活SP』は観なくてはいけない。  とどのつまり、  noteなど書いている暇がないのだ。  やる気がないわけではない。時間がないのだ。であるから、スピード重視ということだ。そこまで言うのなら、いっそ「やめれば?」と思う人もいるだろうが、残念ながら、note連続投稿500日オーバーで止めれるわけがない。ここまで来ると、虚空から文章を生

        ハッピーエンド

          停滞文学

           私が週3回、火・水・木曜日にショートショートを投稿して1年を軽く超えた。つまり140本以上で、仮に平均1000字として、14万字。  四百字原稿用紙350枚分、余裕で単行本一冊分に相当する。  これだけ書いておいて、中々の停滞ぶりである。  水の濁りは昭和のドブ川に等しく、饐えた香りが鼻を折る、そんな、身悶えする煉獄。その住人たる私は、どこまでも愚直に書き続けることで光りに辿りつくと信じ、キーボードをたたいてきた。  兎に角打率が低い。  体感では三割をきっているように思わ

          プール←

           カルキ臭がツンとくる、ゴーグル越しの世界。  口に水が入って嫌だ。  あまりスムーズでないクロール。混乱する平泳ぎ。もはや曲芸の背泳ぎ。正気の沙汰でないバタフライ。  そこまで楽しくもない、気の進まないプールの授業のあと、給食のソーメンと魔法瓶の麦茶。プール教室をすぐやめてしまったことを思い出し、やはり、水泳は不得意と再確認する。  嫌なことはトコトン嫌で、気の進まないことはどこまでもルーズで、あの水色の世界は不穏さを楽しさで包んだようなものだ。  楽しさのベールは、足先が

          宇宙人のお化け

          「空気が合いませんでしたな。いや、残念」  Sが言った。  Nは答えた。 「いい惑星だと思ったんですけどね、無念です」  水晶の星空、雲を引き連れる満月の輝きは、銀色の宇宙船を照らしていた。  すぐに透明になり、背の高い草花は揺らぎながら、風に揺れていた。 「お化けになっちゃ報告も出来ない。ここは、ひとつ観光でも」 「名案です。こちとら死んでる身、もう自由ですよ」  SとNは真夜中の田園をゆく。  緩やかな稜線で連なる山々、  温かな光の漏れる人家が点々、  小川のせせらぎ、

          宇宙人のお化け

          宿命

           未知の惑星で、未知の有毒ガスによって、クローン従業員たちはバタバタ死んでいった。事前の無人探査では検出されなかった物質は、彼らの遺伝子をズタズタにした。  開発が始まったばかりの出来事だった。  夜空に散りばめられた星々を、視界に捉えた従業員Aはこれからについて模索している。  今や閑散とした基地の通信室で、ひとり、本社との連絡を試みる。  数分でテキストが一通、返ってくる。 『調査のため、無人調査隊を送る。待機されたし』  あまりに簡素で、あっさりとしたものだった。  従

          週刊「我がヂレンマ」<9月23日号>

           私はゴートレザー、ホースレザーのジャケットを持っていて、本日の朝一番から油(クリーム)で手入れをした。せっかく朝から何もしなくても良い休日、先延ばしにしようと思ったが、「やれるならやってしまえ」の精神で勢いで、1時間かけて終えた。  疲れた。しかし、あとは革靴2足となり、先が見えて気分は爽快である。  ちなみにこの前文は朝8時に書いている。先週同様、早くに手をつけて終わらす。そして先週同様、余裕があるからこそチマチマ書いて、結局はいつもの時間に記事を書き終える。  そんなこ

          週刊「我がヂレンマ」<9月23日号>

          曇天書店訪問

           タイトルに大した意味がないことはどうでもよいとして、本日は一日中、灰色の空であった。どこまでも絵具を重ねたように雲が連なり、予報では昼頃に雨が降るらしい。  そんな事前情報通り、朝方雨が降った。毎週日曜日は庭の草枝を刈るため、明日に順延する選択肢が現実味を帯びた。嫌な感じである。  しかし、雨は上がり、草木が湿り気を纏うなかなんとか作業を終える。  秋だというのに、まだまだ汗が溢れる。  私の汗腺は、まだ休みがもらえないようだ。  そして私は結局、『丸善・津田沼店』へ行くこ

          曇天書店訪問

          空腹は最高のスパイス

           この言葉、結論から言えば、正しい。  脳にある視床下部は血糖値の低下を検出して、空腹感を生じさせるとともに、様々な味を伝える神経細胞を多少増減させます。  その結果、お腹が空いて血糖値が下がると、それまでマズイと感じていた味が甘味に似てくるため、美味しいと感じるようになる。加えて空腹は、美味しさの判断に関係する、大脳皮質第二次味覚視野の活動性を高めるため、食べ物をより美味しいと感じるのです。  ちなみに、満腹時は視床下部から大脳皮質第二次視野角への信号が遮断されるため、あま

          空腹は最高のスパイス

          夢想衒学奇譚

           なんのこんちゃ。  響きだけで決めたタイトルで文章の虚空を行く金曜日の夜、切羽詰まって見切り発車でどこに辿り着くのかと、手探りの極地をいく。  すでに脳髄は湿り気をなくした豆腐のようで、瀕死の状態である。   とりあえず、三つの単語の意味を調べてみよう。 『夢想』  夢の中で思うこと、夢に見ること。夢のようにあてもないことを想像すること。空想すること。夢の中に神仏が現れて教えを示すこと。 『衒学』  学問や知識をひけらかすこと。学問を鼻にかけること。ペダントリー。 『奇譚』

           隣りの奴が壁殴っててやってられん。  うすら寒いアパートの、二階の角部屋で思った。  ドス、ドス、ドス、ドストエフスキー。  壁を打ち破らんばかりの勢いで、淡々と、一定のリズムで毎朝毎夜、壁を殴ってくる。角部屋であるから、犯人は間違いなく隣りの奴で、文句言いに行ってやろうかと怒りのボルテージが上昇したが、引っ越してきて一度も話しかけていない。あれやこれやと忙しく、面倒になり、タイミングを逸してそれ以来、一度だけ隣人の姿を見ただけだった。  あれは一カ月前、月明かりと街灯を頼

          使い捨て

          「いや、コレ、いいんですかね」  作業員Aがふと漏らした。  眼前に広がるのは、大量の、或るひとりの男性の肉体だった。  巨大なプールのような槽はオレンジ色の液体で満たされ、それぞれの口と性器と肛門には管が装着されていた。  同一人物によって埋め尽くされた空間があった。  作業長はあっさりとした、幾らか冷淡な声で返答した。 「考えるな。クローンはとっくに合法化されてる。宇宙時代に貴重な市民を使い捨てにできない、ということだ」 「そうですか。はぁ」  工場で大量生産される装具、

          タイムマシンに乗れなくて

           青年がトイレに行っている間に、仲間たちは完成したばかりのタイムマシンに乗って、過去へ行ってしまった。  何かの手違いで作動させてしまったのか。  残念だ、と思いながらビルの屋上にでる。  澄み切った青空を見上げると、正六面体の真っ白なタイムマシンがパッと、中空に現れた。  静かに下降すると、音もなく着地した。  ドアが開き、二人の仲間が現れた。  長身と肥満の男二人がやつれた様子で、その場に腰をおろした。  青年は、明るい声色で二人に尋ねた。 「どうだった、過去世界は。まさ

          タイムマシンに乗れなくて

          週刊「我がヂレンマ」<9月16日号>

           昨日のnoteで「明日、カレーをつくる」と書いたが撤回する。  何故ならば、手作りではあまりに非効率かつ金がかかるのだ。  カレーのルウ、何かしらの肉、玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモ。  やはり、レトルトで充分である。加えて、下ごしらえが必要で、生ゴミもでる。面倒くさい。  カレー作りが趣味でないかぎり、独居・独身者にとってカレーの手作りは無駄である。  話変わって、そろそろ気温も下がり始めるわけだが、この段になって不思議と一抹の寂しさがある。  汗だくだくで過ごした木更津。

          週刊「我がヂレンマ」<9月16日号>