空腹は最高のスパイス

 この言葉、結論から言えば、正しい。
 脳にある視床下部は血糖値の低下を検出して、空腹感を生じさせるとともに、様々な味を伝える神経細胞を多少増減させます。
 その結果、お腹が空いて血糖値が下がると、それまでマズイと感じていた味が甘味に似てくるため、美味しいと感じるようになる。加えて空腹は、美味しさの判断に関係する、大脳皮質第二次味覚視野の活動性を高めるため、食べ物をより美味しいと感じるのです。
 ちなみに、満腹時は視床下部から大脳皮質第二次視野角への信号が遮断されるため、あまり美味しく感じません。
 で、今現在、私は空腹である。
 仕事を早く終え、酒のアテを買い求め、帰宅し掃除と革製バッグの手入れとゲームをプレイ、洗濯を済ませてnoteを書いている。
 何とも言えない飢餓感がやる気を削ぎ、明日は朝から草枝を刈るというのに雨の予報が出ている事実に辟易している。
 つまり、早くnoteを書き終え、風呂に入り、酒が呑みたいのだ。これは毎度毎週のことであって、完全に習慣化してしまった、負の感情である。本来、出来うる限り記事のクオリティを高めることに集中したいが、空腹と酒への欲が邪魔をする。
 抗えぬ根源的欲求に敗北を喫する、土曜日の夜。
 とはいえ、今日の酒のアテはスーパーで買った、焼き鳥とイカの串焼き、卵焼きである。非常に楽しみであり、もう夜八時であって、我慢の限界が刻々と近づいてきている。 
 怠惰の魔物は、空腹という棍棒を携え、酒への欲求を振りまいて私を仕留めんと徘徊している。
 それを尻目にまず、私は風呂に入る。
 と、その前に酒のアテをフライング・つまみ食いする。
 美味い。
 なんでつまみ食いはこうも、特別に感じるのか。それを調べてみても、くだらない自説が飛び交うのみで、心理学なんかで裏付けのある、アカデミックな情報は見当たらない。
 期せずして、「空腹でつまみ食い」という至高の状況は私に力を与えた。入浴により血行も良くなり、なおのことタイピングする指が走るようだ。
 虫唾が走りました。
 なんでしょうね。
 どうしもんかね。
「誰に聞いているのか。さっさと書きあげろ、タコ。阿呆。愚図」
 気合と根性でここまで書いてきたが、そんなものはエナジードリンクと同じく、「意味があるような気がする」だけであって、経験上メリットはない。経験則で理解できているにも関わらず、何故、愚鈍の轍をあえて行くのか。それは平たく言えば、私が無能である以外に何があるというのか。
「認めたくないものだな、自分自身の、馬鹿さゆえの過ちを」
 け。しゃらくさい。
 自分のどうしようもなさを、嫌でも意識せざるを得ない土曜日の、酒盛りの前のこの時間は憂鬱である。
 空腹が限界に達しようとしている。
 苛々のボルテージが『欽ちゃんの仮装大賞』の得点のように、鰻登りです。その原因たる酒をやめたいのは山々だが、ただでさえ一週間に一度に制限している現状で、それはあまりに寂しい。色気が無さ過ぎる。退屈にもほどがある。
 酒をやめた私の人生には、書籍と服しか残らない。
 一人で何事も完結してしまう孤高の人。私。
 もとい、碌に人間関係も構築できない社会不適合者です。
 心の空腹は、最高のスパイスでしょうか。
 味なんてしないですよ。
 霞を喰って生きてる次第。
 なんだか、虚しくなってきました。
 そう。
 酒の出番ですよ。
 タイムリー過ぎて泣けますね。自分で落ち込み、酒が染みる状況を創りだす行為に我ながら震える。
 落ち込むなどと漏らしてはいるが、「人間関係が面倒」なんて呑気に厭世的日常を過ごす38歳。
 オッサンの戯言にも限界がある。
 焼き鳥、イカの串焼き、卵焼きをラーメンどんぶりにぶち込んだヤツを、レンチンしている。
 記事執筆終了のカウントダウンだ。
「心と体の空腹」というスパイスをやり過ぎなぐらいに振りかけた、サタデーナイトをフィーバーしてやる。
 ちなみに、おススメのユーチューバーは、
『飯島レンジ』どす。

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