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とさか世界一周旅行記 ニューヨーク初日

本連載では、ぼくが学部1年の頃に休学して世界一周した際の日記を公開しています。ニューヨーク突入編は旅全体の中でもトップクラスに長文になりました。こんな旅がいまはできないという切なさもありますね。事態の収束まで、こちらを読んで旅の気持ちになってみてください。


2015/11/10 19:40
ついにアメリカ最後の都市、ニューヨークに着いた。とりあえず地下鉄のチケットを買おうと思い、Subwayと書かれたところに向かう。チケットはちゃんと売っていたが、なぜか改札は全部閉まっていた。24時間やっているはずだし、改札の向こうでは人が行きかっているのでこの閉鎖は謎だったが、とりあえずすぐに地下鉄に乗る用事もないので地上へ出る。スマホのGPSがまともに機能しだすと、意外とマンハッタンの真ん中におろしてもらったことがわかった。せっかくなのでタイムズスクエアまで歩いていく。マンハッタンは、これまでのどの都市とも違った。とにかく色々なものがデカい。あと光っている。かといって渋谷みたいな感じでもない。
それにしても、寒い。早朝だからだろう。また、暗いので防犯面も不安だ。人はそれなりにいるが、誰がまともで誰がそうでないかわからない。妙に体の大きいホームレスなど、不安にさせる風貌の人が何人かいた。
早朝のタイムズスクエアは、暗いけど電気があまりついていない、おそらく一番地味な姿だった。写真にちゃんと写らなくて歯がゆかった。ということでタイムズスクエア自体はそんなに感動は無かったのだが、対面にあるブロードウェイのチケット売り場やForever 21はニューヨーク!って感じでワクワクした。また、路上で朝食を売っている屋台があって、これが噂のベンダーか、と思った。
寒いのでどこかで朝食を食べたいと思い、地図を開く。さすがにニューヨークまで来てチェーン店に入るのはもったいないので、ニューヨークっぽい朝食を取ろうと、前日にチェックしておいたオムレツが美味しいお店に向かう。地下鉄で20分ほどだ。
初めてニューヨークの地下鉄に乗ったが、良くも悪くも普通だった。椅子がふかふかしてないのが難点だが、意外と清潔で客層も悪くない。水などの歩き売りがいるのがアメリカらしいなと思った。そういえばロサンゼルスにもいた。また、地下にいる間はWi-Fiがつながらない。これはけっこうイタイ、というかこんな大都市の生命線のような地下鉄でよくWi-Fi無しがまかり通るな、と思った。
そんなこんなでお店の最寄り駅に着いたが、開店まではまだ30分近くあった。どこかのベンチで時間をつぶそうと思い、地図を見てみると実はそこはセントラルパークの近くだった。ということでセントラルパークに行ってみた。入り口付近が真っ暗でかなり怖かったが、女性が1人でランニングしながら入っていったのを見て、割と安全なんだろうと思い、入った。
中ではたくさんの人たちがランニングをしていた。おそらく皇居周りのような聖地なのだろう。邪魔にならないようにしつつ、明るくて綺麗そうなベンチに座る。ようやく12kg弱の荷物をおろせた。。。
スマホの充電が40%くらいになっていたので少しヤバいなあと思いつつ、適当に時間をつぶした。そして、これから行くお店のメニューを見てみたのだが、なぜか事前に仕入れていた情報の倍くらいの値段がする。6ドルで食べられると書いていたのに。。。
さすがに朝から12ドルも使えないので、地図で近所の安くておいしいお店を探し、そこに向かうことにした。立ち上がる。寒さのピークだったが、こんなもので寒いなどと言ってはこの先やっていけないだろうと思った。実際震えるほどではない。歩いて体を温める。
セントラルパークは、少なくとも曇天の早朝に見た限りではそこまできれいでもない。池がとても大きいのは気に入ったし、おそらく晴れていたら青空が映ってきれいなのだろう。
周辺の建物は、ボストンともマンハッタンの中心とも違い、カクカクした直方体状の建物が多かった。装飾もあまりない。きれいではないが、かといって日本のような統一感のない感じでもない。これも街の雰囲気なのだろう。
お店にはわりとすぐ着いたのだが、実はテイクアウトオンリーだったことがここで発覚する。となるとあまりよろしくない。暖かいところでゆっくりしたいからだ。
ということでその店もやめ、とりあえずメトロで宿側へ向かうことにする。適当なところで降りて適当に現地の評価が高いお店に入るのもそれはそれで楽しいと経験的にわかっているからだ。
ということで、乗った路線の南端の駅で降り、近くのカフェを探した。そこで粘って、10時が近づいたらチャイナタウンのチャーシュー丼屋さんに行く作戦だ。
探してみると、幸いにもカフェの激戦区なのか、安くて美味しいという評価のお店がたくさんある。適当に選んだお店に向かってみると、なぜかあるはずの場所にない。そこでもう一度地図を見てみると、なぜか反対方向に移動していた。Google mapsの位置表示と方角表示が微妙に不調だ。
もうめんどくさいので、「せっかくアメリカに来たから」と言ってもギリ許されるチェーン店、スタバに入った。これで、ニューヨークのスタバでノマドしたエピソードを話せるようになった。
意外とコーヒーは安く2.5ドル。はちみつが無かったのが残念だったが、普通にコーヒーを楽しんだ。幸い隅っこの席を取れたので、荷物を置いてスマホでしばし漫画などを読む。すると、隣に座ったおじさんがスマホを充電し始めた。おかげでコンセントの位置が分かった。おじさんが席を立った後、スマホを充電した。
充電中はケーブルの長さ的にスマホは触れないので、パソコンを取り出した。そして、メールの返信や記事の修正、Facebook投稿記事の執筆などを行う。また、ATM引き出し可能金額を引き上げた。これでようやく現金をおろせる!
ということでスマホとルーターをフルに充電しつつその場でできることをやりきろうと頑張っていたところ、11時を回ってしまった。12時にチェックインだったので、お店を出て宿に向かう。幸いにも現在の最寄り駅から直通で行けたのだが、駅に行ってみると目的の路線の場所がとてもややこしい。階段を下れと言う指示があったので降りてみると、今度は登れと言う指示があった。迷いそうになったが、降りて登ってを一度やったら構造がわかったため、ホームにたどり着く。そこから宿に向かうと、途中で地上を走るようになり、Wi-Fiが使えるようになった。
宿の最寄り駅にたどり着くと、マンハッタンの外ということもあり露骨に経済レベルや治安が悪くなっていた。この辺りを夜遅くに出歩くのは怖い。
宿にたどり着くと、入り口には鍵がかかっていた。インターホンを押してみると、すぐに返事があり、鍵が開いた。これ、部屋にホストがいなかったら入れないのでは?と不安に思いつつ、3階に向かう。
部屋は写真で見た通りきれいだし、隙間風などがなくて暖かかった。ありがたい。さらに、バスタブもちゃんとついていた。バスタオルまで渡してくれた。完璧だ。
トイレに行ったのだが、食物繊維を摂っていないためか便通が悪い。少し意識しないとマズいかもしれない。
その後、やり残した仕事やアポ取りをすべて済ませ、新たに舞い込んだタスクにかしこまりましたと返答し、13時ごろになった。
よし、食べるぞ!と意気込んで、チャイナタウンへ出かける。道中、手数料が安いATMに出会い、一気に200ドルおろした。正直こんなに使わないが、多めに現金、それもドルを持っておけば今後色々な国に行ったときにすぐ両替ができて楽だろうとの判断だ。正しいかわからないが、損をしたとしても一桁ドルだろうからもう気にしないでおく。
目的のお店、Wah Fungにも電車一本で行けた。駅に着き、店に向かっていく間の道は、もう中国人ばかりだった。お店も中華系のお店だったり、中国の食材を売っているお店だったり。目に入る字も漢字がかなり多い。チャイナタウンは日本の中華街とは質が違う。ここまで中国だとは思わなかった。
お店に着く。行列ができてるとの噂だったが、時間や雨という天候のこともありそんなに並んでいなかった。とはいえ、結構な時間待たされた。というのも、一個一個を作る際に行う作業がすべて手作業なのだ。チャーシューを小気味良くトントンと包丁で切る作業は、このお店の名物パフォーマンスらしい。
ごはんの上にキャベツとごはん以上の体積の肉が盛られたチャーシュー丼は、たった3.75ドルだった。あまりにも美味しそうだったし、あったかいうちに食べたかったので、すぐ近くの公園のテーブルで食べる。雨で椅子が濡れているので立ち食いだ。開ける際に手がべたべたになってしまったが、そんなのは気にせず掻き込んだ。美味しい。甘辛いタレが日本人の口に合う。ごはんの質はそれほど高くないが、やはりタレとの相性は抜群だ。キャベツがほんのりと甘く、濃い味を中和してくれているのもいい。
朝から何も食べてないので夢中で食べたが、脂が多いためにすぐ満腹になれた。せっかくなので夕ご飯に半分取っておくことにした。
その後、チャイナタウン散策を行う。ちょうど下校の時間だったため、子供たちが多くみられたのだが、みんな中国系だ。言語は英語だった。駄菓子屋で日清のカップラーメンを買い食いしており、ノスタルジーに近いけどちょっと違うなんとも言えない感慨深さを感じた。
その後少し歩くと、一ドルピザの店があった。チェーンのはずなので違う店に明日にでも行こう。
本当に中国語が多いというか、ほぼ中国だ。通貨が違うのと、英語話者が多いことが、かろうじてアメリカの感じを醸し出す。あと、なぜか理髪店が多い。
地図を見間違えていたため中心から離れてしまっていたので、改めてチャイナタウンの中心地へ向かった。そちらは先ほどまでの個人商店が連なる感じと違って、大きなビルの一階部分にお店が入っていることが多かった。どのお店も魅力的だ。価格帯が日本に近い。
事前に、屋台でのすずカステラがお得で美味しいという情報を得ていたので、屋台を探してぶらぶらと歩く。歩いているだけでも色々なお店があって楽しい。蟹が3杯7ドルで売られているなど、極端に安いものもあった。日本の商品のお店もあったが、なぜか変なにおいがした。白滝がTofuとして売られていた。
中心地から少し外れたところまで隈なく歩いたはずだが、なぜか屋台が見当たらない。ネットで調べた住所に行ってみてもないところを見ると、どうやら雨だし平日なので今日はどこもやっていないのだろう、と結論付けた。とはいえ甘いものは食べたい気分なので、どこか美味しいお店が無いか探す。まずパン屋さんに入った。安くておいしそうだ。が、どうも気分にならない、というか今度来て1ドルでたくさんのすずカステラを買えた場合を考えると今パンを食べるのはもったいない気がした。次に、チャイナタウンで有名なアイス屋さんに行く。そこで少し迷う。果たしてここでアイスを食べるべきか?改めて地図で調べてみると、どうやら近くにBubble Teaのお店がある。迷った末、Bubble Teaの方が長く楽しめるし中国っぽいのでそちらを買うことにした。ココナッツ系のものを飲みたかったが表になかったので一番人気をお願いすると、抹茶が出てきた。3.25ドル。
飲んでみると、さすがに美味しい。抹茶としての美味しさと、ベースの紅茶(?)の香りがマッチしているのに加え、タピオカ自体の味もいい。いつもBubble Teaを買うとすぐ飲み干してしまうので、今日はゆっくり飲みながら、近くにあるリトルイタリーを散策した。
リトルイタリーは、噂通りかなりチャイナタウンに浸食されて、もはや縦横それぞれ1本ずつの通りしかイタリアっぽさが無いように感じた。建物やお店の雰囲気はたしかにおしゃれで、ジェラートもかなりいい感じにディスプレイされていた。少し高かったが。また、完全にクリスマスムードだった。
とりあえず見るべきものは見たかなと思い、帰路に就く。なんだかんだで有名どころはかなり回ってしまった気もしたので、あとはミュージカルと美術館と路上パフォーマーくらいかなあと思っていたのだが、調べてみるとどうやら路上パフォーマーの聖地は地下鉄らしい。となると、偶然の出会いに期待するしかないようだ。出会えるといいのだが。
ということで電車で帰ったのだが、なんと乗った電車が橋の上で長時間停車した。こういう場合のアナウンスは日本語でさえ聞き取りづらいので、英語で音質が悪ければもう不可能だろう。そう思い、アナウンスを聞くのをやめた。結局かなりの時間をかけて橋を渡り、そこからは普通に運行した。これを取材の朝にやられたらかなり困る。。。
というわけで、せっかく早めに帰ろうとしたのにすっかり暗くなってしまい、びくびくしながら宿に帰った。インターホンを押してドアを開けてもらい、部屋に戻ると、鍵が手渡された。これで明日からは入れるといいのだけれど。
部屋に帰り、翌日に備えて早く寝るために準備する。まず風呂に入ったのだが、久々に湯船に浸かれたためにかなりゆっくり入った。前日に12kgの荷物を背負って1.5時間歩いてからろくに休んでないので、ここで一気に疲れを取る。
風呂から上がり、残しておいたチャーシュー丼を食べた。温度が下がって固形化したため油の量がわかりやすくなったのだが、かなり脂が多い。どおりで満腹になるわけだ。
食べ終わって日記を書き始めた。なんと、1.5時間も日記を書いていたことになる。さあ、すぐに寝て、早起きしよう、明日はアメリカ最後の取材だ。この旅の中でもかなり重要な正念場の一つになるだろう。がんばる。

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