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ショートステイ

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クリエイター・リンク集「バスを待つ間に触れられるものを探しています」
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#日記

2人の老人どちらに譲るか

2人の老人どちらに譲るか

電車に乗っていて、お婆さんが立っているのに気づいた。お婆さんは私の左斜め前にいる。私は席に座っていたので、ここはひとつ席を譲ろうかと思った。

私は席を譲るタイミングを見計らい、お婆さんの方へ視線をやった。視線をやってから席を譲るべきか迷った。改めて見ると、お婆さんはお婆さんじゃない気がしてきた。

少し若いのである。お婆さんだとしても、まだ成り立てだ。お婆さんとしての自覚が足りてないかもしれない

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彼女は夢の本編

夢の中のあの人はいつも怒っている。

それは私があの人の夢を見ることに負い目を感じているからなのか、あの人を好きでいることに罪悪感を抱いているからなのか、それとも本当に怒っているからなのか、よくわからないけれど、とにかく夢の中のあの人はいつも怒っていて、私は目が覚めるたびに誰もいないさびれた浜辺に打ち上げられたような気分になる。不思議な時空の空白に放り出される。

夢の中で私はあの人とゆるやかな長

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透明なまま
電車に乗り込む
空いている車内なら
誰かにバレることなく
網棚に寝そべっていられる
長い長い
通勤だからそれがいい
そのうち
満員列車になって
人々の蒸気が立ち込める
もやもやが
透ける体と心を侵してくる
そろそろ降りて
色付き人間に戻らなくては
みなさん
おはようございます

居座る人

知らない人が
代わりばんこに毎日
わたしの部屋で
わたしを待っている

はじめの人には
大層驚いて
尋ねたり諭したり
怒ったり脅したり
などして
実力行使に出たが
うんともすんとも言わず動かず
居座りは解けなかった

警察も呼んだが
物語の紋切型よろしく
他人には見えないようで
気がつけば
わたしは
異常者だということになった

さて
居座る人は
次の人も次の人も
次の人も次の人も
一日で消えてゆ

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「絵を描くのはしんどい、でも完成したら達成感がある」

「絵を描くのはしんどい、でも完成したら達成感がある」

「絵を描くのはしんどい、でも完成したら達成感がある」

今日もこうしてアートのことを考える時間が与えられしことを天に感謝します。

僕の専門は絵画でありますが、それは1日で描けるものもあれば何日もかかるものもあります。私は描くのが早いのでアクリル画で80号くらいのも5時間くらいあれば完成させることもできます。まあ、そんな早く描けるのですが油絵のようなものは何日も何週間もかかるものもあります。

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坂道

話が長いのが苦手だ。というか多分、つまらないから早く話を終わらせたいのだと思う。間延びしている会話はじれったくて仕方がない。良かれ、と思って話を広げられるのも嫌だ。リズムよく必要なことを話して、次のステップを踏みたい。長い時間を共に過ごせば、みたいなことで生まれる一体感みたいなものは幻想だと思っている。余白は必要だけれど、それは誰かと共有しなくても良い。やりたいことは沢山あるのだ。人が集ったという

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2020/09/08【立ち喰い蕎麦】

2020/09/08【立ち喰い蕎麦】

物語の主人公になれる人ってだいたいさ、昔ながらのナポリタンとか、駅前の安い立ち喰いそばが好きだよね。社会人何年目になっても、東京には染まらず、高級なお店には背伸びしていくよね。

いつまで経ってもそういった安い立ち喰いそばが好きなことが、青春を忘れないための布石になっていて、いつまでも舌が肥えていないことが、あえて、優位になる世界な気がする。
私がそういった物差しでしか物事を図れないのかもしれない

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トワイライト・ブルー

トワイライト・ブルー

『夜の帳がおりてくる』

なんて言葉でも言われたりする時間帯。

夕焼けもおさまり、段々と夜をお迎えする儀式が始まろうとしている。一枚一枚薄いカーテンを降ろしていくように、空は青から黒に変わっていく。

この時間帯は何故だかいつも不思議な気持ちになる。

普通に暮らしている町並みがひとときの間、怪しげな雰囲気を纏うから。私の黒目の中にも青色がじわじわと馴染んでいく。

【逢魔が時】

この時間帯だ

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このまま夏は終わるのか

今朝、草むらから♪ルリルリリリリリ~と、trillで虫の音が聞こえてきた。
あれ?もう秋っぽい虫が鳴いてる。え?蝉は?
ここで漸く、ここ数日蝉の合唱をまともに聞いていないことに気付いた。朝早くから、毎日毎日あんなに騒がしかったのに…。
日常に溶け込み過ぎると「あるけどない」状態になってしまう。こんなに実感したのは久しぶり。
「当たり前」として消えていく怖さ。

日中は、まだまだ30度超えで、何処が

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0時の乾燥

目が乾燥している

わだかまりは溶けないまま

わたしは
いつから
こんなふうなのか

肌が乾燥している

諦めを引きずったまま

案外
長生きをするかもしれない

あなたに会いたい

あなたは誰なのか

また眠れないまま
0時を過ぎたよ

タバコの人

背中まるめ 隠れるように

タバコを吸う 人がいる

手帳を 見つめ 真剣に

肺いっぱい 煙を吸う

なんの邪魔も 来ませんよ

あなただけの 箱ですよ

わたしは 窓を 曇らせる

人生という 小さな箱

1人のいのち 愛しくおもう

ズボンを 腰より 

上で履き

髪は 灰色 

肌は 焼け

たくさんの 皺がある

笑うと どんなお顔ですか

歩くと どんなふうですか

わたしの いのち

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コップの水

人は距離感を間違える生き物だ。満員電車は当たり前で、その空間の苦痛は我慢すべきものとして理解されている。孤独な人の痛みを知らないで土足で踏み荒らしていく人はとても多い。一人一人の身体の距離感や心の距離感はなかなか尊重されない。自分だけの場所をゆっくりゆっくり耕していきたいのに、それさえ許されないことばかりだ。果たして人は、群れることで失うものの行方を目で追っているだろうか。手放してきたことたちの重

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ことば

ことば

わたしの こころ すくうため

わたしは ことば つむぎます

なんの やくにも たちゃしない

なんの こうして たっている

くうきが すんだ あさやけも

くうきが ねばる くらやみも

ことばは いつも まっている

ひろってくれよと まっている

わたしが ことば つまんだら

わたしの こころ おどりだす

そうこなくっちゃ あそびましょう

そうこなくっちゃ うたいましょう

おひさ

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脳は再起動する?

脳は再起動する?

「ばあさんの再起動?ってどうやるんだっけ。」

娘が言った言葉にも耳を疑った。

「何、ばあさんの再起動は無いやろ。」と答えると、「いや、fitbitバーサの再起動のこと。」と返された。

実はこれ、バーサの再起動の間違い、家族で健康の為、fitbitなるトラッカーを付けている、其のfitbitちゃんが環にメールやラインが入って来なくなったり、メールやラインが消せなくなったりする、其の為娘が再起動

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