いせえのき

詩や短歌、散文を書きます/詩の生命は暗示にして単なる事象の説明にはあらず/

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詩や短歌、散文を書きます/詩の生命は暗示にして単なる事象の説明にはあらず/

最近の記事

人外

罰を与えても 魂の清浄は叶えられぬという しかし 檻に入れられないと知れば 人を殺すであろう その人は 理性的であるのか 獣が 痛みに怯えているだけだ 社会に人間は僅かしかいない 人間になれない 人間をやめる 人間ではそもそもない 人間でいられる時の短さ ほとんどが違う 違うけれど 人間だと思い込んでいる 人外は 鏡を見てもわからない 鏡には 理想しか映っていない かくいう私も

    • 放物線

      私はその曲線にいた か細く頼りない 少し汚れているし 誰もこちらを気にしない ここから落ちて 叫んだとしても 気にはされない それでいい けれど この緩やかに波打つ線の上に しっかりと刻む何らかは どこかの誰かが見つけてくれて 唾を吐かれるかもしれないが それでも 認めてくれればいいなと思う その価値ではなく 在ったのだと 化石のように ともかく在ったのだと

      • 永久

        ほとんどは もう 死んでもとくに 支障はない くらいで生きて いるらしい かくいう私 私を 省みてみれば 半分死んで いるのだが あの子や君を 眺めると この世で も少し 燃えたいと想う 私の命 魂の残照 連詩の棚へ 永遠に永久に

        • 現実 現実にこそ

          想う

          まぶしさに 死を歌うなら 月下美人 花を食べても にほい残らず 月で育ちは しなくとも 夢の音 悲哀喜び 花に与えて

          無力

          ここが地獄になったなら わたしはどうやって 君たちを守るか 汚物を舐め 情け無いへつらいをして 訪れた狂人に ただただ 許しを請い 見過ごしてもうしかないのか もしくは 他人の命を巻き込み 君たちの命を賭けて いくばくかの時間を稼ぐか 皮を剥がれても やり遂げられるか 我々にならねば わたしだけになるのではなく

          どれもわたし

          偽りの自分も本当の自分 思ってもないことを言った 真実こそを叫んだ 過ちを善意で行った 悪行を望んだ 嘘の思いやりを差し出した 踏み潰した 文句ばかり垂れた 愛を与えた 誰かを助けそして見捨てた どれもこれも わたしだった

          どれもわたし

          あんなふう

          大切は 魂に繋がっていて その パイプラインが腐れば 生命ではなくなって ただの 時空に浮かぶ物体となる 君の大切を捨てると あんな風になる あんな風になるんだ

          あんなふう

          はらきり

          憎しみは欲であった 矢を持てば 射抜きたい 罠を仕掛ければ 捕まえたい 心を持つ限り 掴んで放したいの繰り返し いずれ 短刀を持っていれば 己の腹を切ることになる

          アホ

          アホと言う奴こそ阿保だというが アホはアホだし 阿保は阿保だから アホにはアホがある 阿保にも阿保がある 阿保がアホにアホだと言っても 阿保はアホにはならん アホにはきちんとアホと 言ってやらねば どうするのか 優しさを忘れて

          頭のせいにしても

          人間が駄目なわたしの 影が 過去の濃い影が 目の前をまた横切り 恥ずかしいよりも これは 自身のこころを 音もなく切り削り おそらくは わたしの人間として とても大事なところを 滅する 時を感じるより はやく 鮮やかに毒を差し込む 人間 人間 人間 どうもこのままではいけない 悪虫の頭 とても弱い 勘違いした頭

          頭のせいにしても

          穴を掘り埋める

          身体の熱さがないと 心はダレる 負の感情でもって 生きる燃料が注がれ 仕事に取り掛かれる 寒気がすることを 誰にも言わず 頭が痛いことも 知らせずに ただ 穴を掘り 穴を埋めている

          穴を掘り埋める

          雑に

          台風に乗って 月を見に行く 死ぬまでに あそこへ立ちたい 死んでも 月の墓に 足の小指の骨を埋めて 手は そのまま 銀河の外へ投げて欲しい ゴミを捨てるように 雑な感じでいいから

          茜色の雲にぶつかって 黒い飛行機は破裂したから 乗客たちは 解放されて 散り散りに飛び それぞれの故郷へ帰ってゆきました 犬もいて 犬のくせに 方向音痴のようで どうしようもないから ここへ降りたらしく 帰るところもないようだから しばらく 居座っています よく寝ます

          そこだけで

          浅い川で 足だけつけて 体を冷やし 遠い青を見渡せば そこだけで わたしの人生 帰って 顔を踏まれて 汚物を付けられたとしても

          そこだけで

          次のわたし

          彼の人は どうであろうか わたしではないことだけは 確かだが たびたび 夢に出て来るので いずれ 会う人だろうか それとも いつか 会うた人だろうか 存在しない人であれば 次のわたしだ 前ではなく 次の

          次のわたし