居座る人

知らない人が
代わりばんこに毎日
わたしの部屋で
わたしを待っている

はじめの人には
大層驚いて
尋ねたり諭したり
怒ったり脅したり
などして
実力行使に出たが
うんともすんとも言わず動かず
居座りは解けなかった

警察も呼んだが
物語の紋切型よろしく
他人には見えないようで
気がつけば
わたしは
異常者だということになった

さて
居座る人は
次の人も次の人も
次の人も次の人も
一日で消えてゆく

いつ頃からか
どうしようもないから
どうもしなくなった

ある日
居座る人が
初恋の人だった
はじめて知る人が来た
喜んで
話しかけたりなどしたが
うんともすんともは
やはり同じであった

次の日には
これもやはり
いなくなっていた

辛くて辛くて
泣いていると
涙ですべてが溶けていった

帰る場所がなくなって
誰もいなくなった

ぼうっと佇んでいると
誰かが帰ってきた

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