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アクセスの多い記事

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#文章

読みやすさについて

読みやすさについて

 今回は、「読みにくさについて」に引き続き、執筆中の記事の一部を独立させて、先に投稿することにします。これは体調が良くないための措置で、全体を一気に書こうとして無理をしないようにとの配慮からです。

 現在執筆している記事のタイトル(仮題)は「sense・意味・方向、order・順序・序列、space・空間・空白」です。前回の「読みにくさについて」では「sense・意味・方向、order・秩序・序

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読みにくさについて

読みにくさについて

 ある記事を書こうとしていて、ある部分が長くなってきたので、そこだけを記事にすることにしました。以前なら多少長くなっても強引に記事にしたのですが、このところ体力が落ちているので、無理をせずに別の記事にします。

文章の特徴
 蓮實重彥の文章を読んでいて感じる特徴はいくつかありますが、なかでも私が目を惹かれるのは以下の四つです。

1)音声化できない文章の要素である約物の使用。

⇒「立体、平面、空

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音読不能文について

音読不能文について

「音読・黙読・速読」という連載(全三回)をしました。このシリーズをした理由の一つは「音読不能文」の存在を訴えたかったからです。

・「音読・黙読・速読(その1)」
・「音読・黙読・速読(その2)」
・「音読・黙読・速読(その3)」

音読不能文
 音読がしにくい文章から音読が不可能な文章までをひっくるめて、私は「音読不能文」と勝手に呼んでいるのですが、次のようなものをイメージしています。

・セン

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音読・黙読・速読(その1)

音読・黙読・速読(その1)

 今回から三回に分けて「音読・黙読・速読」という連載をします。

黙読しやすい文章
 漢字が適度に使われている文章は黙読しやすい気がします。読むというよりも、見て瞬間的に意味を取るのに漢字が適しているのは、もともとが象形文字だったからでしょうか。

 形を音に変換してその意味を理解するのではなく、形で直接意味が理解される回路が頭の中にできているように思えます。

 フォトリーディングという言葉を聞

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「読む」と「書く」のアンバランス(薄っぺらいもの・07)

「読む」と「書く」のアンバランス(薄っぺらいもの・07)


◆第一話
 文章を書くのは料理を作るのに似ています。天才と呼ばれる人は別なのでしょうが、私なんかはずいぶん苦心して文章を書いています。

 勢いに任せて殴り書きする癖があるにしても、文章を書くのには手間と時間がかかるのです。

 料理も手間隙かけてせっかく作ったのに、ぺろりと平らげられる場合があります。あっけないですが、作ったほうとしてはうれしいものです。

 書くのに時間と労力を要するのに、さ

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有名は有数、無名は無数

有名は有数、無名は無数

「これはね、森鴎外作『寒山拾得』から引用したもので、三島由紀夫の『文章読本』で激賞されている文なんだ」

「そうかそうか、さすがに名文だね。短いけど、すごい。なんというか、こう、気品が漂ってくるのよね」、「やっぱりね。違いますよ。短いけど、そんじょそこらの文章とはぜんぜん違う。なんというか、こう、文体が違います」、「分かります。そんな気がしたんだよな。言葉に独特のたたずまいがあるでしょ? なんとい

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でありながら、ではなくなってしまう(好きな文章・01)

でありながら、ではなくなってしまう(好きな文章・01)

「好きな文章」という連載を始めます。たぶん、同じ書き手の同じような文章ばかりをあつかいそうな予感があります。それでもかまわないので、好きな文章を引用して好きなことを書くつもりです。

 今回のタイトルは「でありながら、ではなくなってしまう」ですが、これまでに投稿した「【レトリック詞】であって、でない」や「であって、ではない(反復とずれ・03)」と似ています。「宙吊りにする、着地させない」とも似てい

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音読・黙読・速読(その3)

音読・黙読・速読(その3)

 シリーズ「音読・黙読・速読」の最終回です。

・「音読・黙読・速読(その1)」
・「音読・黙読・速読(その2)」

◆センテンスが長くて読みにくくて音読しにくいけど素晴らしい文章
 まず、前回に取りあげた文章を再び引用します。なお、あえてお読みになるには及びません。ざっと目をとおすだけでかまいません。

(Ⅰ)

(Ⅱ)

*節のある竹のような文章

 上で見た、井上究一郎訳によるマルセル・プル

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言葉は嗜好品(言葉は魔法・03)

言葉は嗜好品(言葉は魔法・03)

 言葉と文字は人にとって最強の嗜好品かもしれません。なにしろ、さまざまな嗜好品をつかって言葉と文字を呼びだそうとするのですから。

書くときに必要な物
 書くときのルーティーンみたいなものが、誰にもある気がします。

 まず、これがないと文章を書く気になれないという物、つまり書くときの必需品ついての話から始めましょう。

 文房具にこだわる人は多いですね。愛用している筆記具はいとおしいもので、他

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言葉は魔法(言葉は魔法・01)

言葉は魔法(言葉は魔法・01)

 言葉は魔法。
 言葉は魔法です。
 言葉は魔法でございます。
 言葉は魔法だ。
 言葉は魔法である。

     *

 こうやって並べると、それぞれずいぶん印象が違うなあと思います。

 私は「です・ます体」で書くときと「だ・である体」で書くときには違った自分を感じます。違った自分がいると言ってもかまいません。軽度の憑依(軽度を付けてもおおげさな言葉ですね)を覚えます。

 ようするに、人格が

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錯覚を生きる(錯覚について・02)

錯覚を生きる(錯覚について・02)

 シリーズ「錯覚について」の二回目です。

 今回は私の大好きな作家吉田修一の小説を紹介します。

     *

 冒頭の二ページ目の後半から続く三段落なのですが、吉田修一は文章も語り口もストーリー展開もうまくて、ぐいぐい引き込まれます。吉田修一の作品については、これまでに何度か記事で触れてきました。

 上は初めて載せるリンクなのですが、うまく反映されているでしょうか? 吉田修一の出てくる私の

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